筋トレで筋力が強くなるメカニズムを理学療法士がわかりやすく解説

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今回は筋力トレーニング(以下、筋トレ)のメカニズムについてです。

筋トレも何となく行っていては効果がありません。そこには筋力が強くなる理論が存在します。

股関節周囲の筋力をしっかりつけておくことは、股関節への負担軽減のために大切です。

そして筋力を強くするためには筋トレが必要だということは、みなさんもご存知かと思います。

 

実際、筋トレを行うことで筋力が向上するという研究は数多く報告されています。

病院でリハビリを受けたことがある方は、理学療法士から直接指導されたのではないでしょうか。

 

リハビリでも実施されることが多い筋トレですが、筋力が強くなるメカニズムがあります。ただしほとんどの方はこのメカニズムは知りません。

「とりあえず重いものを挙げていれば筋力が強くなる」、それは間違いではないのですが、なぜ筋力が強くなるのか、そこが重要です。

 

そこで今回は、筋トレによって筋力が強くなるメカニズムと、効率的に筋トレを行う方法をお伝えします。

メカニズムを知ることで理由を知らずに筋トレするよりも、効果的な筋トレができるようになりますよ。ぜひご覧ください。

 

目次

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筋力が強くなるとは?

筋トレで筋力が強くなる要因はふたつあります。

ひとつは筋肥大、つまり筋肉が太くなること。ただしこれには時間がかかります。

 

筋トレを始めて初期の頃には、もうひとつの要因である神経性要因で筋力が強くなります。

神経性要因は字のごとく、神経の働きで筋力が強くなることを意味します。

 

この神経性要因は

  • 大脳の興奮水準の増加
  • 拮抗筋の抑制
  • 運動プログラムの改善

この3つに分けられます。

 

大脳の興奮水準の増加

筋トレで力を使う運動を繰り返していると、いままで活動していなかった筋肉もその運動に参加するようになります。これを専門的には運動単位の増加といいます。

簡単にいうと、いままで寝ていて働かなかった筋肉を叩き起こして、運動に参加する筋肉を増やします。

 

さらに脳からの「筋肉よ、収縮(筋肉が働くこと)しろ!」という指令が運動神経を伝わり、筋肉が力を発揮します。これを発火頻度の増加と呼び、これによって筋力は強くなります。

 

ひとつの筋肉には何本もの運動神経が伸びていて、そこから活動させる信号が送られています。筋トレを繰り返していると、この神経から筋肉に送られる信号のタイミングがそろってきます。

タイミングがそろうことでより大きな筋力を発揮することができます。これを同期化といいます。

 

拮抗筋の抑制

拮抗筋の抑制を説明する前に、まずは拮抗筋についてご説明します。

 

拮抗筋とは主に動作に関わる「動作筋」に、対抗する働きをする筋肉のことを指します。

具体例を挙げてご説明しますと、膝を伸ばす運動をするときには、膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋が主動作筋です。

 

大腿四頭筋は太ももの前にある筋肉です。

大腿四頭筋解剖イラスト図9

 

膝を伸ばす筋肉の拮抗筋は、膝を曲げる主動作筋であるハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)です。

ハムストリングスは太ももの裏にあります。

ハムストリングス解剖図イラスト9

 

膝を伸ばす運動をしたいのに、膝を曲げる筋肉にも力が入っていては、力を発揮しにくいのは容易に想像できると思います。

筋トレには拮抗筋の働きが抑制されて、目的の運動がスムーズに行えることが必要で、そうなることで筋力が発揮しやすくなります。

 

運動プログラムの改善

運動をするときには脳から指示が出ます。

その指示をだすときには、脳は運動のイメージを作ってから筋肉に指示します。

 

脳が運動イメージをうまく作るには、その運動を繰り返し行ったり、あるいはイメージトレーニングしたりすると効果的です。

実際イメージトレーニングを行うだけでも筋力が向上したという研究もあります。

 

このように脳や神経の作用が改善することでも筋力は強くなるのです。

 

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筋肥大はいつから起こる?

これらの神経性要因で筋力がつくのは、筋トレを始めた初期段階です。

 

トレーニングを始めて3~4週間くらいの間は、筋肥大はほとんど起こらず、神経性要因によって筋力は強くなっていいます。

トレーニングを3週間、4週間と続けていくと、だんだん筋肥大が起こり筋力が強くなります。

 

そして筋トレを始めてから9~10週間くらい経過する頃には、神経性要因よりも筋肥大によって筋力が向上していくようになるのです。

 

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筋トレの効果を最大限引き出すためにできること

ここまでのお話で、筋トレの初期段階には神経性要因が筋力向上に貢献していることをご理解できたと思います。

この性質を利用して筋トレの効果を最大限引き出す方法があります。

 

それはフォームをチェックしながら筋トレを行うことです。

 

フォームをチェックすることで目的の運動からずれることなく運動が行え、鍛えたい筋肉を適切に働かせることができます。

すると神経性要因である、大脳の興奮水準の増加、拮抗筋の抑制、運動プログラムの改善が行われやすくなり、初期の筋トレが効率よく行えるようになります。

 

フォームをチェックするためには、姿見のような大きめの鏡を前にして行うとよいです。

正しいフォームで効率的に筋力をつけてください。

 

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まとめ

筋力トレーニングと、筋力が強くなるメカニズムについてお伝えしてきました。

 

同じ筋トレでも何となく行うのと、しっかり動きを意識しながら行うのとでは、効果の表れ方が違います。それは筋力が強くなるメカニズムには、神経性要因が関係するからです。

正しいフォームを意識して効果的な筋トレを行ってください。

 

あといつも申し上げておりますが、鍛える筋肉を意識することも大事ですので、最低限の解剖は知っておいた方がいいですよ。

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