変形性股関節症のレントゲンに診られることがある骨嚢胞(こつのうほう)。
医師から手術をすすめられるひとつの目安になることもありますが、果たしてそうなのでしょうか。
今回はよく話題にのぼる骨嚢胞について考えてみたいと思います。
骨嚢胞とは?
まず骨嚢胞とは変形性股関節症の進行期の頃から診られる骨の一部が空洞化する症状です。
イラストで描くとこんなイメージです。
実際のレントゲンではこのような感じです。ある方からレントゲン写真をご提供いただきました。
一部を拡大してみましょう。
空洞化されているのがよくわかると思います。
先ほども書きましたが、骨嚢胞は進行期の変形性股関節症のころから診られると言われていますので、前股関節症、初期股関節症の方から比べるとかなり進行している状態だと言えます。
その骨嚢胞について先日ご質問をいただきましたので、ご紹介させていただきます。
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骨嚢胞は手術のサインになるのか?
初めまして、40代の女性です。3年程前に臼蓋骨形成不全と診断されました。(特に右足)現在、半年に1度の検診、1年に1度レントゲン撮影をしています。
週に2、3回、プールで水中ウォーキングをしていますが、特にリハビリ等は、受けていません。
先月、旅行で2日間ほど長時間歩いてから、歩いているとき、急に立ち上がったとき、長時間電車で座っているときに痛みを感じるようになりました。激しい痛みではなく、鈍い痛みです。
また、右膝や腰の左側にも痛みを感じています。長時間、右足を下にして寝ることはできません。
かかりつけの病院とは別の病院で、レントゲンを撮ったところ、右股関節に骨嚢胞ができているかもしれないと言われました。
骨嚢胞ができるということは、病気が進行している証拠なのでしょうか?痛みプラス骨嚢胞の指摘があったので、かなり心配になっています。
お忙しいところ、恐縮ですが宜しくお願いします。
こちらに対する私の回答がこちらです。
こんばんは。はじめまして、理学療法士の國津秀治です。お問い合わせいただきまして、ありがとうございます。
骨嚢胞ですが、一般的には股関節のレントゲン上では症状が進行しているとみなされます。
「レントゲン上では」と書いたのは、レントゲン上の症状の進行と痛みはリンクしないこともあるからです。
一般的に診察ではレントゲン上だけで判断されることが多いと思いますが、股関節の治療でいえることは、筋肉や可動域、姿勢や歩行などすべての要素で本来判断して症状が進んでいるとか、進んでいないと考えるべきです。
骨嚢胞は立位や歩行の荷重をうまくおこなえば小さくなったり、消えていくこともあります。(病院ではあまり説明してくれないかもしれませんが)
右膝や腰の痛みについても、股関節⇒膝や腰という図式で痛みを誘発しているのかもしれませんし、もしかしたら逆の場合もあります。
主因がどこにあるのか、その部分がどう他の部位に影響して悪さをしているのか、そのあたりを考えていけばいいと思います。
リハビリをされていないということですが、定期的なリハビリは必要だと思いますので、理学療法士にかかって治療をうけてみてはいかがでしょうか。
以上、ご回答とさせていただきます。
何かございましたら、ご遠慮無くご質問ください。失礼致します。
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まとめ
レントゲン上では骨嚢胞はよくないサインかもしれませんが、姿勢や歩行を適切に見直していけば、手術に直結するものではないともいえます。
まずは理学療法士とともに姿勢や歩行を見直し、医師にレントゲンで定期的に診察してもらうのがいいでしょう。