ランニング中やランニング後に起こる股関節外側の痛みの原因は?ランナーのお悩みに今回はお答えします。
ランニングに関する痛みは膝関節や足関節などさまざまな部位で発症しますが、股関節も例外ではありません。股関節の場合、特に外側の痛みを訴える方が多いです。
外側の痛みの原因はどんなことが考えられるのでしょうか。
股関節外側の痛みの原因は?
股関節の外側の痛みの原因は、外側にある筋肉の過用(『かよう』:使いすぎのこと)によるものがまず考えられます。
外側の筋肉とはすなわち中殿筋と大腿筋膜張筋です。
中殿筋と大腿筋膜張筋は歩行時に左右から壁のように支えてくれて、そのおかげでまっすぐ歩けるという話を以前しました。
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これは立位や歩行だけでなくランニングでも同じことが言えます。
左右に揺れの大きなフォームで走ると股関節の外側の筋肉に過度な負担がかかり、その結果として中殿筋や大腿筋膜張筋を中心に痛みが出現します。
また他にも大転子部にある滑液包の炎症が、股関節の外側の痛みの原因としては挙げられることも多いです。
滑液包とは柔らかいゲル状の袋でで、筋肉や腱が骨とこすり合うところに存在し、こすり合うことで起こる筋肉や腱のダメージを軽減します。
大転子の外側には大腿筋膜張筋からつながる腸脛靭帯という靭帯がありますが、歩行やランニングに中にはこの腸脛靭帯が大転子部とこすり合います。
そこで大転子部滑液包がこすり合うダメージを軽減するのですが、ランニングなどで過度にこすり合うと摩擦がひどくなり、滑液包に炎症が起こってしまいます。
これが滑液包炎と呼ばれるものです。
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膝関節でも同じような痛みが起こる
こちらのブログでは股関節の疾患を中心に扱っておりますので、今回は股関節の外側の痛みがテーマになっていますが、ランナーが起こす下肢の痛みとして最も有名なのは膝関節痛です。
膝関節痛の有名な疾患には腸脛靭帯炎(通称:ランナーズニー)があります。
さきほどの大転子部滑液包炎は腸脛靭帯近位の大転子部で過度な摩擦によって起こりますが、腸脛靭帯は遠位にある出っ張り(大腿骨外側上顆)と腸脛靭帯がこすれ合うことによって起こります。
引用)図解入門よくわかる膝関節の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book)
簡単にいうと大転子部滑液包炎の膝版ですね。
「腸脛靭帯炎の原因は、ランニング時の下肢のアライメントやランニングフォーム、大腿の筋肉の柔軟性の低下」※と伊能は説明しています。
大転子部滑液包炎も腸脛靭帯炎も、発症する仕組みはよく似ていて、腸脛靭帯がの過度な摩擦によって引き起こされます。
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大転子部滑液包炎の治療は?
大転子部滑液包炎の治療としては、
- 走る量を減らす
- ランニングフォームを見直す
- 中殿筋や大腿筋膜張筋のマッサージやストレッチ
などがあります。
ただし中殿筋や大腿筋膜張筋のマッサージやストレッチだけで全ての股関節外側の痛みが解決するほど簡単な問題ではありません。
なぜなら、腸脛靭帯を含めると大腿筋膜張筋は二関節筋ですので、股関節だけでなく、膝関節の影響も受けるからです。
また根本的な解決のためにはランニングフォームの見直しが必須となりますが、こちらも股関節の動かし方だけを変えることで解決するものではありません。
膝関節や足関節、腰部、上肢など身体の全ての動きと股関節の関わりを考え、フォームを見直すことが必要でしょう。
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まとめ
ランニングによる股関節の外側の痛みの原因について考えてきました。
症状が起きているのは股関節の外側ですが、原因は別の場所にある可能性が高いです。ですから局所のマッサージやストレッチ、鍼治療だけでは根本的な解決に至りません。
どこがどのように影響してその股関節の痛みが出現しているのか、絡まった糸を解きほぐす必要があります。