回復期リハビリ病院から退院後に継続してリハビリを受けるには?

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脳血管疾患(=脳卒中:脳梗塞、脳出血など)や大腿骨頚部骨折などで回復期リハビリ病院(病棟)に入院してリハビリを受けている患者さんの心配事のひとつに、「回復期リハビリ病院からの退院後にリハビリを続けられるか」ということがあります。

回復期リハビリ病院では毎日2時間、多い人では3時間程度のリハビリが受けられます。

 

ただし回復期リハビリ病院には入院期間がありまして、

  • 脳血管疾患では発症後2ヶ月以内に入院して最長150日以内
  • 大腿骨頚部骨折の手術後では2ヶ月以内に入院して最長90日以内
  • 股関節や膝関節の置換術では手術1ヶ月以内に入院して最長90日以内

となっています。

 

ものすごく簡単にいうと、回復期のように手厚いリハビリを受けられる時期には期限があり、退院後にはそれ以上手厚いリハビリを受けることが難しいのです。

では回復期リハビリ病院からの退院(転院の場合も含む)したときに、リハビリをいかに継続していくのか、転院先からその特徴を考えていきましょう。

 

目次

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回復期リハビリ病院から退院する先は?

回復期リハビリ病院から、退院・転院する先としては、

  • 維持期・慢性期(療養型)の病院
  • 介護施設
  • 自宅

が主に考えられると思います。

 

維持期・慢性期病院

維持期・慢性期の病院は医療はもちろん受けることができ、さらに理学療法士や作業療法士がいればリハビリを受けられるところもあります。

リハビリの回数は病院によります。週1~3回が平均だと思いますが、リハビリのスタッフがいなくて全くリハビリを受けられないところもあります

 

ただし維持期・慢性期病院では、1人の医師がたくさんの患者さんを担当していることも珍しくなく、「手厚い医療」「積極的な医療」というより、「とりあえず必要な医療」を提供してくれる程度だと考えた方がいいでしょう。

 

以前は維持期・慢性期の病院で最期を迎える人も多かった(最期まで診てくれた)のですが、いまは慢性期でも3~6ヶ月で転院する必要に迫られることがあります。

また維持期・慢性期の病院は満床であることが多く、こちらが希望しても転院できない可能性があります。

 

介護施設

介護施設を考える場合、公的な保険を使って入所するか、有料老人ホームなどに入るか、この2択です。

公的な保険を使って入所する施設

これには主に介護老人保健施設特別養護老人ホームがあります。

介護老人保健施設

保健と名前に入っているので、医師や看護師、理学療法士・作業療法士など、医療系のスタッフが常勤でいます。

 

リハビリは病院から退院後3ヶ月以内は必要であれば短期集中で20分×週3日受けられます。(マンパワー不足で短期集中をやっていない施設もあるので、受けられるかは要確認)

短期集中終了後は20分×週2回のリハビリになります。

 

医師が常勤で勤務しているので、軽度の熱や脱水などには薬や点滴で対応してくれます。

ただし、レントゲンなどの機器はありませんし、介護老人保健施設入所中には医療保険を使えない(他病院受診時の医療費は施設持ち出しで10割負担となる)ため、高度な医療は望めません。(慢性期病院よりもっともっと簡単な医療)

 

医療的な問題がなく、落ち着いているのであれば医療のことはあまり考えなくてもいいでしょう。

 

介護老人保健施設も、基本的には3~6ヶ月で退所を迫られますが、家の事情、施設の事情で5,6年もいる人もいます。

 

回復期リハビリ病院から転院すると、「リハビリはこんなに少ないのですか?」と言われることがあります。

毎日2~3時間リハビリしていたのが、20分×週3回くらいになりますからねぇ。

 

これはすなわち、自分で運動をしないと転院時より動作レベルは落ちていくことを意味します。

介護老人保健施設への入所は後述する特別養護老人ホームよりも難しくないと思います。

 

 

特別養護老人ホーム

こちらは介護老人保健施設のように、病院と家をつなぐ一時的な施設というよりも、永住する場所という施設です。

病気やケガをして入院しない限りは、最期まで居れます。

 

ただし、特別養護老人ホームは何百人待ちになっていることも珍しくないので、入所するのは至難の業。

あとこちらには看護師はいますが、医師や理学療法士はいません。すなわち特別養護老人ホームに入ると、リハビリを受けることができなくなります。

 

最近は自費のサービスとしてリハビリを提供しているグループもありますが、公的な保険を使うわけではありませんし、まだまだ少数なので期待しない方がいいでしょう。

 

有料老人ホームなどの高齢者施設

これはいま流行りのサービス付き高齢者住宅(サ高住)もそうですし、以前からある施設でいえば介護付き有料老人ホームがそうですね。

 

こちらは入居金+月の住居費以外に、介護保険を受けるお金がけっこういります。

たとえば介護保険を使った施設なら、食堂での食事介助のお金は入所費の中に含まれていますが、有料系の入居施設の場合は受けるサービスがすべて介護保険を使うことになります。

  • 日中おトイレにいって介助してもらう(もしくはオムツ交換をしてもらう)
  • ご飯を食べるのに車椅子に乗り移るのを介助してもらう
  • 入浴介助
  • 朝着替えるときの介助
  • 掃除のサービス

などなど、とりあえず誰かの手を借りた分はサービスとして扱われるので、無理矢理介護保険のサービス限度額まで使わされるイメージです。

 

あるケアマネはサービスの押し売りと言ってました。

 

有料系の入所施設の場合、訪問リハビリに家に来てもらうことができます。

ただし他のサービスに必要な分を除いて、リハビリに回せる分で週に何回来てもらえるかは決まります。

 

あと有料系の施設に入所した場合、近隣のクリニックにリハビリを受けにいったり(医療保健で)、デイサービスやデイケアに通う(介護保険で)こともできます。

有料系の入所施設については私も把握していないことも多いですし、施設によってルールがいろいろ違うので、実際に確認することをおすすめします。

 

自宅

最後に自宅に退院した場合はどうでしょうか。

 

ご自宅に帰られた場合、継続してリハビリを受けるには以下の方法があります。

  • 外来で通院する
  • 介護保険のサービスを使う

外来で通院する

近所に理学療法士や作業療法士がいる病院、医院、クリニックがある場合、外来通院して医療保険でリハビリを受けることができます。

頻度は回数、時間はその病院や医院の制度やマンパワーによります

 

ただし基本的にはリハビリは発症や手術から受けられる日数が決まっていて、脳血管疾患の場合は180日以内、骨折や人工関節置換術の場合は150日以内です。

ということは、回復期リハビリ病院に長く入院した場合は、退院した時点でリハビリ期間が残っていないことがほとんどです。

 

病院によっては、いろいろ工夫して法律の抜け道をついてグレーな方法でリハビリを継続できるようにしていますが、今後は維持期のリハビリを受けることが困難になっていくことが予想されています

 

介護保険のサービスを使う

セラピストにしっかりリハビリを受けるには、訪問リハビリやデイケア(通所リハビリ)を受けられることをおすすめします

訪問リハビリやデイケアではケアプランによりますが、退院から3ヶ月以内は40分のリハビリを週2~3回受けることができます。

また3ヶ月経過後、20分以上の個別リハビリを受けることができます。

 

ただし介護保険を利用する場合は、介護保険認定を受ける必要がありますので、40歳未満で介護保険の第一号被保険者・第二号被保険者に該当しない人は利用できません。

また一人暮らしで、ヘルパーなどの他の生活援助に点数を使った場合、リハビリを受ける点数が残らない可能性があります。

 

ちなみにデイサービスでもリハビリを受けることができますが、多くの施設ではマシーントレーニング中心で、セラピストが毎回個別でリハビリをしてくれる施設は少ないです。

 

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まとめ

少し長くなってきたのでまとめます。

  1. 回復期から転院した場合、どこに行ってもリハビリの質と量は減る。
  2. 施設には介護保険を使って入るところと、民間の有料系の入居施設がある。
  3. 行った先の施設でリハビリを受けられるかは、施設や介護保険の点数による。

という感じでしょうか。

 

 

最後にたくさんの患者さんの退院を見届けてきた私の考えをお伝えします。

 

回復期リハビリ病院からの退院のタイミングで家に戻れなければ、他施設を経由して家に帰れる可能性は低くなります。もしかしたら、今度二度と家に帰れない可能性もあるわけです。

 

患者さんはご自宅に戻られることが一番です。それは患者さんも家族さんも分かっていると思います。

そこに困難がつきまとうのは事実で、簡単ではないことは理解しています。

 

ただもしこれが最後の機会になる可能性があるなら、たとえ1日でも2日でも家に連れて帰ってあげられないか模索してみてください。

 

患者さんのご家族からよくお聞きするのは、亡くなった後に

「少しでも家に帰れたらよかった」

ということです。

 

家族での介護が厳しければ、無理強いすることはできないのですが、頭の片隅に入れて、回復期リハビリ病院から退院後のこと考えてみてください。

 

まとまりのない文章になり申し訳ないのですが、お伝えしたいことは以上です。

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