大きな書店の医学や医療関連コーナーに行くと、所狭しといろいろな書籍が並んでいて、どんな本がいいか悩むことがありますよね。
有名な股関節専門医が書いているから良い本とは限りません。またよく分からない資格の方が書いている本は、内容がかなりあやしいものもあります。
たとえば、
「1日たった10秒のストレッチだけで腰痛が治る」
「このツボを押すだけで10日で5kg体重が落ちる」
「◯◯(医学の常識となっていること)はするな」
などなど、「ほんまに?!」って声をあげたくなるような魅力的なタイトルの本がたくさんあります。
でもこんな本を買ったからといっても、本当に治るのか分からないということを理解しておくべきです。
書籍の真意は?
私は気になる本があれば、購入してじっくり読むようにしています。それは批判したいからというわけではなくて、どんなことを言いたいのか真意を理解するためです。
たとえば、本当に10秒のストレッチで腰痛が治るのであれば、書籍は理論や方法の解説を含めても20ページぐらいあれば事足ります。
でもそういう医学や医療書籍は100~200ページあることもあり、けっこう分厚いことが多いです。
中身をよくよく見ていると、関連するストレッチが細かく書いていたり、姿勢や歩行を治すように書いていたり、挙句の果てには筋トレまで詳しく書かれていたりするこもあります。
「10秒のストレッチだけって書いてるのに・・・」とちょっと騙された気になるのですが、それが知りたいために購入までして読むのです。
結局この手の本は、作者の腰痛やダイエットのメソッドの主たる部分をぎゅっーーと圧縮して、抽出された言葉を分かりやすいように(というより、目立つようにというべきでしょうか)タイトルにしてるのです。
ですから、本当に「たった10秒毎日同じストレッチをするだけで治る」というわけではないです。
本が売れない時代
本のタイトルに関してはもう1つ大きな理由があります。それは書籍をいかに売るかという視点です。
新書コーナーを見れば分かりますが、新しい本って毎日毎日たくさん発売されています。
ちょっと前に売れていた本もすぐに古くなり、新しい本が注目されるようになります。
そんな中、どうにかして消費者に手にとってもらうためには、魅力あるタイトルにするしかありません。
たとえば股関節に関していえば、
「中殿筋をマッサージすれば全ての股関節痛は治る」
「股関節痛を改善するためには筋肉だけじゃなく、姿勢や歩行、食事など、生活の全てに気をつけないといけない」
という2つのタイトルの本が並んでいたとします。(2つ目はちょっとタイトルが長いですが、それは気にしないでください)
この2つの書籍が同じ値段で並んでいたら、きっと消費者は前者を選ぶでしょう。
だって中殿筋をマッサージすればいいだけですから、楽にできそうじゃないですか。
良くなるために努力をする気持ちがあって、できれば簡単にできる方がいいですもんね。
だからその想いをくすぐるように、キャッチーで逆説的などタイトルにするわけです。まあ褒められたものじゃないですが・・・。
見極める目を持とう
ひとつのことだけすれば、股関節痛にしろ、腰痛にしろ、それがすべて治るようなことはありません。それはみなさんも薄々感じておられるでしょう。
こちらのブログにお越しの方は、そんな大衆受けするようなタイトルに惑わされることはないでしょうが、簡単さ、楽さを謳うような健康法には疑ってかかった方がいいです。
これがダイエットだと、多くの方が失敗した経験があるので理解してもらいやすいのですが、難治性の病気の場合は正しい判断ができないことも多いです。
医学や医療の書籍の全てが悪いと言っているわけではありません。そこは誤解していただきたくないのですが、正しくない書籍が本屋に並んでいることもまた事実です。
しっかり見極める目を持ちましょうね。
おすすめの書籍は?
こちらのブログに「何かおすすめ書籍はないですか?」とご質問が届くことがあります。
私はAmazonや書店で定期的に股関節関連の書籍をチェックしていますが、「これはおすすめできる!」と思う本にはなかなか出会いません。
変形性股関節症や股関節唇損傷などの股関節痛で悩んでいる方は、書籍を読んだり、インターネットを見たりして情報を集めます。
でも股関節って整形外科疾患の中では、腰痛、五十肩などの肩関節痛、膝痛よりも患者さんが少ないので、ブログは散見されますが書籍はたくさん出版されていません。
たくさん患者さんがいる方が書籍にすれば売れやすいですし、インターネットだってより多くのアクセスを望めますもんね。
そこで私が実際に購入して読んだ本中から、股関節痛の患者さんのお役立つと思う本をピックアップしました。
医療従事者が読む読む専門書ではなく、一般の方が読んでも分かりやすいものを選んだつもりです。
ご興味があればぜひご覧ください。
⇒ 痛みに関する書籍