フィットネスクラブでトレッドミルを使ったことがある人は多いのではないでしょうか。
トレッドミルは病院でも使われており、運動負荷の設定にはMETsという基準を用います。
最近フィットネスクラブが増えて身近な存在になりました。
私が通勤で使っている駅の前にも某有名フィットネスクラブがあり、窓際では外側を向いてトレッドミルで歩いている人が見えています。
「どれぐらいのスピードで歩くんだろう?」とふと理学療法士的視点で考えてしまうことがあるのですが、このスピードと負荷の関係について知っている方は少ないです。
そこで今回はトレッドミルと運動負荷に使われるMETsという基準について詳しくご紹介します。
トレッドミルとは?
トレッドミルはベルトコンベア状の床面が動く物で、その上を歩くことを目的に作られた機器です。
と、文字にすると分かりにくいので、実物を見た方が分かりやすいですね。
下の写真の左のふたつですね。
床の部分が後方に動くので歩き続けないと落ちてしまいます。(非常ボタンも付いています)
トレッドミルは速度や傾斜が設定でき、歩行距離などもモニタリングできます。
使用効果のひとつに有酸素運動があるので、フィットネスクラブでダイエット目的に使われます。
また運動負荷を調整し心拍数も測定できるため、病院のリハビリでも用いられることもあります。
たとえば心臓疾患や肺疾患の患者さん対して運動負荷を調整しながらかけるときや、脳梗塞などの脳血管疾患の患者さんの歩行練習、高齢者の歩行練習時などです。
今回は高齢者の歩行練習を例にとり、運動強度について一緒に考えてみましょう。
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高齢者に適切な運動強度とは?
高齢者は健康状態や体力レベルはバラバラですので、その人その人に合った運動強度の設定が重要です。
高負荷すぎる運動では心臓の負担が増加し、高齢者の潜在的な心疾患が引き起こされる要因になりかねますが、「運動」ですからある程度の強度が必要なことも事実です。
高齢者の場合でも中等度程度の運動を実施することが最適とされています。
ここで中等度程度の運動といっても、どのくらいの運動をすればいいかわからないと思います。
そのため簡単に運動強度が求められる簡単な方法についてご紹介します。
それが先ほどから何度か登場しているMETs(メッツ)です。
METsとは安静座位(静かに座っているとき)を1として、それの何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を表します。
例えば、ゆっくりとした歩行であれば2.8METs、普通の歩行であれば3.5METsなどと、運動負荷が増えるにつれてMETsの値も増えていき、ランニングでは9METsと非常に高い運動負荷になってきます。
ちょっとややこしいところなので、もう少し詳しく見ていきましょう。
ゆっくりとした歩行で設定を行うとします。
運動負荷は先ほどお伝えしたように2.8METsで、これは53m/分(分速53m)となり、これを時速に換算すると約3km/時になります。
次に普通の歩行で計算してみましょう。
普通の歩行の場合は3.5METsでしたね。運動負荷3.5METsでは75~85m/分となり、時速に換算すると約4km/時になります。
これを高齢者にとっての運動強度と比べるわけですが、65歳〜79歳の高齢者にとっての中等度は3.2〜4.7METs程度です。
このことから高齢者の運動負荷として歩行速度は約4km/時 前後の負荷量が最適となります。この歩行速度4km/時 をトレッドミルで設定して行います。
しかし高齢者の場合は、既往歴等で心疾患や脳血管疾患などがあるため、すべての方にこの運動負荷量が当てはまるというわけではありません。
実際、4km/時ってけっこう速いです。私は普段歩くのがゆっくりなので、4km/時だとちょっとつらいです^^;
ただ、何となく電源を入れて歩くのはもったいないです。
しっかり基準を作って、効果のある運動をしていきましょう。
退院後に体力維持や向上のためにフィットネスクラブでトレッドミルを行うのもいいですよ。
その場合、一気に運動負荷を上げるのではなく徐々に運動負荷量を増やしていくことをおすすめします。
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まとめ
今回はトレッドミルを用いた運動負荷METsについてお伝えしてきました。
トレッドミルはフィットネスクラブにも病院にもあるポピュラーな機器なので、気軽に使われている方も多いです。
ただし適切な運動強度を設定しないと、運動効果が得られませんので、ぜひ今回の話を参考にしてください。