近年話題の股関節唇損傷。
今回は気になる股関節唇損傷の原因と治療方法についてお伝えしてきます。
最近、股関節唇損傷に関するご質問が増えてきています。
特に多いのが「股関節唇損傷と診断されたが手術するしか治療方法はないのか」というご質問です。
股関節唇損傷については、まだまだ治療法が確立されておらず、股関節鏡による手術をすすめられることが多いです。
股関節鏡は低侵襲で行われるためメリットも多いのですが、やはり手術にはデメリットがあります。
また手術には誰しも抵抗がありますし、可能であれば保存療法で治したいですよね。
最近いただいたご質問をもとに、股関節唇損傷について再考していきましょう。
股関節唇損傷についていただいたご質問
いただいたご質問はこちらです。
題名:股関節唇損傷のリハビリ
性別:女性
年齢:40代
診断名:股関節唇損傷
メッセージ本文:
今年3月21日に股関節唇損傷の診断を受けた43歳のジャズダンスをしている者です。
現在痛みは軽減してダンスを少しずつ再開しましたが、筋肉も固くなり今後どのように体と向き合って運動をつづけるか悩んでいます。
診てアドバイスをいいただけたらとても嬉しいのですが、どちらで診ていただけますか。
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股関節唇損傷の役割
まずは股関節唇損傷の説明をする前に、股関節唇がどのようなものか知っておく必要があります。
股関節唇の解剖については以前こちらのブログでご紹介しましたので、股関節唇がどのようなものかわかっていない方は、先にそちらをご覧ください。
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簡単に復習すると、股関節は骨盤にある寛骨臼というくぼみに、大腿骨の大腿骨頭がはまりこんでできる関節です。
股関節唇は唇のようなもので、寛骨臼のふちにある臼蓋を取り巻くように付いてます。
その役割は
- 股関節の面積と体積を増やすこと
- 股関節を密閉して栄養
です。
ここまではよろしいでしょうか。
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股関節唇損傷の原因は?
股関節唇損傷とはその股関節唇が何らかの原因で損傷することです。
その原因にはいくつかありますが、一番多い原因はFAIです。
FAI
FAIについてはこちらで詳しくお伝えしています。
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FAIは英語では「femoroacetabular impingement」のことで、股関節で起こる挟み込み(インピンジメント)のことです。
FAIの原因としては、股関節唇の損傷は骨盤側の臼蓋のでっぱりや、大腿骨側の根本が太くなっていることが器質的な変形としてあることが原因のひとつです。
また器質的な変形がなくても、スポーツなどで股関節唇を巻き込むような動きを繰り返せば股関節唇を損傷する原因となります。
その他の原因
FAIの原因となる臼蓋形成不全など、臼蓋に関する形態異常も股関節唇損傷の原因となります。
また股関節がかたすぎるのもダメなのですが、ゆるすぎることも股関節唇損傷を引き起こすと言われています。
今回のご質問の場合、ジャズダンスをされているとだけ書かれています。
ジャズダンスの詳しい内容がわかりませんのでなんとも言えませんが、股関節を深く屈曲させるような動きが入っているのであればFAIを引き起こし、その動作の繰り返しが原因で股関節唇損傷になった可能性もあります。
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股関節唇損傷の治療
股関節唇損傷に対する治療は、大きく股関節鏡による外科的な手術と、リハビリなどの保存療法に分けられます。
外科的な治療は専門にされている先生にお任せするとして、今回はリハビリの方法です。
オーソドックスな考えとして、股関節唇が損傷されないように、挟み込みなどが起こらない動きを獲得していくことになります。
そのためには、なぜ股関節がその動作をとらざるをえないか考えていく必要があります。
たとえば、筋肉が問題であればどの筋肉を変えていくのか、骨であればどの部分が悪さをしているのか、関節であればどの動きがかたすぎるのか(緩すぎるのか)などを考えていきます。
ひとつ注意があるとすれば、原因にはリハビリで改善できるものと改善できないものがありますので、その選別は必要です。
特に骨の変形に起因するようなものは、保存療法では改善しない場合もあります。
私が治療で特に重視しているのは、大腿骨が股関節唇を挟み込みにくい位置にしてあげることです。
具体的には、関節のモビライゼーションで動きを作ってあげたり、大腿骨が骨盤の受け手側である臼蓋に対して前方に変位を改善したりします。
前方に変位している原因はいくつかあるのですが、一番多いのは腸腰筋が短縮してしまったり、過緊張していることです。
腸腰筋についてはこちらに書いています。
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腸腰筋の中でも大腰筋が特に重要です。大腰筋は体の深部にあるので、直接触れることが難しいのです。
大腰筋に問題がある方は、立位や座位の姿勢に原因があることも多いので、普段から姿勢にも気をつけながら、ストレッチを併用していくのがいいでしょう。
また、たいていの場合はひとつだけが原因とはなりませんので、モビライゼーションやストレッチを併用しながら、股関節を調整していきます。
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まとめ
股関節唇損傷の原因と治療についてお伝えしてきました。
冒頭でもお伝えしましたが、股関節唇損傷の治療は外科的に行われることが多く、保存療法が選択されることはまだまだ少ないです。
ただ保存療法でも効果がでる場合もあり、外科的治療を選択される前に保存療法を試す価値はありそうです。
股関節唇損傷でお悩みの方の参考になれば幸いです。