今回は筋肉の収縮について解説します。
「収縮って何?」という人から、少し詳しく知りたい人まで、こちらを読めば、何となく筋肉が実際にどう動いているのか知ることができます。
みなさんは筋肉にはどのようなイメージがありますか?
「全くイメージなんてありません」ということはないと思うのですが、みなさんがイメージする筋肉はこういう感じでないでしょうか。
実際、私も理学療法士の専門学校に入学するまでは、表面上の筋肉、名前として聞く筋肉くらいの知識しかありませんでした。
それが専門学校入学後に持った筋肉のイメージはこんな感じ。
本当に鶏肉を食べると生々しくていつも嫌なんですけど、表面上よりももう少し細かく、深く見られるようになりました。
せっかくなので今回はもう少し細かく、筋肉の奥の方の細かいところではどんなことが起こっているのか、実際に覗いていこうと思います。
筋原線維の構造
まずはこちらの図をご覧ください。これを見ながら追って説明していきます。
この図では右の上腕二頭筋(biceps)の膨らみ(Bulging)を細かく見ています。
筋肉という大きな塊は筋外膜(Epimysium)と言われる膜で覆われています。
その膜の中には筋鞘(「きんしょう」:鞘は刀の鞘と同じ意味で、入れる袋のようなもの)に入っている筋線維の束が入っています。
筋線維をさらに細かくみると、筋原線維(きんげんせんい)の集まったものとなっています。
つまり私たちが「筋肉」と呼んでいるものの一番小さな単位として筋原線維があり、筋原線維の集まりが筋線維、筋線維の集まりが筋線維束、筋線維束の集まりが筋肉ということです。
ここまではよろしいでしょうか?
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筋収縮滑り説とは?
以前こちらのブログでは簡単にお伝えしましたが、筋肉が働くときには収縮(ちぢむ)と弛緩(ゆるむ)を繰り返しています。
収縮とは「ちぢむこと」、弛緩とは「ゆるむこと」です。
では筋肉が収縮や弛緩を繰り返してしているとき、筋原線維ではどのようなことが起こっているのでしょうか?
筋肉という塊レベルではなく、細胞の奥の細かいところのお話です。
これを紐解く鍵となるのが滑り説と呼ばれるものです。
先ほどの図の左の方にアクチンとミオシンというのがあったのですが、そこをさらにアップにしたのが次の図です。
下の赤いやつを見てみると太いミオシンというフィラメントの周りにアクチンという細いフィラメントがあります。フィラメントが分かりにくければ、棒とか線と理解してください。
それを模式化したのが上のふたつの図です。
左は弛緩した状態(relaxed)、右は収縮(contraction)した状態です。
弛緩した状態から筋肉が収縮すると、ミオシンの上をアクチンが滑って(滑走して)近づきます。
逆に弛緩すると、アクチンは滑って離れます。
これが筋収縮の仕組みである滑り説です。
筋肉を塊としてとらえると見えてきませんが、筋肉を細かく筋原線維レベルで見るとこんなことが起こっています。
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筋収縮のエネルギー源は?
車が動くときにはガソリンが必要であるように、筋肉を動かすにはエネルギーが必要です。
そのエネルギー源になるのがATPです。
ATPとはadenosine triphosphate(アデノシン三リン酸)の略で、主に筋肉に少量蓄えられています。
蓄えられたATPを使うと、肝臓から血液中に放出されたグルコースを利用して、細胞がATPを産生します。
このあたりの詳しい仕組みを解説しだすと、めちゃくちゃ複雑になりますので、こちらのブログでは「筋肉の収縮にはATPっていうエネルギーが必要なんや」とだけ覚えてください。
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まとめ
筋収縮の仕組みの滑り説とエネルギー源について簡単に説明してきました。
昔の私のように肉の塊としてとらえると見えてこないことでも、このように顕微鏡レベルで見ると、細かいことが見えてきます。
何かを持つとき、何か筋肉を使うときには細胞の奥の方でこんなことが起こっていると考えれば、また違う何かが見えてくるかもしれませんね。