股関節が痛くて歩けない、そんなときどうするべきでしょうか。やるべきことを考えてみましょう。
股関節に疾患を抱えている方の中には、疾患を抱えていることや、骨が変形していることよりも、痛みを気にされる方が多いです。
「この痛みさえなかったらなぁ」
と考えたことがある方も多いのではないでしょうか。
そのような痛みを抱えているとき、患者さんはどのようにするべきでしょうか。
股関節痛を改善するためにするべきこと
私が患者だったと仮定して考えてみました。
どこにいけばいいのか
とにもかくにも、まずここから始めなくてはなりません。
整骨院や民間療法での見立てはあやふやであること多いですし、そもそも診断を下すことが自体が違法になってしまいます。
股関節の疾患でレントゲンをとらずに治療を進めるようでは不確かなことが多すぎるので、必ずレントゲンを撮って医師に診察していただくことが必要だと思います。
レントゲンは病院や医院にいけば撮ってもらうことができますので、まずは病院か医院で診療科目に整形外科があるところに受診しましょう。
病院か医院、どちらに受診した方がいいのかわからない方は、こちらをご参照ください。
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股関節専門医の診察を受ける
診療科目に整形外科が掲げられていても、整形外科の専門医であるとは限りません。特に街の医院の場合、「内科、整形外科、リハビリテーション科」などと、たくさんの診療科目を標榜しているとこが多いです。
この場合、おそらく内科を中心に病院で診察してきた先生で、開業して患者さんが集まりやすい整形外科やリハビリテーション科を掲げた可能性もあります。
整形外科医も得意とされている分野が必ずあります。膝を専門にしている先生もいれば、脊椎を専門にしている先生もいます。
また膝の専門医でも、人工膝関節置換術の手術ばかりしている先生もいれば、内視鏡で半月板や靭帯の切除や再建術をしている先生もいます。
もし股関節をしっかり専門的に診察していただくのであれば、股関節専門医のいる病院や医院を受診することをおすすめします。
ただし股関節専門医は手術を専門にされていることが多いので、いきなり手術をすすめられたり、手術以外は薬物療法(痛み止めや湿布)だけであることもあります。受診されるなら、そのあたりもふまえて受診してください。
レントゲン以外の検査は必要か
股関節の痛みがあり、病院にしろ医院にしろ整形外科を受診すれば、まずレントゲンは撮ることになると思います。
診断するには最低でも骨の状況を知ることが必要です。
ただし、レントゲンは基本的には骨の状況しかわかりません。
関節(骨以外の要素)に問題があったり、靭帯や筋肉に問題がある場合、レントゲンではわかりません。股関節でいえば最近話題の股関節唇損傷は、レントゲンではわからないのでMRIで検査する必要があります。
骨だけの問題では解決しない疾患もありますので、必要に応じてMRIなどレントゲン以外の検査も必要になってきます。
保存療法か手術療法か
レントゲンやMRIなど多方面から検査して診断がついたとします。
そしてようやく治療が始まるわけですが、治療は保存療法(手術以外の治療)と手術療法、大きくわけると2つの方法に分かれますが、よほどのことがない限りはまずは保存療法が選択されます。
保存療法
保存療法はさらに薬物療法とリハビリに分かれます。
薬物療法は痛み止めや湿布で様子をみることです。リハビリでは関節の可動域や筋力、姿勢、歩行を評価して必要な練習を行っていきます。
手術療法
股関節では関節を人工の骨に置き換える人工股関節置換術や、自分の骨を使った手術(CPOなど)、そして股関節唇損傷に対する内視鏡手術などが行われます。
どの手術も手術後にはリハビリをする必要があり、リハビリにより動作を獲得していきます。
保存療法では何をするべきか
これまでの保存療法といえば
- 筋力をつける
- 杖をつかってかばう
- 体重を減らす
この3つを柱として行われてきました。
これ自体間違っているわけではないのですが、医師も理学療法士も昔から教科書にそう書かているので、その内容を患者さんに伝えているだけでした。
たとえば診察で一番言われることが多い筋力ですが、実は歩行にはあまり筋力は必要ありません。ですから筋トレすれば痛みが改善するというのも、あやしい部分もあります。
同様に杖の使用は筋力の低下や歩容の悪化につながりますし、何より適切な荷重は前向きな骨形成を促していきますので、それ自体が治療となるわけです。
肥満も体重だけではなく、BMIや体脂肪率も含めて総合的に判断しましょう。
継続的にリハビリができるのか
保存療法はすぐには結果がでなくても、1ヶ月もすれば何らかの効果を実感できるようになると思います。
「よし、このままずっとリハビリを続ければ手術せずに済みそうだ」
と思っていると、数カ月後にリハビリができなくなると告げられる場合があります。
これはいわゆる「150日ルール」というもので、現在の医療保険を使ったリハビリでは、股関節痛のような整形外科疾患は受傷日や手術日から150日を超えてリハビリを続けることができません。
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また大学病院や市立病院などの大病院では、そもそも外来でのリハビリを行っていないことも多いですし、手術後のリハビリも短期で終了となることが多いです。
そうなるとリハビリを受けられない「リハビリ難民」となり、改善しかけていた状態なのにリハビリが受けられず、整骨院や街のマッサージ屋でよくならないとわかっていてもマッサージだけ受け続けることになります。
最近では股関節を専門とする理学療法士が起業してサロンや整体院を営んでいます。ただしそのようなサロンでは医療保険は使えませんので、どうしても高額になるのがネックです。
どうしても痛いを改善したい場合には、一度診てもらうのもいいかもしれません。
手術療法
保存療法を続けてもどうしても痛みが改善しない場合や、レントゲン上で股関節の変形が強い場合には人工股関節置換術を行います。
人工股関節置換術は感染症や深部静脈血栓症のリスクはわずかにありますが、他の外科手術と比べてもかなり安全な手術をいえます。
現在日本では年間に2、3万人の方がこの手術をされていて、多い病院では800症例程度となっています。
手術をする病院は普段診察を受けている医院から紹介してもらう場合や、自分で有名な先生を探して紹介状を書いてもらう場合があります。
個人的な意見ですが、わざわざ遠隔地まで手術を受けにいく必要はないと考えています。
まず術前術後の診察を受けにいくのも大変ですし、手術を受けるときの移動も大変です。また退院後に何かトラブルがあった場合、病院が遠いと主治医に対応してもらうことが不可能です。
みなさんがお住まいの県にも必ずよい先生がいらっしゃますので、できれば近くの病院で手術を受けられた方が安心だと思います。
手術後のリハビリ
人工股関節置換術の手術では、手術前日に入院して手術、リハビリを通しておよそ3週間の入院となります。
最近術後1週間以内に退院できることをうたって、手術件数を伸ばしている病院もありますが、手術後5日や1週間で退院するのはリスクが高いと思います。
もちろん「私は5日後に退院しましたが、問題ありませんでした」という方もいらっしゃるでしょうが、その裏で退院後に歩き方がわからなくなったり、間違ったリハビリを行って痛みが強くなった人も多くいらっしゃるのも事実です。
3週間ぐらいリハビリを行って一定の動作レベルを獲得して、できればその後も定期的にフォローしてもらえる病院を選んでください。
ただし術後のリハビリも保存療法のところで申し上げたように、150日以上を経過して術後に受けていたような綿密なリハビリを続けることはできませんので、そのたりは注意が必要です。
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まとめ
股関節の痛みにおける診察やリハビリ、手術の流れをざっとまとめてみました。
現在歩けないほどの痛みがある場合、どの段階にあるのか照らし合わせて、いまやるべきことを考えてみましょう。
リハビリの内容によっても、痛みは大きく左右されますので、何か良い方法はないのか、探してみましょう。