リハビリにおけるバランス評価とは?姿勢が安定するってどんな状態?

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安定したバランスを手に入れるためには、バランスの概念を理解する必要があります。

今回はリハビリの視点からバランスを解説します。

患者さんとリハビをしていると、「私は年寄りだからバランスが悪い」「運動していたからバランスが良い」と耳にすることがあります。

 

バランスは高齢者でもスポーツ選手でも重要なことは何となく理解できると思うのですが、そもそもバランスとは何なのでしょうか

今回の記事ではバランスとはどんなものかご紹介するのですが、リハビリ的な視点でのバランスの評価はどう行われているのか、そして安定した姿勢についても考えていきます。

 

目次

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国語辞典に書かれているバランスとは?

広辞苑を調べるとバランス感覚は平衡感覚に同じで、次のように書かれています。

①重力の方向に対する体の位置や釣り合いを知る感覚。体位を正常に保つのに役立つ。自己受容覚ともいい、筋・腱・関節などから起こる深部感覚とともに平衡器官が重要な役割を果たす。人の平衡器官は内耳の迷路にある。

②比喩的に、バランスのとれた物事の考え方、とらえ方ができる能力。

引用)広辞苑 第六版

 

つまり国語辞典の視点で見るバランスとは、「体の位置や釣り合いをとること」で、「深部感覚や平衡器官が関係している」ということです。

何やら分かりにくい感じですが、バランスには身体のもっともっと多くの要素が関与しています。つまり医療的な視点でみるともっともっと複雑だってことです。

 

リハビリ的なバランスとは、簡単に申し上げると姿勢保持や動作時の安定性や不安定性を示します。

身体の安定性は、さまざまな要素がひとつに合わさって安定が得られ、結果としてバランスが良いと表現されます。

 

ではリハビリ的視点から、バランスを構成する要素や環境などをお伝えしていきます。

 

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バランスを作り出す要素とは?

バランスには筋・骨格系感覚系神経系が関与し、さらに認知機能も重要な役割を果たしています。

 

筋・骨格系の要素が問題でバランスが悪くなっている状態とは、足の裏の感覚は正常のため立っているという感覚は問題はないのですが、筋力がないので身体の重さを支えられず倒れてしまいます。

 

感覚系の要素が問題でバランスが悪くなっている状態とは、筋力はあるため身体を支えるだけの力はありますが、足の裏の感覚がにぶく、立って足の裏で支えている感じがないために倒れてしまいます。

 

どちらも立位時にバランスを崩し倒れるという現象は同じです。しかし倒れる原因は全く違います。

 

神経系については、既往で脳梗塞や脳出血があり、それが原因で真っ直ぐ立っているという認識がずれてしまい、倒れていること自体がわからないという状態です。

認知機能については、認知力低下によりご自身の身体能力がわからず、身体を支えられるだけの力がないのに立とうとして転倒してしまいます。これは認知症の高齢者ではよくあるケースです。

 

このようにバランスを作り出す要素はさまざまであり、その各要素が正常に機能することで「バランスが良い状態」を作り出しています

 

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バランスは環境で変化する

バランスは環境でも変化します。たとえば分かりやすい例でいうと、足の開く幅でも変化します。

次にふたつの写真をお見せしますが、どちらの方が安定していると思いますか?

 

まずはひとつめ。足は閉じ気味です。

バランス1

次にふたつめ。肩幅よりやや大きめに開いています。

バランス2

 

まあこうして見るとすぐに分かりますが、足を広げている後者の方が断然安定します。

 

足部とその間の面積を支持基底面といい、この面積が広い方が安定します。

バランス3

バランス4

この支持基底面の中に、重心から下ろした点があれば転倒しません。また重心から下ろした点が支持基底面の中心にあればあるほど、立位は安定しているといえます。

しかし重心から下ろした点が支持基底面の外に出た場合は、転倒するリスクが格段に上がります。

 

支持基底面や重心から下ろした線については、以前こちらのブログでご紹介していますので、詳しくはそちらをご覧ください。

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バランスを良くするには?

バランスを良くするには、身体の中のどこが問題なのかを見つけなければなりません。

筋・骨格系なのか、感覚系なのか、神経系なのか、それとも認知面なのか、どこに問題があるかを考えるのです。

 

しかしご自身でその原因を見つけ出すのは難しくいので、できれば理学療法士や作業療法士のリハビリを受けて見つけてもらうことをおすすめします。

でもリハビリを受ける機会がない方には、分かりやすい判別方法がありますのでご紹介します。

 

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バランス低下の原因は?簡易的な見分け方

まず、いままで脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患になったことがあるかどうかです。

脳梗塞などになると脳の一部が障害されます。そのためバランスに大きく影響が出るので、自分で改善させるにはやや難しくなります。

 

脳梗塞などの脳血管疾患にかかっていないのに、バランスが悪い方に関しては筋力や関節のかたさが原因になっていることが多いです。

中でも見分けがつけやすいのが筋力です。

 

筋力があるのにバランスが悪いのか、筋力がないからバランスが悪いのか、どちらかを見分けます。

足腰がしっかりしてバランスが改善せず、転ぶ可能性があるようであれば、感覚系や神経性、認知系を疑っていきましょう。

 

下肢の全体的な筋力トレーニングには以前ご紹介したスクワットが効果的です。

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まとめ

今回はバランスについてご紹介してきました。

 

バランスは姿勢保持や動作時の安定性や不安定性を示します。

記事中でもお伝えしましたが、さまざまな要素がひとつに合わさって安定が得られ、結果としてバランスが良いと表現されます。

 

バランスを作り出す要素は筋・骨格系や感覚系などさまざまであり、すべての要素が正常なに機能することで、転倒しない身体を作り出してくれます。

 

バランスが良くなれば転倒するリスクは軽減します。

バランスの概念をしっかり理解して、絶妙なバランス能力を発揮しましょう。

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