左右のふくらはぎの太さを見れば、その人の歩き方の特徴が見えてきます。その理由とは?
左右のふくらはぎの太さが違う方は必見です。
突然ですが、ひとつお聞きます。みなさんのふくらはぎの太さは左右とも同じぐらいでしょうか。
左右のふくらはぎの太さが違う方は、歩行にある特徴があるのかもしれませんね。
実は股関節と足関節やふくらはぎには絶妙な関係があります。
今回は股関節と足関節やふくらはぎの関係について考えていきましょう。
きっと新しい発見があると思いますよ。
股関節と足関節やふくらはぎの関係
足関節の蹴り出しをいっぱい使う歩き方をしていれば、人工股関節全置換術後の股関節機能の回復の妨げになる可能性があります。
一方、股関節がしっかり使えずに、足関節に頼った歩き方をしているとどうなるか気になりますよね。
答えは簡単、ふくらはぎが普通よりも太くなってしまいます。
ふくらはぎの筋肉で代表的なものは、某湿布のコマーシャルで有名になったヒラメ筋や、腓腹筋という筋肉です。その2つの筋肉が合わさり、下腿三頭筋という筋肉を構成しています。
この下腿三頭筋はもともとは足関節(足首)を底屈といって、下方向に向けるために働く筋肉です。
底屈方向への動きで代表的な動きはジャンプです。つまり頭上方向への動きとなります。
この底屈の動きがミソで、もともと下腿三頭筋は頭上方向への動きに使われるもので、歩行時に前へと進む力を生み出すものではありません。
このように足をしっかり後ろに蹴り出して、人間は前に進むのですが、この時使うべきは足関節底屈ではなく、股関節伸展です。
でもここでひとつの疑問が・・・。もし股関節の伸展可動域が悪かったらどうなるでしょうか。
股関節伸展の可動域が低下するということは、股関節伸展がうまく使えないということです。
そうなると股関節の伸展でうまく前に進むことができませんのでどうするかというと、足関節底屈で前に進もうとする歩き方になってしまいます。
それが人工股関節全置換術後の患者様によく見られる歩き方の一因なってきます。
左右のふくらはぎの太さの違いがある方は、このような歩き方のクセがあるかもしれません。さっそく左右のふくらはぎの太さをチェックしてみましょうね。
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ふくらはぎの左右差が起こるもうひとつの理由
これとは別に、ふくらはぎの左右を生み出すもうひとつの理由があいます。
まずこちらの写真をご覧ください。この方の場合、股関節機能はどうなっていると思いますか。
変形性股関節症でリハビリ中のAさんです。(※掲載の許可はいただいております)
Aさんの足を後ろから撮影してみました。ふくらはぎの太さを見ると、左の方がやや太いです。この方の患側(痛い方)は右?左?どちらだと思いますか。
上記で申し上げた話の流れで言うと、左の股関節が使えないのを足関節底屈で代償していくということですので、この方の患側というのは左脚となりそうです。
先に答えを申し上げると、現在痛いのは左脚ですが、長年痛みを抱えていたのは右脚で、レントゲン上でも症状が進行しているのは右脚です。
なぜそのようなことが起こっているのでしょうか。
Aさんの場合、股関節機能をかばっていたためふくらはぎの筋肉が発達したのではなく、歩行の習慣によってふくらはぎの筋肉が発達したと考えられます。
どんな習慣か?それはいわゆる蹴り足。簡単に言うと、どちらかの足が後ろにあるときの方がしっかり蹴り出せるということです。
Aさんの場合、それが左足で、動作観察を行うとその傾向がしっかりわかります。
以前からお話しておりますように、股関節を診ることは全身を理解しないといけないのですが、歩行から起こる現象の原因は1つではなく、いろんな要素を検討する必要があります。
たとえば以前いただいたこちらの質問でもそうです。
はじめまして。◯◯と申します。
こちらのサイトを見つけて、先生なら改善していただけるのではないかと思ってメールさせていただきました。
私(23歳、女性)はふくらはぎの太さが左右で違っていて、右側の方が1cmちょっと太いんです。いつからこうなったのかは分かりませんが、小学校高学年の頃の写真では既に太さが違っているように見えます。
整形外科では体重のかけ方が左右で違うのでしょうと言われました。
自分でもそうだと思っていたので、片足重心はせず、荷物も左右で順番に持つようにしたり、歩く時も右足ばかり蹴り出しているのかなと思って意識したりしているのですが、歩いているとやっぱり右足に負担を感じます。
右足のふくらはぎから膝にかけては負担を感じるのに対し、左足は筋肉が使われている感じがないんです。また右足の方が筋肉も硬いです。
見た目的に本当に悩んでいて、少しでも差をなくしたいんです。
股関節の痛みは左側にたまに痛みを感じた時期も一瞬ありました。今は特にありません。
疾患や運動歴などが書かれていないので何ともいいようがない部分もありますが、リハビリでは0.5cmは誤差の範囲とされていますし、左右の太さで1cmであれば違う人はいると思います。
私も利き足である右よりも左は0.5~1cmほど周径が違います。大切なのはそれよりも筋肉のつき方や張りなどが違わないかということです。
この方がおっしゃっているように一見して分かるようであれば、左右のふくらはぎの周径はもっと違うかもしれませんね。このあたりは一度周径を測って比べる必要がありそうです。
もし左右差が大きいのであれば、ふくらはぎや足関節、膝関節だけではなく、股関節や体幹から動きを変えていく必要があるか、それともそうしている何か疾患があるのか、そのあたりを考えていく必要があると思います。
理学療法士がいる整形外科を受診して、評価、治療してもらうことをおすすめします。
「右足のふくらはぎから膝にかけては負担を感じるのに対し、左足は筋肉が使われている感じがない」と書かれていますが、この感覚はすごく大事だと思います。
意識しているから余計にそう思うのかもしれませんが、どこを使っているか感じることは必要ですので、使っているのが股関節なのか足関節なのか、しっかり意識しましょう。
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まとめ
股関節とふくらはぎの関係についてお伝えしてきました。
ふくらはぎの太さは歩行時の股関節の使い方を知るひとつの手がかりになりますが、それで全てが決まるわけではありません。
立位や歩行をしっかり観察して、膝関節や体幹など全身との関係から、つながりを導き出す必要があります。
ただし、左右のふくらはぎの太さが違うことは、姿勢や歩行の手がかりになりますので、自分のふくらはぎの太さを知っておくことは必要でしょう。
ふくらはぎの太さは巻き尺で測れますので、左右のふくらはぎのい一番太いところと、一番細いところを測定して比べてみてください。