背中のストレッチは器具を使えば簡単!効果と方法をやさしく解説

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今回は背中のストレッチをご紹介していきます。

器具を使った方法もご紹介しますが、器具といってもストレッチポールやバランスボール(エクササイズボール)など家でも用意しやすいものを使用しています。

「とにかく背中を伸ばしたい!」という人はぜひご覧ください。

リハビリでよく聞かれる質問のひとつに「背中のストレッチ」があります。

どんなに風に聞かれるかというと、

「背中を伸ばしたいんやけど、どうしたらいい?」

「背中のストレッチをしたら猫背がましになる?」

などです。

ストレッチって筋肉に使うものだから「背中」といわれると困るんですよねぇ。

そこでこの記事では私が「背中のストレッチってどうすればいいか」聞かれたときに、お伝えしていることをすべてお伝えします。

せっかくですので、この機会に背中の解剖やストレッチの効果、方法も一緒に覚えてくださいね。

目次

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そもそも解剖学的に背中ってどこなの?

そもそもの話になるのですが、背中ってどこのことをいうのでしょうか。

「いや、背中は背中やろ?」といいたい気持ちをぐっと抑えて、一度じっくり考えていきましょう。

病院で患者さんと話していると背中の概念って人それぞれだなと感じさせられます。

患者さんのいう背中とはこんな感じ。

肩甲骨や腰も含んだ体幹(胴体)の後ろ側全体を背中と表現する方が多いように思います。

たとえば「背中が痛いから何とかして欲しい」といわれて、問診してみると実は腰が痛かったり、肩甲骨だったりすることはよくあります。

まあ体の後ろ側は自分の目で見えないので余計にそうなるんだろうと思います。

解剖学的には患者さんがおっしゃっているいわゆる背中から腰部と肩甲骨を除いた部分です。

まあ偉そうに書いていますが、こんなに厳密に分けることはほとんどないのですが・・・。

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背中って解剖学的にどうなっているの?

せっかくなので解剖学的に背中を詳しくみていきましょう。

背中の骨の解剖学

背中にある骨のことを背骨と呼びますよね。そして背骨のことを解剖学的には脊柱(せきちゅう)と呼びます。

背骨には上から頚椎、胸椎、腰椎とあり、その下に仙椎、尾椎があります。それぞれ数は、

  • 頚椎:7個
  • 胸椎:12個
  • 腰椎:5個
  • 仙椎:5個(仙骨)
  • 尾椎:4個(尾骨)

で合計:33個です。

仙椎と尾椎は年齢を重ねるとくっつきますので、仙骨・尾骨と表現されます。

その中で今回の記事のテーマでもある背骨は胸椎と呼び1~12番までの全部で12個の骨からなります。

胸椎と腰椎の見分け方は、胸椎には左右に肋骨が付いています。

頚椎と胸椎 胸椎と腰椎の境目の見分け方としては、肋骨が付いているかいないかで判断

すると見分けやすくなります。

この胸椎の高さにある部分が医学的には背中となり、それよりも下が腰になります。

先ほども少し触れましたが、肩甲骨は解剖学的には肩の一部なので背中とは少し違います。

背中の筋肉の解剖学

次に背中の筋肉を解剖学的にみていきましょう。

少しややこしいのですが、ストレッチは筋肉を伸ばすことになるので、筋肉の解剖はある程度イメージできるようになっておいた方が便利です。

背中の筋肉の全体像はこんな感じです。

今回ご紹介するのは背中の主要な筋肉です。

広背筋

まずは広背筋(こうはいきん)です。

背中の一番表面にあり、薄くて大きな筋肉です。

その名の通り広いですよね。背中だけでなく、腰から肩まで広範囲に渡っています。

広背筋がやせてくると背中が丸くなる、いわゆる猫背になりやすくなります。

普段患者さんを治療していると猫背の強い患者さんは、この筋肉が動きににくくなっていることがほとんどです。そのためこの筋肉はしっかりストレッチして、筋肉が短くならないように普段から意識しておく必要があります。

僧帽筋

次は僧帽筋(そうぼうきん)です。

僧帽筋も背中から肩、頭の骨の方に至るまで表面についている大きな筋になります。

変わった名前ですが修道士が被っていた頭巾が、名前の由来とのことです。

この筋肉も大きな筋肉で、一般的に肩こりの原因になるといわれています。

またこの筋が短くなると首を曲げたり、回したりすることがやりにくくなるので大変です。

この筋も後ほど紹介するストレッチの方法でしっかりと伸ばしてあげて、日頃から動かすようにしておいてください。

菱形筋

次が菱形筋(りょうけいきん)です。

菱形筋は大きい方の大菱形筋と小さい方の小菱形筋に分かれます。こちらのイラストは大菱形筋です。(小菱形筋は大菱形筋の上に着いています)

この筋肉は胸椎と肩甲骨の内側をつなぐ筋になります。ひし形をしていることがこの筋の名前の由来です。

菱形筋が硬くなると肩甲骨の動きを邪魔するため、腕を上げにくくなったり、肩の痛みの原因になったりもします。

脊柱起立筋

最後が脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)です。

脊柱起立筋は本名ではなく、いくつかの筋肉(頭棘筋、頚棘筋、胸棘筋、頭最長筋、頚最長筋、胸最長筋、頚腸肋筋、胸腸肋筋、腰腸肋筋など)の総称です。

広背筋・僧帽筋が表層にあるのに対して、脊柱起立筋群はより骨に近い深層にあります。

下部は骨盤から上部は頭の骨にまで付いています。

背筋がまっすぐ伸びるような良い姿勢を保つためには、必要不可欠な筋になります。

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背中のコリや痛みはなぜ生じるの?

それにしてもどうして背中のコリや痛みに悩まされるのでしょうか。その原因をご存知ですか。

せっかく背中のストレッチをやっていくので、そのあたりも簡単にご紹介しておきます。

筋の血流が少なくなってしまうから

筋肉にある血管内を流れる血流量が少なくなることで、筋肉が動きにくくなり、本来の動きを起こしにくくなります。

そのようになると筋肉が硬くなったり力が弱くなったりすると、痛みを感じさせる物質がたまってしまい筋にコリができたり、痛みが生じてしまうのです。

医学的にはこのコリのことを筋硬結(筋スパズム)と呼びます。

猫背など姿勢が悪い

筋が伸びなくなったり動きが悪くなったりして筋肉が働かなくなると、悪い姿勢になってしまいます。その代表が猫背です。

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背骨や肩甲骨の運動って?どんな方向に動くの?

それでは次に背骨と、背中の筋肉に関係する肩甲骨の運動についてみていきたいと思います。ストレッチをするときには運動方向も大事になってきますので、しっかり理解してください。

ただし背中だけを動かすというのは無理なので、ここでは背中を含む体幹(≒胴体)の運動と肩甲骨の運動をご紹介します。

体幹の運動

体幹は屈曲・伸展、側屈(そっくつ)、回旋(かいせん)方向に動きます。

体幹の屈曲と伸展

前に曲げればいわゆる前屈と呼ばれるもので、体を反れば伸展と呼ばれます。

体幹の側屈

体を横に倒す運動を側屈と呼びます。側屈は右と左に可能です。

体幹の回旋

最後が体幹の回旋です。

回旋はひねる(ねじる)ことで、右方向と左方向に回旋することが可能です。

肩甲骨の運動

次に肩甲骨の動きです。

肩甲骨は挙上(きょじょう)・下制(かせい)、外転、内転、回旋が可能です。

肩甲骨の挙上・下制

肩甲骨が上に挙がることを挙上と呼びます。肩をすぼめる動作はまさにこれです。

逆に肩甲骨が下がる運動を下制といいます。

肩甲骨の外転・内転

肩甲骨が外側に動く(開く)運動を外転、肩甲骨が内側に(背骨に近づく)動く運動を(内転)といいます。

肩甲骨の上方回旋・下方回旋

肩甲骨の回旋には2種類あって、肩甲骨が反時計回りに動くのが上方回旋(上方向への回旋)で、時計回りに動くのが下方回旋(下方向への回旋)といいます。

たとえば胸椎から肩甲骨の内側に付いている菱形筋が硬くなると、肩甲骨が外側に動かなくなりますし、回旋しながら上に動くような動きもしにくくなるのは想像がつきやすいかと思います。

このように筋肉が硬くなって動きが悪くなったり、痛みのために動かしにくくなったりすると、運動をする上でも非常に不利になります。

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ストレッチってどんな効果があるの?理学療法士的に解説するよ

なんとなくですが、「運動前にストレッチしておけば効果があるんじゃないの?」と思うかもしれませんね。でもそのストレッチの効果って一体何なのでしょうか。

せっかくなのでストレッチの効果もご紹介しておきます。

おおよそみなさんが想像される効果で間違いはありません!といいきってしまうと話がここで終わってしまうので、もう少し付け加えてみます。

私が普段患者さんを治療でにストレッチを行うときには、次のような効果を狙っています。

  1. 筋の緊張してしまっている状態を改善
  2. 筋のやわらかさ(柔軟性)を高める
  3. 痛みを和らげる
  4. 筋の血流量の改善
  5. ケガを防ぐ
  6. 筋の動きやすさを改善する

いわれてみると聞いたことがあるものが多いのではないでしょうか。(もちろん初めて聞くものもあると思いますが)

ストレッチとはひとことでいっても、これだけの効果が考えられます。簡単にいうとストレッチを行うことによって、筋の血流が改善して動きがよくなったり、コリや痛みがよくなったりします

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ストレッチでダイエットできるって本当?

ストレッチの効果についてもう少し考えていきたいと思います。

「ダイエットに効果があるか」と時々患者さんから質問されます。

本当はあまり取り扱うべき話題ではないかもしれませんが、意外とその声が多いので少しだけ触れておこうと思います。

たとえば、この記事でも何度かでてきている悪い姿勢の代表格である猫背。猫背になるということは、先ほどもお伝えした、背中の筋肉がほとんど働いていない状態になります。

猫背になぜなるかというと筋肉が伸びなくなり背骨も曲がってくること、脊柱起立筋群のように姿勢を伸ばす筋も働かなり、さらに体が曲がってしまいます。

背中が曲がって筋肉が本来あるべき状態から逸脱すると、上手に筋肉を使えなくなります。

筋肉を上手に使えないということは、すなわちエネルギーを使いませんので代謝が下がり、余ってしまったエネルギーが脂肪となり蓄積されてしまうという悪循環に陥ります。

したがってストレッチをして筋肉の柔らかさや・身体の柔軟性を保ってあげることで、筋肉が短くなることを防いで効率的に筋肉が働けば、過剰なエネルギーの蓄積が生じずにすむということになります。

そう、理屈上は。

ただストレッチをしていれば、必ずしも痩せるというわけではありません。

ストレッチは筋肉の働きをまっとうに保ち、代謝を高めるという観点で、ダイエットに貢献できる可能性はあるとだけお伝えしておきます。

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ストレッチするときの注意点は?

ストレッチをするときの注意点をいくつかご紹介しておきます。

炎症があるときにはストレッチはしないように

ケガをしたばかりなど炎症が起こっているときはストレッチをしては絶対ダメです。(これを禁忌といいます)

炎症とはケガをした直後に起こる体の生態反応で、

  • 赤くなる
  • 腫れる
  • 痛み
  • 熱を持つ

などの状態をいいます。

このような症状が出ているときにムリをしてストレッチをすると、逆に腫れがひどくなったり、余計に痛くなったりするので、この時期にはストレッチすることはやめましょう。

強く伸ばしすぎない

いくらストレッチといっても、痛みが伴うほど強く引っ張ることは、逆に筋肉の緊張を高めてしまうためこちらもよくありません。

先ほどもお話したように小さい頃に体育の授業で反動をつけながらストレッチをしたこともあると思いますが、筋肉が余計に縮こまったり、痛みを起こしたりすることもあるので注意が必要です。

基本的には反動をつけず優しくストレッチしてあげることが重要になります。心地よいくらいに伸びているくらいでちょうどいいですよ。

ストレッチは何秒しないといけないの?

自主トレーニングとしてストレッチを指導したときに、患者さんからよく聞かれるのが「どれくらいの時間ストレッチを続けたらいいですか?」という質問です。

この答えは研究によっていわれていることがまちまちで、結論が出ていないというのが答えです。

15秒間筋をストレッチするよりも、30~60秒ストレッチすると効果がでると報告もする人もいれば、10秒間を3~5回に分けて行うのが良いとする人もいます。

私が学生時代に習った先生は「ストレッチは1分以上かかるやった方が良い」といっていましたし、『ストレッチング』(著:Anderson)という本は10~30秒が良いと書かれていました。

明確な時間が答えはお伝えできないのですが、私はリハビリのときにお伝えしているのは「30秒くらいで疲れない範囲」

です。30秒って意外と長いので、それ以上やるのは自分も苦痛なので・・・。

とくに自分でやっていただくストレッチの場合は、あまり長い時間になると疲れてしまいます。筋肉が硬くなっているのを柔らかくするためにストレッチしているのに、逆に疲れてしまっては本末転倒ですので。

何よりそんな疲れたり、しんどくなったりするストレッチだと継続できません。これが最大のデメリットだと思います。

ストレッチの種類(反動をつけるストレッチとつけないストレッチ)

たとえば小さい頃にアキレス腱に反動をつけてストレッチした経験があると思います。

こういった反動をつけるストレッチの方法もあることはあるのですが、逆に筋肉の緊張を高めすぎてしまう場合も多くあるので注意が必要です。

みなさんにまず取り組んでいただきたいストレッチは、

×反動をつけるストレッチ(バリスティック・ストレッチ)

◯反動をつけないストレッチ(スタティック・ストレッチ)

と覚えていていただくと良いと思います。

理学療法士としてストレッチを指導するときに意識していることは?

理学療法士はじっくりとストレッチして患者さんの筋肉の動きを作っていくように治療します。

そして一度短くなってしまった筋肉はなかなか伸びてくれません。(まあ伸びなくはないのですが・・・)あと思うような感じで運動できなくなりますし、戻るにはどうしても時間がかかります。

できるだけ筋肉が短くなってしまう前に日頃からストレッチをしてあげて、筋肉の長さが短くならないように、調整してあげることは大切だと感じています。

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ひとりで簡単にできる背中のストレッチ教えます!

ここから簡単にできるストレッチの方法をご紹介していきます。上でご紹介した筋肉と運動方向を意識しながら実施してくださいね。

ストレッチボールやバランスボールを用いているものもありますが、準備できない場合はバスタオルやクッションなどで代用するなど工夫していただけたらと思います。

ただ効果的に行うためにはストレッチポール(別名:ヨガポール、ピラティスポール)やバランスボール(別名:エクセサイズボール)はあった方がいいです。それほど高くものではないので、必要であればこの機会に購入してみてはいかがしょうか。

最初きつい人はハーフタイプもあります。

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背中から腰部を伸ばすストレッチ

1)こちらのストレッチは広背筋・脊柱起立筋に有効です。
①仰向けで両膝を曲げた状態で寝ます。

②膝をゆっくり左右に倒し、顔は膝を倒した側と反対側を向きます。

このとき背中や腰はのけぞらないようにマットに接地した状態を意識してください。

2)こちらのストレッチは広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋に有効です。
①写真のようにバランスボール(ない場合はバスタオルや枕)の上で横向きになります。

②できるだけバランスボールに体をあずけるようにして、上側の背中から腰部が伸ばされているポジションに体を動かし調整してください。

背中から頸部を伸ばすストレッチ

1)こちらのストレッチは広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋に有効です。

①仰向けで両膝を曲げた状態で寝ます。

②膝をゆっくり左右に倒し、顔は膝を倒した側と反対側をむきます。

最初に紹介したものよりも背中を大きく丸めて実施します。より背中の上部から頸部が伸ばされるのを感じてください。

2)次は広背筋・脊柱起立筋に有効なストレッチです。
①四つ這いになります。

②腕を前方にずらしながら写真のようなポーズをとってください。

3)次のストレッチは、広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋に加え特に猫背の解消に有効です。
①ストレッチポールを図のように配置し、その上に仰向けで寝ます。
②可能であればバンザイをするとより背中が伸ばされます。

4)菱形筋・僧帽筋の有効なストレッチです。
①椅子などに座リます。このとき背筋を伸ばした状態を意識してください。
②腕をクロスさせて引っ張ります。背中から肩が伸ばされることを感じてください。

左右両方行いましょう。

猫背矯正トレーニング

これはストレッチではありませんが、ストレッチでやわからくした体を矯正するトレーニングです。

写真のように壁にもたれかかって背中から腰が壁に当たるようにしてください。

腰がのけぞる場合が多いので、腰が壁についていない場合はできるだけお腹を引き腰が壁に当たるように心がけてください。頭の後ろは壁につかなくても結構です。

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まとめ

背中のストレッチについてお伝えしてきました。

背中は姿勢や歩行を考える上で非常に重要な部位になります。

良い姿勢を保つには背中の筋肉の柔軟性を保ち、しっかり働ける環境を整え続けることが大切です。

そういう意味では背中のストレッチを習慣化することにより、痛みや動きにくさとは無縁の生活を手に入れましょう。

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