今回は足首こと、足関節の解剖と運動学についてお伝えします。
股関節とも関係の深い足関節についてぜひ知ってください。
以前こちらのブログで高齢者の転倒とバランス能力の低下の関係についてお伝えしたことがあります。
まだ読まれていない方は今日の話に直結しますので、先にこちらをご覧ください。
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高齢者は股関節でバランスをとろうとします(hip strategy:ヒップストラテジー)が、足関節でバランスをとれる(ankle strategy:アンクルストラテジー)ように練習した方がいいという話でした。
アンクルストラテジーには足関節の動きが関わってきますが、その解剖や運動学についてご存知の方はほとんどいないと思います。
足関節の解剖
足関節は脛骨、腓骨、距骨の3つの骨で構成されます。
脛骨と腓骨についてはこれまでもたびたび登場しましたね。脛(すね)にある骨で、いわゆる「弁慶の泣き所」は脛骨に当たります。
参照) 脛骨と腓骨の解剖をイラストを用いて分かりやすく解説します
距骨はこちらのブログでは初めて登場します。
それでは細かく見ていきましょう。
まず下腿全体だとこんな感じですね。
足部をアップにしてみましょう。
関節の上側(近位)にあるのが脛骨と腓骨、下側(遠位)にあるのが距骨(きょこつ)です。
外側から見るとこんな感じ。
内側から見るとこんな感じ。
距骨は下腿の骨と足部を構成する骨を結ぶ骨で、足関節の運動学ではこの距骨の動きが非常に重要になります。
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足関節の運動学
足関節の本名は距腿関節(きょたいかんせつ)といいます。(便宜上、この記事では足関節と表記します。)
距骨の「距」と下腿の「腿」をとって、その間にある関節ってことですね。
足関節の軸はひとつで、蝶番関節(らせん関節)に分類されます。これは肘関節と一緒ですね。
足関節でできる運動は至ってシンプルです。
足関節を手前に動かす(足の指を反らす方向)背屈と、足関節を下に動かす(足の指を曲げる方向)底屈で、関節可動域の参考角度は背屈20°、底屈は45°です。
写真で見るとこんな感じですね。
この動きをするとき骨はどうなっているか見てみると、このようになっています。
正面から見た背屈。
正面から見た底屈。
足関節の内側から見た背屈。
足関節の内側から見た底屈。
動きとしては手前に動くか、向こう側に動くかなのでそれほど難しくはありません。
背屈・底屈すると、距骨が脛骨と腓骨が作るアーチの中を出たり入ったりします。
ここでひとつポイントがあります。
いま申し上げたように、背屈時には距骨が脛骨と腓骨のアーチの中に入ります。
このときそのまま入ろうとすると距骨がアーチにぶつかってしまいます。
よく橋げたの下をトラックが通行しようとしてぶつかってしまったというニュースがありますが、それと同じでそのままだと距骨はこのアーチの下を通りにくいんですよね。
そこでどうするかというと、背屈で距骨が通るときだけこのアーチがわずかに拡がります。
アーチが拡がるというのは、具体的には遠位脛腓関節が拡がるということです。これを開排(かいはい)と呼びます。
もっと詳しくいうと、腓骨は挙上や外旋も伴うのですが、ここではそこまで覚えなくてもいいでしょう。
とにかく背屈しようとすると、アーチが拡がることを覚えておいてください。(逆に底屈時には閉じる動きになる)
ですから、一度みなさんも試して欲しいのですが、足関節の内くるぶしと外くるぶしをギュッと内側に強く圧迫すると、背屈しにくくなります。
内側への圧迫は見かけ上は背屈を直接止めている訳ではありませんが、開排ができなくなるため背屈が制限されます。
足関節付近を骨折してリハビリする場合、足関節だけでなく、脛骨、腓骨、そして脛骨と腓骨の関係が足関節の関節可動域に影響を与えます。
極端な話、足関節には直接関わらない近位の腓骨頭付近を骨折しても、足関節の動きが悪くなる可能性があります。
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まとめ
足首の解剖と運動学についてお伝えしてきました。
足関節は股関節や膝関節ほど注目されることは少ないですが、身体を支える土台となる脚の根本、つまり土台をささえる基礎となる部分です。
足関節の動きひとつで、立位時に身体が傾いたり、歩行時にうまく着地できなかったりするので、足関節の動きは必ず理解しておきましょう。