腰痛の人が洗面所使用時に困る動作、それが洗面台での洗顔や歯磨き、髪を濡らす動作など、前かがみになる姿勢です。
痛いけど、やらないわけにもいかないし・・・、と困っている人はいらっしゃいませんか?
今回はそんな腰痛の人のために、洗面台での動作のポイントをお伝えします。
これは私がリハビリ中に実際にお伝えしていることで、今日からでも使えますのでぜひ参考にしてください。
腰痛の人の大敵となる洗面台での動作
ご自身の生活を思い出して欲しいのですが、洗面台ではどんな動作をしていますか。
ざっと挙げてみましょう。
- 手洗い
- 洗顔
- 歯磨き
- うがい
- 髪を濡らす
- お化粧
ではないでしょうか。
このうち手洗いは大きく身体が前屈みになることはないので、多少の痛みや不安のある方もいらっしゃるかもしれませんが、大きな問題にならないことが多いです。
同じ理由でお化粧もそうですね。
うがいは水を吐き出すときに飛び散らないように前屈みになります。ここでは歯磨きと動作が同じなのでひとまとめとします。
というわけで、腰痛の人が洗面台で問題になるのは、
洗顔、歯磨き、髪を濡らす
この3つの動作だということです。
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洗面台の高さは腰痛の人にはつらい?
そもそも洗面台の高さって何cmかご存知ですか?
各家庭によって多少は違うと思いますので、一度メジャーで自分の家の洗面台の高さを測って欲しいのですが、おおよそ75~80cmになっているはずです。
ちなみに私の家の洗面台の高さは75cmでした。
高すぎるとお子様がいらっしゃる家庭では使いにくいですし、逆に低すぎると大人が大変です。
最近の介護用(車いす対応)の洗面台であれば、レバーで高さを調節できるものもありますが、家庭用のものは一度高さが決めると変更や調節は難しいです。
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なぜ前屈みになると腰を傷めやすいのか?
これは運動学的な観点から考える必要があって、剪断力という言葉で説明できます。
剪断力は「せんだんりょく」と読みます。
剪は「きる」という意味で、断つと合わせて「断ち切る(たちきる)」と考えればいいでしょう。
こちらの写真をご覧ください。
洗面台で身体が前屈みになると、上半身は前にいこうとしますが、そのままだと前に倒れてしまうので、下半身は倒れないように後ろ方向に支えようとします。
ちょうど釣りで大物を釣り上げようとしている人の体勢によく似ています。
腰部をアップにしてみるとこんな感じです。
ある部分で上の骨は前に、下の骨は後ろ方向にズレるように動いて、この間に「断ち切る」力が加わります。これが剪断力です。
剪断力が加わった部分に腰痛が起こりやすいと言われています。
これはぎっくり腰(急性腰痛症)でも同じで、予期していないような強い剪断力が加わったときにきっくり腰になることがあります。
ですから以下に述べる方法は、いま現在慢性腰痛症の人だけではなく、洗面台でのぎっくり腰の予防にも効果的です。
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腰痛の人のための洗面台動作ってどんな感じ?
腰痛の人が洗面台を使用するとどんな感じなのでしょうか。
普通はこんな感じだと思います。
洗顔
歯磨きで口をゆすいで吐き出すとき
起きたときの寝癖直しに髪を濡らすとき
いずれもしっかり腰が曲がっていて、見るからに傷めやすそうです。
では具体的にどうすればいいのかご紹介します。
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洗面台で腰痛が悪化しないようにするには膝を曲げる
もうタイトル通りなんですけど、これが一番いいです。
普通は腰を前に曲げるんですけど、膝の屈伸を使って上下移動をして、可能な限り腰を曲げるのを減らします。
実際にやってみましょう。
まず脚を前後に開きます。
やりやすい方を前にすればいいですし、可能なら定期的に入れ替えた方がいいです。
膝の屈伸を使って上下します。
しっかり膝を曲げた後に、前に屈むと腰の曲がりが小さくなっていることが分かると思います。
このとき、肘や前腕を洗面台の縁に置くと、上半身の体重を支えられるのでさらに効果的です。
動画でも解説するので、一度こちらの動画をご覧ください。
ポイントは膝の屈伸をしっかり使うことですよ。
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洗面台は腰痛もちにはやっぱりきつい。だったら椅子を使ってみよう
この話をすると、必ずこう言う人がいらっしゃいます。
「膝を使って低くなっても、やっぱりきついです」
なるほど。そりゃそうですよね。
特に急性腰痛症などで鋭い痛みを抱えている人には、この姿勢は苦しいですし、股関節や膝関節に痛みがある人にとってはこの姿勢になること自体が難しい人もいます。
ハーフスクワットの状態になるので、筋力も使いますしね。
だったら洗面台を使用するときには椅子を使うようにしましょう。
我が家でも、洗面台の前には椅子が置いてあって、洗顔や髪を濡らすときに私は使用しています。(腰痛予防の意味で)
椅子は折りたたみのこんなパイプ椅子でいいと思いますよ。
実際に椅子に座って洗顔や髪を濡らす動作をするとこんな感じです。
このときにも必ず肘や前腕を洗面台の縁にしっかり置くようにしましょう。
どうでしょうか。
先ほどの立位のときと比べるとかなり楽になっているのがお分かりいただけるでしょうか。
特に髪を濡らす動作を比べると分かりやすいですね。
腰痛を抱えている人で、「洗面台がつらいんです」という人はぜひお試しください。