足関節ってどんな動きをするのでしょうか。またその動きには、どんな筋肉が関わるのでしょうか。
一緒に確認していきましょう。
足関節とは正式には距腿関節(きょたいかんせつ)を指します。距腿関節とは距骨(きょこつ)と下腿(脛骨と腓骨)の骨の間の関節ということです。
ややこしいと思う方は、いわゆる足首だと考えてください。
こちらのブログのメインテーマは股関節ですが、足関節の動きも膝関節や股関節に大きな影響を与えています。
たとえば先日ご紹介した高齢者の転倒とバランス能力の関係の記事でも、足関節と股関節でのバランスの取り方を取り上げました。
今回は足関節の底屈と背屈の運動をご紹介します。
足関節の底屈と背屈
まず足関節の運動学について説明していきます。
足関節(距腿関節)は一軸性の蝶番関節に属します。
蝶番ってドアや扉の基部についている「ちょうつがい」のことです。
ですから基本的には足関節は底屈と背屈という2方向にしか動きません。
「屈」は曲げるという意味ですから、
底屈:底の方に曲げる→足底(足の裏)の方に曲げる
背屈:背中の方に曲げる→足背(足の甲)の方に曲げる
ということになります。
簡単にいうと自分の目で足関節を見て、底屈は向こうに、背屈は手前に曲げることです。
ここまではよろしいでしょうか。
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足関節はどれくらい曲がるの?
次に足関節の底屈を背屈の可動域です。
可動域測定には基本軸と移動軸が必要ですが、足関節底屈・背屈測定時の基本軸は腓骨への垂直線、移動軸は第5中足骨です。
このふたつの軸にゴニオメーター(角度計)を当てます。
参考可動域をご紹介しておくと底屈は45°、背屈は20°です。
ただしこの角度はあくまで参考可動域ですので、足関節をたくさん使うバレエダンサーでは底背屈の角度は、一般人と比べて大きくなります。
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足関節の底屈と背屈に関わる筋肉
では実際に底屈と背屈に関わる筋肉をご紹介していきます。
底屈
まずは底屈からです。底屈には以下の筋肉が関与します。
- 腓腹筋
- ヒラメ筋
- 足底筋
- 長腓骨筋
- 短腓骨筋
- 長母趾屈筋
- 長趾屈筋
- 後脛骨筋
この中でも特に最初ふたつ、腓腹筋とヒラメ筋が主動作筋となります。
腓腹筋
起始:内側頭は大腿骨内側上顆、外側頭は大腿骨外側上顆
停止:ヒラメ筋の腱と合わさってアキレス腱となり踵骨隆起に付着する
ヒラメ筋
起始:腓骨頭と腓骨体上部、ヒラメ筋腱弓、脛骨のヒラメ筋腱線
停止:腓腹筋の腱と合わさってアキレス腱となり踵骨隆起に付着
足底筋
起始:大腿骨外側上顆、斜膝窩靭帯
停止:踵骨腱(アキレス腱)
この筋肉は欠如している人もいます。
長腓骨筋
起始:腓骨頭、腓骨体上部
停止:第1中足骨底、内側楔状骨
短腓骨筋
長腓骨筋の下に隠れています。
長腓骨筋をめくるとこんな感じ。
起始:腓骨外側
停止:第5中足骨底
長母趾屈筋
腓腹筋とヒラメ筋の奥にあります。
起始:脛骨下2/3、下腿骨間膜
停止:母趾の末節骨底
長趾屈筋
こちらも腓腹筋とヒラメ筋の奥にあります。
起始:脛骨後面
停止:第2~5の末節骨底
後脛骨筋
長母趾屈筋と長趾屈筋のさらに奥に隠れています。
長母趾屈筋と長趾屈筋をめくるとこんな感じ。
起始:脛骨と腓骨の後面、骨間膜
停止:舟状骨、内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨、立方骨、第2~4中足骨底
背屈
次に背屈です。背屈には以下の筋肉が関与します。
- 前脛骨筋
- 長母趾伸筋
- 長趾伸筋
- 第三腓骨筋
この中でも前脛骨筋が主動作筋となります。
前脛骨筋
弁慶の泣き所のすぐ横にある筋肉です。
起始:脛骨の外側顆、脛骨の外側上部、下腿骨間膜
停止:内側楔状骨、第1中足骨底
前脛骨筋については別の記事で詳しく解説しています。
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長母趾伸筋
前脛骨筋に隠れています。
前脛骨筋をめくるとこんな感じ。
起始:腓骨の内側と下腿骨間膜
停止:母趾末節骨底
長趾伸筋
起始:脛骨の外側顆、腓骨内側、下腿骨間膜
停止:第2~5中節骨と末節骨
第三腓骨筋
起始:腓骨の前下面、下腿骨間膜
停止:第5中足骨底
この筋肉も欠如する人がいます。
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まとめ
足関節の底屈と背屈、そして関わる筋肉についてお伝えしてきました。
足関節はたくさんの方向に動くことができる肩関節や股関節と違い、基本的には底屈と背屈の2方向の動きになります。
ただし、動きが制限されるとその分立位や歩行には大きな影響を与えますので、注意しておく関節だといえるでしょう。