股関節はどのような関節で、どんな動きができるのか、形態や構造から股関節の動きについて考えてみましょう。
こちらのブロブのメインテーマである股関節ですが、その形態や構造をしっかり理解されている方は少ないと思います。
また股関節がどの方向に動くのか考えたことがある方も少ないと思います。
そこで今回は股関節の形態や構造、運動方向について考えていきたいと思います。
運動学より関節の分類
関節は一方が凹の形をしていて、他方が凸の形をしていることが多いです。この場合、凹側を関節窩、凸側を関節頭と呼びます。
股関節の場合は、骨盤の寛骨臼が関節窩、大腿骨頭が関節頭に当たります。
関節は関わる骨の数や形、どの方向に動くかによってそれぞれ分類されます。
関節に関わる骨の数による分類
股関節は骨盤の寛骨臼と、大腿骨の大腿骨頭の2つ骨で構成される単関節です。単関節とは、2つの骨からなる関節のことです。
関節の形状による分類
また寛骨臼がお餅をつく臼のような形をしていて、そこにボールのように丸い大腿骨頭がはまり込む形をしていることから、形態上は臼状関節に分類されます。(臼状関節は時として、球関節に分類されることもあります。)
運動軸数による分類
次に股関節はどのような方向に動くか、これは『いくつの運動軸を持っているか』と言い換えることができます。
人体の他の関節を見るとわかりやすいかもしれません。
例えば、指の関節はどうでしょうか?指の第一関節と第二関節は曲げるか伸ばすしかできないので、これらの関節の運動軸は1つです。
次に手首を見てみましょう。手首は前後方向に動かすことができます。
また友達に手を振ったりするときに、左右方向に動かすこともできます。
ですから手首は前後方向と左右方向、2つの軸を持っていると言えます。
では股関節はどうでしょうか?臼状関節の股関節は、前後方向に動かすことができますし、開いたり閉じたりもできます。
もう1つ股関節は太ももを内や外に向けるねじる動作もできます。
このように3つ以上の方向に軸を持っている関節を多軸関節と呼び、運動軸から考えると股関節は多軸関節としても分類されます。
人体の関節の中では球関節である肩関節の次に自由に動くことができます。
中には身体がかたい方もいらっしゃると思うので、股関節が人体の中で2番目に動くを言われても、なんとなく意外な感じがするかもしれませんが、かなり自由に動かすことができます。
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股関節の運動方向は?
では具体的に股関節の動く方向について考えてみましょう。
まず股関節が動く方向には、以下の6方向があります。
屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋
股関節の屈曲と伸展
屈曲は『曲』の字から想像しやすいと思いますが、曲げることです。すなわち股関節を前に曲げていくことです。
伸展はその逆で『伸』の字から想像できるように、股関節を伸ばすことで、股関節を後ろに伸ばします。
動画
股関節の外転と内転
外転は足を外に開く運動を意味します。内転はその逆で、内に閉じる運動のことです。
動画
立位での動画はありませんが、真っすぐ伸ばした状態よりも内に入る動きです。
股関節の外旋と内旋
少しわかりにくいのは、外旋と内旋です。これは股関節をねじる運動のことです。
股関節を動かしたときに、太ももの前面ががどちらに向いているのかを考えればいいでしょう。太ももが外に向くようにねじれば外旋、内に向くようにねじれば内旋です。
ただし膝を曲げた状態だと、イメージしにくくなります。
この状態でも見分けるポイントは同じで、太ももの前面がどちらに向いているか、それを考えればわかります。
動画
外旋
膝を曲げた状態での外旋
内旋
膝を曲げた状態ので内旋
股関節の複合運動
股関節は基本的にはこの6方向に動くのですが、単純に1つの運動だけをすることはほとんどありません。
例えば車に乗るときやお風呂で浴槽をまたぐときには、屈曲しながら外転します。
屈曲と外転、2つ以上の動作を同時行うことを複合運動と呼びます。
複合運動は2軸以上の運動軸を持つ関節の特徴的な動作で、私たちの日常生活を考えると股関節では複合運動が連続して起こっています。
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まとめ
股関節の形態や構造、運動方向についてみてきました。
さきほどから何回も申し上げていますが、股関節はとてもよく動く関節です。ですから動かなくなったときには、動作や生活が大きく障害される可能性があるのです。
どの方向が動きにくいのか、まずはそれを理解することが大切かもしれませんね。