臼蓋形成不全の症状と運動、どうバランスをとるべきか考えてみた

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臼蓋形成不全と診断されると「運動をしてはいけません」と医師に告げられることがあります。

本当にもう運動やスポーツは行っていけないのでしょうか?

臼蓋形成不全の症状と運動、どうバランスをとるべきか考えてみた

股関節疾患を抱える患者さんと運動やスポーツ、これはいつの時代も悩ましい問題です。

診断を受けるまで積極に運動やスポーツを続けて来られた方にとっては、いきなり辞めろと言われてもなかなか受け入れられるものではありません。

特に思春期や若年者で運動部として活躍して来られた方にとっては死活問題です。

今回、臼蓋形成不全と診断を受けた中学生のお母さまからご質問が届きましたのでご紹介します。


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臼蓋形成不全の症状

その前に簡単に臼蓋形成不全の症状についてご説明しておきます。

股関節は骨盤の寛骨臼と大腿骨の大腿骨頭からなる関節です。このうち寛骨臼の縁の部分を臼蓋といいます。

以前股関節は臼状関節という話をしたのを覚えていますか?

参照)
股関節はどんな関節でどの方向に動くのか?

このとき臼と杵(きね)のイラストを載せたのですが、臼が寛骨臼、杵が大腿骨頭で、臼蓋は臼の縁だと考えてください。

臼蓋形成不全症状1引用)図解入門 よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book)

臼蓋形成不全とは名前の通り、この「臼蓋」の形成が不全状態であるということす。

不全状態とは言い換えれば「不完全な被り状態」、つまり大腿骨頭に対しての臼蓋の被りが浅いということです。

被りが浅いとどうなるかというと、大腿骨頭と接触する面積が少ないので、体重を支えようとすると接触部分への圧力が通常よりも強まり、軟骨や骨が傷みやすくなり疼痛を引き起こします。

臼蓋形成不全症状2

ただし傷みやすくなるといっても全てが変形性股関節症に移行するわけではありませんし、すぐに手術が必要にになるということもありません。

むしろ臼蓋形成不全があっても、普通に暮らされている方の方が多いくらいです。


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バレーボールを続けたい

ではいただいたご相談をご紹介します。

題名:スポーツを続けたい娘

性別:女性

年齢:10代

診断名:臼蓋形成不全

メッセージ本文:
中学生女子の母です。

H27年6月末、左側股関節あたりから太もも周辺の鈍い痛みがあり、整形外科で診察を受け臼蓋形成不全と診断を受けました。

母娘、かなりショックを受けておりましたところ、知人から股関節の専門医を紹介され、別の整形を受診しましたが同じ診断が下されました。

どちらの先生も運動をしないことと言われ、経過観察をしています。

娘の現状:9歳からバレーボールを始めて、中学生になった現在もバレーボール部とクラブチームのかけもちでの所属しています。

それまでは痛みを訴えることはありませんでした。

練習後痛みがあるときと無いときがあり、痛みがあるときは時間の経過とともに和らいでいくという状態なので、本人はバレーボール続行する意思です。

私はどうしたらよいものか悩み中なんです。

私自身が高校生時代のケガで現在も(これからも)支障があるので同じ思いはさせたくないという反面、上位を目指して頑張っているバレーを続けさせたいと思う気持ちがあります。

痛みがあるときは休むことにして、とりあえず中学卒業まではバレーボールを続け、高校に入ったらまた考えようと話すことが精いっぱいの状況です。

休めば他のメンバーに迷惑かけるとか、仲間に話せないとか色々と悩んでいます。

これから一生付き合っていかなくてはいけない症状とどう向き合えばよいでしょうか?

いまの現状から進み出し、向き合って行くことのアドバイスが欲しいと思っても、今回受診した整形外科では話すことも聞いていただくこともできませんでした。

理解し難い文章で申し訳ありません。

※プライバシー保護のため、一部加筆・修正を加えています。


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スポーツは続けられる?

診察ではあまりこう言った話を聞くのも気が引けますし、聞いたとしてもどこまで先生のお気持ちや真実を話してくださるかはわかりません。

医師はやはり根拠に基づいたベストな判断をしますので、希望的観測は述べません。(昨今の医療訴訟の問題も大きいです)

病院では臼蓋形成不全が見つかれば、もちろん「運動はしない方がいい」と言います。

それが仕事ですし、「ちょっとぐらいやってもいいよ」と伝えて、後から「先生が言うたから運動してたら悪くなった」と言われることを困りますので。

そういう意味ではお二人の医師の判断は間違いではありません。

ただそこで諦めてしまうと話が終わってしまうので、もう少し続きを話しましょう。

こちらのメッセージを拝読して一番最初に思い浮かんだのが、

「早い時期に見つかったんだ」

ということです。

この「早い時期」というのには歓迎すべきという意味を含んでいます。

臼蓋形成不全の患者さんが臼蓋形成不全だと分かる時期はバラバラです。

この方のように若いうちにたまたま発見されることもありますし、中年になってから分かる場合もあります。

中年になってから見つかった方は「もっと早く分かっていれば・・・」と言います。

この表現から想像できるのは、「もっと早く分かっていれば自分の過去の行動は変えられたのに」という意味でしょう。

ただし一方で「いま知って良かった。いろいろ考えるのは嫌だから」と言う方もいます。

若いうちに知ってしまうと、あれもこれも考えてしまうので、後から知って良かったと思ったのでしょう。

いつ知るかは非常に重要ですが、早く知っても、遅く知っても、メリット・デメリットがあります。

医療従事者の立場からすると、やはり早く知る方がいいと考えています。

中高年になって見つかると、かなり進行していたり、姿勢や歩行の癖が抜けずなかなか変えられない方も多いので、リハビリが難しくなる場合もあるからです。

そういう意味は早くに見つかったことをプラスに捉えるべきでしょう。

どの程度の臼蓋形成不全か分かりませんが、臼蓋形成不全は初期のものであれば改善する可能性があります

ただし、ここからが大事なのですが、何もしなくても改善することはありません。それはなんとなくイメージできますよね。

改善するには正しい姿勢や歩行など、適切な荷重、正しい動きが必要です。

臼蓋形成不全で痛みがあるということですが、もっとひどい人でも痛みがない人もいます。

これはこちらのブログでは何度か話していますが、骨の変形と痛みはリンクしません。

おそらくこの方の場合、ハードワークがたたって炎症が強くなっていたり、筋肉に疲労が溜まっていて痛み物質を出してる可能性もあります。

これって悪いことではなくて、動きを変えれば、痛みはましになる可能性もあるってことです。

では正しい動きって何?ってことになるのですが、これは決して筋肉をつけるということではありません。

こういうとき得てして筋力トレーニングに走りがちですが、決して筋力だけがそれを解決してくれるわけではありません。

筋力トレーニング自体でさらに痛みを増やす可能性もありますし、筋力がついても動き方が変わらなければ問題は解決しません

このあたりは文章では表現できませんが、要は人が動きやすいコンディションにして、その上で運動をしていくってことです。

臼蓋形成不全だからすべてがダメってことではないですよ、ということです。

今回のご相談はバレーボールでしたが、これがサッカーでも野球でもラグビーでも陸上でも理屈は同じです。

後悔するかどうかは分からない

私は医師と同じく現実主義者なので、「大丈夫ですよ」と軽々しく言えません。

おそらくこういう相談を胡散臭い自称治療家に相談すると、「うちに来てもらったら大丈夫です」というようなことを言うと思うのですがそれは危ういです。

大丈夫とは軽々しく言えないけども、いまの状況で大丈夫な方法を探っていくことは可能です。

ただしご相談を下さったお母さまが学生時代のケガで現在も悩まされているので、ご自身としてもどう声かけしていいか悩まれる気持ちはすごく理解できます。

私がその立場だったら、臼蓋形成不全のことを全て調べて、洗いざらい娘さんに話すと思います。

インターネットで調べればたくさん情報は出てきますので、一般の人でもたくさん知識を得ることができると思います。

そしてそのすべて情報を渡します。メリット・デメリットももちろん伝えます。将来手術になる可能性があることも全部伝えてください。

その上で、娘さんに自分が後悔しない道を選んでもらえばいいのではないでしょうか。

私が娘さんの立場なら、将来手術のリスクがあってもバレーボールを可能な限り続けると思います。

先のことは誰にも分からないです。

バレーボールを辞めれば手術をしなくてもいいかもしれませんし、もしかしたらバレーボールを辞めても手術になるかもしれません。

もし手術になることがあっても、

  • バレーボールを続けていたら50歳で手術
  • バレーボールを辞めれば55歳で手術

この二択ならどちらがいいと言われれば私は前者を選びます。

中学生の娘さんには酷なお話ですが、親が決めた道で後から後悔する方がよっぽど酷だと考えます。

娘さんの決断を尊重して、身体の状況に合わせて、やれるところまでやればいいのではないでしょうか。

こんなことを話すと、「あんたは他人だからそう言えるんだ」とのお叱りをいただくかもしれません。

そうです。私は他人です。当事者ではありません。

だからといっても適当な想いで話しているわけではありません。実際自分がその立場だったら、自分の娘だったらと、理学療法士としての経験を元にかなり考えました。

その上で出した答えです。

後悔のない選択肢はいまの段階では分かりませんが、「いまできる可能性をとことん探してみてください」と最終的にアドバイスさせていただきました。

まとめ

臼蓋形成不全の症状と運動、どうバランスをとるべきか考えてきました。

完治はないかもしれませんが、バレーボールを続けるためにやれることはたくさんあります。

最後になりますが、ご返信いただいたメッセージをご紹介してこちらの記事を終わりたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

早々のお返事をいただありがとうございます。涙ながらに読ませていただきました。

私のうまく表現できない文章から、全てのことを解読していただき、感謝しております。

今はとてもスッキリ、モヤモヤした気持ちは晴れました。本当に救われました。ありがとうございます。

娘をしっかりバックアップしていきたいと思います。

救世主さま、ありがとうございました。

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