股関節の手術後のリハビリがなぜ継続できないのか?

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股関節手術後にリハビリを継続して受けたくても、受けることができない。

そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

 

以前からお伝えしているように、現在のルールでは運動器(股関節痛、膝痛、腰痛、五十肩などの整形の外科疾患)の場合、リハビリは開始日、もしくは手術日から150日しかできません。

 

目次

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運動器リハビリテーションの150日ルール

制度上の問題は以前にもこちらのブログでお伝えしておりますので、
「えっ、150日までしかできないの?」
と疑問に思われる方は本当に多いです。

 

リハビリ継続150日ルール

厳密にいうと150日を超えてリハビリを継続するには、医師が必要と判断すれば月に13単位以内で可能なのです。

にもかかわらず保険請求で棄却されたり、外来患者数が増加するのを懸念して、退院日や150日を超えるときに

「うちではこれ以上リハビリはできません」

と一様にきられる(断られる)ことが多いようです。

 

もし「私の病院はそんなこと関係なく150日を超えても、ずっとリハビリをしてくれてるよ」という方がいれば、150日超えで13単位以内で行っているか、診断名を変更して無理やりやっているかのどちらです。

 

まあとにかく現状では大きな病院で手術をすると、退院したら継続してリハビリを受け肉状況だということです。

 

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リハビリ難民の苦悩

そんな中、先日お問い合わせがありましたので、本日はご紹介させていただきます。


題名:人工骨頭置換術後のリハビリ難民

性別:女性

年齢:40代

診断名:人工股関節置換術後

メッセージ本文:
はじめまして。長文で失礼します。よろしくお願いいたします。

私は40歳でフリーランスである職業についています。交通事故で全く動けなくなり、ある救急病院へ運ばれました。

 

左大腿骨頸部骨折で大きくずれていて、自分の骨では再手術の確率が高く、人工骨頭にするしかないという診断でした。

骨折れたまま、くぼみのあるクッションを敷いて10日間寝たきりで、こむら返りが連発するような激痛、床連れの始まりの痛み、腰痛、おむつかぶれ、カテーテールのちくちくする痛み、気が狂いそうになりながら手術を待ちました。

 

術式は前方アプローチで傷は8cmくらいです。後方伸展と転倒に注意、正座をしないで洋風の生活をという説明でした。

理学療法士さんには、その病院で2週間お世話になりました。退院後は外来通院で継続したかったのですが、

「必要ないでしょう(笑)」と主治医の判断で全く受け入れがありませんでした。

筋力トレーニング、ストレッチ、平行棒、杖を使う歩行練習と階段昇降を習いましたが、どうしたら元通りの身体へ戻せるか、退院時には先が見えませんでした。

 

主治医には、「手術も完璧で若いから回復も早いし問題ない」としか映っていなかったのです。

当時の私は動けるだけでうれしくて、手術待ち期間の痛みとの比較から、痛みを感じて訴えることは少なかったのだと思います。

毎日痛み止めを飲む指示でしたから、それもあるかもしれません。

 

実際は、骨盤が倒れた感じで、歩く時には痛みもありましたが、術後なので当たり前だと思っていました。かなり筋肉を無理に使い、早く退院したくてがんばり過ぎたかもしれません。

 

当時、恥骨脇の突っ張り感がかなり強くて、まっすぐに寝ることができず、くの字でしか立てませんでした。それを馴染ませるために理学療法士さんは、必ず丁寧なストレッチをしてくれました。

術前10日間、術後3日間、ずっとクッションで足を高くしていたのも影響して、くの字のまま固まったようなので、クッションをやめるように理学療法士さんに言われ、平らに寝る練習を始めました。

クッション使用は看護師さんの指示でしたが、「やめたいならやめていいですよ。」と、特に考えていない様子でした。手術時に左右差を直すために1cm足を長くしたそうで、余計に突っ張り感があったのかな?とも思います。

 

退院すると、習った動きを自分で繰り返すことはできても、筋肉の疲労感と強ばりをほぐすことはできません。理学療法士さんが毎回ほぐしてくれて、これで身体がやわらかくなりトレーニングが継続できていたので、自宅では固まっていく感じと痛みで、自分管理のみになる不安でいっぱいになりました。

なぜ、前向きな回復を願う治療が受け入れられないのでしょうか?

リハビリで求める結果は、個人差があると思います。

一般的に人工骨頭置換術を受ける方は、80代など高齢者が多いそうで、その隣りで40代の私が歩行練習をしていれば、元気で筋力もあり、すぐに社会復帰できるだろう程度にしか見られなかったようです。

 

たしかに高齢の方は、日常生活動作ができれば、特には困らないケースも多いかもしれません。でも私は、必要とする運動量も可動域も全く違うのです。

一日でも早く元のように近づける努力をするために、理学療法士さんの力を借りることはできないのでしょうか?手術をした整形外科医の指示がなければ、関わっていただけないのでしょうか?

 

地域医療連携の指定になっているリハビリ科のある整形外科3件、整体院など電話して調べて行ってみたのですが、2件の総合の整形外科では、手術入院した患者のみで受け入れ不可能でした。

「入院中がんばっていたのが災いしたわね。」と、その総合病院では言われました。関係者の本音だと思いました。

 

小さな整形外科医院1件は、主治医の紹介状があればここでリハビリしたければ来てもいいけれど、多分必要ないと、診察もなく話して帰されました。「日常生活自体がリハビリだ。」と、紹介状も主治医に断られました。

 

整体院では、医療知識の乏しい方が施術に入り、人工骨頭は削れた屑が…などど会話がかなり乱暴で、術後間もないせいか、怖々と肩と腰のマッサージのみで院長が来るまで時間を稼ぎ、院長は10分弱施術に入りましたが、太ももに力を込められるとキーンと響いて怖くなりました。

お話から術式など理解されていないようでしたので、次から筋力トレーニングということでしたが、お断りしました。

 

1ヶ月検診(術後1.5ヶ月)に、主治医に自覚症状を伝えましたが、「そういうことはあまり聞かないな。」と言われ、「画像はきれいだから様子をみてください」「杖なしで歩く練習をしてください。」で終わりました。

では、この痛みは、時間が経てば全て解決するもので、今は我慢して仕事に支障があるけれど仕方がないのでしょうか?

 

もっと前向きな対策トレーニングがあるのではないでしょうか?

なんとか歩ければいいわけではなく、まっすぐ気持ち良く普通に歩きたいです。傾かず痛みもなく歩けないと仕事になりません。無理矢理歩いていても、膝や足首、反対の股関節が痛くなる時期もあって、今後どのくらいの時間でどのくらいまで回復するのか、目安がなくて、フリーの仕事をスケジュールが立てられず、調整に苦労しています。

 

元々股関節の痛みに悩んで、準備をして望んで手術をした方とは違い、健康だったところへ突然望まず手術になったので、手術の受け止め方も、到達したい目標も違うのだと思います。

元の暮らしに戻りたいので、可能性を最大に引き出したいのです。単なるマッサージではなく、身体と向き合った治療的なリハビリを受けたいのです。

今、自分ひとリで、何ができるでしょうか?間違えてはいないのでしょうか?1日1時間弱歩いたり、習ったトレーニングは続けていますが、限界があります。

 

整形外科医は「骨をつないだら完了!」と思っていらっしゃるのか、理学療法士さんのリハビリが本当に必要です。交通事故の患者は厄介なようで、後遺障害の書類も可動域テストなど省いてしまうらしく、「いいように適当に書きますよ。」と…。それで、こちらの未来が変わることなど、全く関係ないのですね。

 

こちらは慰謝料や後遺障害等級のために通院したいわけではないので、確実に治療をして、結果を正確に診断してほしいです。

交通事故でなかったら、もっと痛みやつらさを訴えることができたかなと思います。病院は偏見があるのかなと感じました。

 

整形外科で治らない痛みで泣く人が、仕方なく医療とは離れた整体院、カイロ、マッサージなどに通うしかなくなっていること、もう少しだけ理解してほしいです。そんな気持ちでいろいろ調べている時に、こちらのサイトを知りました。

最低限まで到達すると、整形外科医の手は離れるのなら、この先どこへ頼ればいいのでしょうか?変わってしまった身体を、自力ケアのみで管理するのは難しいです。努力のかいなく痛みが強くなった気がします。

 

今後、どのような対策方法があるのでしょうか?

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現在の状況(術後2ヶ月ちょうど)

足が床面を離れた時に、がくっと下がる(落ちる)感じがする。手で太腿を持ち上げていると落ち着く。

膝を内側へ寄せた時、上体を前に倒した時、付け根の内側が突っ張って痛く、お尻の上の方へ響き、神経に触るような痛さがある。太腿の真ん中辺りが、キーンと痛む時がある。

杖なしで歩くと、上体が大きく左へ揺れる。左足全体がだるく重い。時々むくみが出る。歩くスピードは、杖を使用して従来の倍の時間がかかる。

仰向けで屈曲は上体が逃げてしまう。
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このような相談先のない内容を受け入れてくださり、ありがとうございます。アドバイスよろしくお願いいたします。


(※プライバシー保護のため、一部内容を修正しています)

 

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リハビリを続ける難しさ

リハビリ難民の苦悩

長文から大変な状況がひしひしと伝わってきますね。

一般的に医師が完璧とするのは手術のできであって、身体全体や患者さんの生活まで診てくれる医師は少ないです。

それは病院にいる理学療法士や、手術を受けられたことがある患者さんなら実感されていると思います。

 

ただ現在の法律では、医師の指示の元にでしか理学療法や作業療法を受けることはできず、理学療法士が

「この方はリハビリを続けた方がいい」

と思っても、勝手にリハビリを続けられませんし、おそらくこのルールは当分変わることはないでしょう。

 

フリーランスで働くと書かれていますが、どのようなお仕事をされているのかは、気になりますね。たくさん動きまわるような仕事であれば、現状よりも動作レベルをあげることは必要でしょう。

また、最近は人工骨頭置換術では7日から10日程度で退院する病院が増えてきましたが、病院が思っているよりも退院後の患者さんの生活は順調ではないことも多いです。

ですからまだ術後2ヶ月ですので、まだまだリハビリが必要な時期です。

 

こちらの方へのアドバイスとしては、手術された病院を離れて、とにかくリハビリができる医院を探すことが先決ではないかと考えました。

 

大きな病院では現状では入院患者のリハビリしか行っていないことが多いので、街の整形外科でリハビリがあるところを探されるの方がいいと思います。

こちらの方も探されたようですが、私ならインターネットで理学療法士のいる整形外科医院を探します。おそらくいま現在なら理学療法士がいる医院は近くにあると思います。

 

見つかればその医院に電話して、そちらの医院で手術後の治療を受けられないか聞きます。

いまの医療の流れだと、手術した病院は近くの医院に患者さんを紹介していきます。近くの医院も患者さんを紹介してもらえるので、どちらにもメリットがあります。

 

あと後遺症診断のところで書かれていますが、厄介者として扱う医院ばかりではないと思います。(いまのところ巡りあえていないので強くは言えませんが)

裏の話をすると、交通事故の場合、一般的なリハビリよりも高い診療報酬を医院は得られるメリットもあります。

ですから交通事故の患者さんを受ける入れる医院は探せばあるというのが、医院で働いた経験のある私の意見です。

 

悩まれると痛みは一層増悪していきますので、なんとかリハビリができる環境が手に入ればいいのですが。

 

以上を回答として、ご返信しました。

 

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まとめ

後日、回答に対する御礼を頂戴しました。

國津先生

たくさんの問い合わせでご多忙な中、長々と書き連ね、ご迷惑おかけしたにも関わらず、
ご丁寧にお答えをありがとうございます。

やり場の無かった気持ちが救われました。

退院してすぐに、近所の整形外科医院で相談した時に、紹介状を持ってくればリハビリに来てもいいよと言われたのですが….。もう一度、勇気を出して主治医に紹介状をお願いしてみます。

  • 保険会社の診断書→後遺障害なし(術後1ヶ月で)
  • 警察への診断書→8週間で完治見込み(術後2週間で)

診察時に「痛いはずないんだけどなぁ」とは寂しいですね。遠くて頼れない存在になってしまった気がしています。

「主治医を離れる」というお言葉でふっきれました。良い理学療法士さんに巡り合えるように、もう一度努力してみます。

國津先生のブログで、励まされている方は多いと思います。これからも拝読して自分の体と向き合ってみます。

今後も、たくさんの患者の体と心をサポートする理学療法士さんとして、ご活躍をお祈りします。

感謝を込めて

手術後の継続したリハビリについては、今後も厳しくなっていくことが予想されます。

 

それは股関節の手術や痛みに対するリハビリだけではなく、人工膝関節置換術(TKA)や膝痛などの膝関節疾患、腰痛、五十肩、脳卒中など、すべてのリハビリが対象です。なんとか

なんとか良いリハビリを続けらればいいのですが。

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