股関節痛や膝関節痛とプールでの運動 その効果と注意点

このページにはプロモーションが含まれています。

下肢(股関節や膝関節)に痛みを抱える方からよく聞かれる質問に、プールなどの水中運動はどうかというものがあります。

本日はプールでの水中運動について考えてみましょう。

 

整形外科に股関節痛や膝関節、腰痛などで通うと、運動をすすめられる機会があると思います。

例えば股関節なら片脚立ちになると、股関節には体重の3倍の負担がかかるので、肥満は痛みを作りだす原因になることは容易に理解できるでしょう。

 

とはいっても、ダイエットするために運動をすると、余計に痛みが増えることもあります。

実際に変形性股関節症や変形性膝関節症で関節に痛みがある場合、よくない歩行を繰り返すことは関節を傷める場合もあります。

 

良かれと思って続けている運動で実は身体が悪くなっているなんて、ご本人は知るよしもありません。諸刃の剣ですよね。

 

目次

スポンサーリンク

プール運動の実際

そんなとき医師やリハビリのスタッフからプールでの運動が良いと勧められることがあります。

股関節痛膝関節プール2

 

誰でもプールや海で泳いだり運動した経験はあると思いますので、何となく水中での運動は良さそう感じはあると思います。

でも実際にどのような効果があるか、しっかり理解できているでしょうか。

 

水中での身体への影響は、生理学的なものバイオメカニクス的なものに分けるとわかりやすいでしょう。

 

スポンサーリンク

水中での生理学的な影響

生理学的に影響と書くと難しいですが、簡単にいうと水圧と水温が関係してきます。

 

水圧は水中にある物体に全て方向から加わり、深さに比例します。

股関節痛膝関節痛プール3

 

身体に水圧が加わると、静脈が圧迫されて血液の循環機能が改善します。また頚部まで水中につかると胸郭や腹部に圧迫が加わり、横隔膜が働きにくくなります。お風呂の中で少し呼吸がしにくい状態がそうです。

そうなると通常より呼吸がしにくい状態となり、心肺機能の向上します。

 

水温は一般的に約35度(日本人で34~36度)より高かったり低かったりすると、血液循環が活発化し、基礎代謝が増えます。1)

 

 

スポンサーリンク

バイオメカニクス的な影響

次にバイオメカニクス的なものとしては、浮力と水の抵抗です。

 

浮力は深くつかればつかるほど体重が免荷されます。そのため股関節や膝関節に痛みがある方でも、陸上よりも痛みなく運動が行えます。
プール水位による体重免荷の%
引用)図解入門よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book)
 

へそまでつかれば体重の50%、肩までつかれば体重の90%が免荷できます。

 

水の抵抗は等速性といって、速く動けば動くほど抵抗が増えます。そのため自分で動くスピードを調節して負荷量を決めることができます。

プールの中ではゆっくり動くと抵抗は少なく(負担が少なく)、速く動けば抵抗が大きく(負担が大きく)なります。

 

スポンサーリンク

水中運動と運動継続の問題点

バイオメカニクス的なところでお伝えしたように、水中での運動は陸上よりも体重の負担が軽くなりますが、循環器系への負担が増えます。

そのため陸上と同じ運動でも、実際の負担は増えます

 

また水中での運動でも汗をかくので、こまめな水分補給をしてください。

 

 

ただしプール運動を継続するにはちょっとした問題点があります。それはプールに通うのが面倒ということです。

 

たとえば夏の暑いときにプールにいくのが大変、冬は寒いから出たくない、大雨や暴風の日には出かけたくないなど、プールに通い続けることは案外大変です。

笑い話ですが、本当にこれが原因でプールに通うのを辞めてしまう人は多いのです。

 

また毎日通うとなれば、帰宅後に水着の洗濯をしなければなりません(水着が2着あれば問題ないです)し、それも面倒になってくるという意見もありました。

 

あと金銭的にプールに通い続けることが大変という方もいると思うので、プール運動を継続していくのはやる気が必要です。

 

単にダイエットを考えるなら、自転車での運動でも股関節や膝関節の負担は少ないので、代用できると思います。

 

スポンサーリンク

まとめ

プールでは生理学的な影響と、バイオメカニクス的な影響を考えて運動を行いましょう。

 

水中運動ではリラクセーション効果もあるため、日頃の痛みや不安は和らぎます。歩行運動で痛みが強く、陸上での運動が難しい場合には水中での運動も選択肢のひとつとしてみてはいかがでしょうか。

 

[文献]

1)『水中運動・水泳の生理』岡田真平、理学療法17巻8号、2000年

目次