股関節唇損傷で自転車運動をしてもいいのか?

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股関節に痛みがあり病院や医院で運動をすすめられたとき、どのような運動をすればいいのでしょうか。

以前から何度かお話していますが、変形性股関節症や臼蓋形成不全などで股関節に痛みがあり病院や医院を受診すると、医師からは運動をすすめられることが多いです。

運動するといってもいろいろな種類がありますよね。

筋力トレーニングもそうですし、ストレッチもそう。もちろん歩くことも運動になります。

 

ただしっかり股関節のことを勉強されている患者さんならご存知だと思いますが、股関節疾患の場合、歩行では軟骨をさらに傷つける可能性もあります。

 

そんな中、最近自転車運動を選択される方が増えてきました。

 

目次

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自転車運動は荷重運動?

ここでの自転車運動とは、屋外で移動手段として利用する自転車(いわゆるママチャリやロードバイクなど)から、自宅で行うエアロバイクの運動までを含んでいます。

自転車運動は少ない筋肉を対象とするOKC(開放性運動連鎖)というよりも、多くの筋肉や関節の動きが関係するCKC(閉鎖性運動連鎖)に近い動きになります。

SLRはOKC

CKCスクワットのイラスト

ただしスクワットのように完全にCKCの動きかと言われればそうでもなく、CKCの運動よりも荷重という点ではましになります。

荷重の負担が少なくなるということは、股関節にもやさしい運動になりそうですが、股関節疾患でも股関節唇損傷の方は少し注意が必要です。

 

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股関節唇損傷と自転車運動

以前、ブログをご覧になっている方からこのようなご質問届きました。


題名:股関節唇損傷後のケアについて

性別:男性

年齢:30代

診断名:FAI

メッセージ本文:
この度は突然連絡させていただき恐れいります。◯◯県に在住しています△△と申します。私のスポーツ歴、病歴を簡単に記載させていただきます。
【スポーツ歴】
12歳~20歳;サッカー
21歳~34歳;テニス

【病歴】

  • 高校生の時から股関節の可動域が少ないことを自覚。
  • 29歳頃より疲労時の左股関節の違和感、軽い疼痛、可動域の左右差(左が狭い)あり。
  • 37歳頃、左股関節痛が出現。歩行時に左肩が下がっていることを他人より指摘される。
  • 平成24年3月、左股関節内視鏡手術、骨化した関節唇の切除と大腿骨頸部のピストルグリップ変形の修正を受けました。
  • 術後、テニス復帰は諦め、体重が直接かからない自転車競技を開始しました。
  • 現在術後、約1年半ですが、歩行時の左股関節痛が悪化し、自転車に乗るのを控えています。

このまま痛みが増悪すると、人工股関節置換術を受ける必要があるのではないか、と不安になっています。股関節の軟骨をふやすという貧乏ゆすりも意最近識的に始めました。

 

先生のサイトを拝見し、真摯に股関節のトラブルを向き合っておられる姿勢に感銘を受けました。

時間をみつけて、一度先生に診てもらいたいと思います。もし宜しければ先生のメールアドレスをお教えいただけましたら幸いです。

 

FAIにより股関節にインピンジメントがあり、股関節唇損傷に対する内視鏡術を施行された方からのご質問です。

詳しい情報をいただいて、客観的にご自身の身体についてお考えになっている感じが伝わってきました。

こちらの方は、股関節唇の切除とピストルグリップの変形に対する内視鏡術を受けられたということですが、ご質問を拝読して感じたことをお伝えします。

 

まず股関節唇に対する内視鏡手術でどこまで運動レベルが改善するかは、まだまだ未知数な部分が多いということです。

それは手術が悪いとか、手術が失敗だということではありません。

股関節での内視鏡手術の歴史が浅く、症例数が少ないためデータがまだまだ不十分なこと、またその後(もしくはそれ以前から)の動作やリハビリによるところが大きいからです。

 

こちらの方はいまテニスは辞めて自転車をされているそうですが、変形性股関節症などの一般的な股関節疾患と違い、股関節唇損傷では自転車運動をされている方が股関節を傷める可能性があります。

もっと極端にいえばテニスだからダメ、自転車だからOKだということではなく、荷重の繰り返しよりも、股関節唇が挟み込まれるような動作や運動を繰り返さないようにうまくコントロールしていく必要があります。

 

股関節唇の挟み込みは股関節の深い屈曲によっておこりやすいと言われていて、野球の内野手の守備の姿勢、スピードの滑走姿勢、サッカー選手のキック動作、そして最近多く寄せられるのは自転車をこぐ動作で起こりやすいです。

ロードバイク深屈曲股関節唇損傷

ですから安静や特殊な治療というよりも、股関節唇が挟み込まれないように股関節をうまく動かす方法を習得していけば痛みは改善する可能性はあります。

 

ただしこれは手術前の方が効果は得られやすい印象があり、手術による弊害(癒着など)もあるので、なんとも言えない部分もあります。

 

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自転車はどんなものがおすすめ?

あと自転車についてですが、こんなご質問も届きました。


お久しぶりです。1年ぶりに投稿させていただきます。

1年間仕事をがんばりましたが、股関節痛が悪化し退職しました。今では腰椎ヘルニアもあり、イスに座るだけでも痛みます。

再就職先は2kmほど坂道を登らなくてはなりません。

今後股関節痛が悪化しないためには、電動自転車(高価なので厳しい)か6段変速自転車、または運動のために徒歩にするか迷っております。

悪化すれば歩くのも無理になるでしょう。健康資本と思って思い切ったほうがベストですかね。どうか助言をお願いします。

こちらは股関節唇損傷があり、以前ご質問をいただいた方です。

さきほどのお話ではママチャリからロードバイクまでを一括りにして「自転車」としていましたが、選ぶならどのような自転車がいいでしょうか。

 

ロードレースやトライアスロンで使用するような本格的なロードバイクは、こぐときに深い屈曲を必要とするため、ダメということではないですが一般人の通勤や買い物などの日常使用にはおすすめしません。

さきほども述べましたが、股節唇損傷の場合、深く屈曲するような姿勢を繰り返すことによって起こると言われています。さらに坂道などでは負担が大きく、力を入れることが多くなるからです。

 

そう考えると電動でも変速でも負担という点では大きな差はないかもしれませんが、強いて言うならこぐ回数という意味では電動の方が少なくなるのでよいかもしれませんね。

最終的には電動か変速かというよりも、ペダルのこぎ方が一番の問題になるでしょう。

 

あと豆知識として購入のされることがあれば参考にしていただきたいのですが、電動自転車のバッテリーは2年ぐらいでへたってしまいます。

これは携帯やスマートフォンの充電池のもちが悪くなるのと一緒です。ですから2、3年後にはまたバッテリーを購入しなければなりません。

 

このバッテリーが高くて、よい物(長く乗れるもの)なら3万円ぐらいしますので、そのあたりのコストも考えられた方がいいかもしれません。

歩行と電動自転車であれば、電動自転車で適切にこげた方が負担は少ないかもしれませんが、やはりヒトの生活を考えた場合は時々歩かれる方がいいと思います。

 

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股関節唇損傷でも正しく運動すれば自転車もOK

後日最初にご質問いただいた方から、御礼のメールが届きましたのでご紹介させていただきます。


詳しいお返事をいただき、心より感謝致します。正に先生の指摘の通りだと思います。

 

術後に、テニスを継続すると股関節痛が再発するだろうことは本能的に感じました。

そこでリハビリを兼ねて自転車に乗り始めたのですが、意外にも股関節にはあまり負担がなく乗る距離を増やし、ついには今年6月に自転車の全日本選手権に出場しました。

そして2ヶ月前から本格的にコーチに自転車に乗る際のポジションを指導してもらいました。

空気抵抗を少なくするために、深い前傾姿勢で乗る必要があり、そのポジションで練習をしていたところ患側の股関節が痛み始めたのです。

 

深い前傾姿勢で乗ると、漕ぐ時に膝が体の近くに接近し、股関節は深く屈曲します。その位置まで来ると、股関節の負担になるようです。(前側の股関節唇が挟み込まれる)

これから深い前傾姿勢はとらずにヒルクライム中心に自転車競技を趣味として継続するか、残念ですが自転車競技自体を諦めるかを考えております。

 

股関節のストレッチはyoutubeなどに結構情報があり、見よう見まねで毎日30分くらいやっております。(ヨガの先生の股関節の柔らかさには驚くと同時に羨ましい限りです)

しかしこのストレッチも頑張り過ぎると次の日かえって痛かったりします。 無理なストレッチングはかえって股関節の炎症の原因になるようです。

先生の治療をうける機会があれば是非大阪まで伺います。ブログをチェックしておきます。

主治医の先生よりいただいた小生の股関節の画像を添付させていただきます。

主治医の先生の外来には今も半年に一度通院しています。先生が一生懸命に股関節の治療に取り組まれている事もあり、つい、「はい、全然問題なく生活しています!」と答えてしまいます。

この度は、わざわざお返事をいただき、本当にありがとうございました


とても丁寧なお返事をいただきました。

でも医師や理学療法士には無理をせずに、正直に自分の情報を伝えた方がいいかもしれませんね。

 

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まとめ

股関節唇損傷とリハビリについてお話してきました。

自転車は歩行に比べて股関節への負担が小さく、膝関節や股関節などの下肢に痛みgあある方にはおすすめの運動です。

 

ただし股関節唇損傷ではかえって症状を進行する可能性もあり注意が必要です。

以上、参考になれば幸いです。

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