関節って何?関節の解剖学的構造を正しく理解しよう!

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今回は関節の構造のお話です。

そもそも関節とは何か。解剖の基礎の基礎となる部分をしっかり見直していきたいと思います。

こちらのブログは股関節をメインテーマとして取り扱っていますが、そもそも「関節って何?」と聞かれたらみなさんはどんなものを想像しますか。

 

一般的には骨と骨がつながっている部分を関節と呼びますが、私たち理学療法士が対象としている「関節」にはある条件が存在します。

これを知らないと、関節がかたくなる症状のひとつ「拘縮(こうしゅく)」の発生機序も理解できません。

 

では詳しく見ていきましょう。

 

目次

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関節の分類

骨と骨のつながり(連結)には以下のような種類があります。

関節の種類3

 

まず連結は線維性連結、軟骨性連結、滑膜性連結の3つに大きく分けられます。

 

線維性連結はさらに縫合と靭帯結合に分けられます。

縫合は鼻骨や頭蓋骨の結合で見られます。縫合には動き(可動性)がありません。

 

鼻骨の間は直接結合。(すみません、良いイラストがありませんでしたm(__)m)

 

こちらは頭蓋骨を後ろの上から見たところ。

鋸は「のこぎり」と読みますので、鋸状縫合はのこぎりの形をした結合を意味します。

鋸状縫合頭蓋骨

 

靭帯結合で代表的なものは、脛骨と腓骨を結ぶ脛腓靭帯結合で、わずかに動きがあります。

靭帯結合前脛腓靭帯1

足首に近いところに脛腓靭帯結合があります。(イラストは前脛腓靭帯ですが、後脛腓靭帯もあります)

 

次に軟骨性結合は軟骨結合と線維軟骨結合に分けられます。

軟骨結合はわずかに動きがあり(靭帯結合よりも多い)、線維軟骨結合は軟骨結合よりも動きます。

 

軟骨結合は肋骨と胸骨を結ぶ肋軟骨が有名。

軟骨結合肋軟骨

 

線維軟骨結合の代表格は背骨同士を結ぶ椎間板ですね。

線維軟骨結合椎間板

 

そして最後が滑膜性連結。リハビリではこれを関節と呼んでいます。

滑膜性連結は股関節や膝関節を考えれば分かりますが、一番動きが大きいです。

 

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滑膜性連結の構造

私の学生時代の解剖学の師・渡辺正仁先生は次のように著書に記しています。

関節は関節面(関節面を持つ骨端を関節体という),関節腔(関節面と関節面のとの間にある空所),そして両者を覆う関節包と,さらに必要に応じた特殊装置(靭帯,関節円板,関節半月,関節唇)よりなる

引用) 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のための解剖学
 

ややこしいので股関節を構造を思い出してみましょう。

股関節の解剖イラスト1
引用)図解入門よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book)

股関節では大腿骨頭が寛骨臼のくぼみにはまり込みますが、より安定させるために、寛骨臼の縁を関節唇という線維軟骨が取り巻いています。

これにより大腿骨頭がよく深く寛骨臼に収まることができ、股関節の安定感が増します。

 

また股関節を被うように関節包という強固な袋があり、その内側を滑膜が被っています。

滑膜は軟骨に栄養を与えたり、関節面の摩擦を軽減させる潤滑油となる滑液の分泌と吸収を行う重要な役割を担います。

 

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なぜ関節の構造を知らないといけないのか?

ここまで関節(滑膜性連結)について詳しく見てきました。

正直に申し上げると、おそらく看護師でもここまで詳しく知らない方も多いです。基礎中の基本ですが、でもマニアックな内容です。

 

ではなぜこんなに細かく関節の構造について説明してきたかというと、関節がかたくなる理由を説明するときに関節の構造が深く関わっているからです。

 

リハビリでは関節のかたさと向き合うことがあります。股関節も例外ではなく、関節がかたいと訴えている患者さんはたくさんいます。

この関節がかたくなる症状、つまり拘縮(こうしゅく)の機序に関節の構造が関係しています。

 

上田らは拘縮を次のように定義しています。

関節構成体軟部組織すなわち、滑膜、関節包、靭帯などが炎症、損傷によって収縮したものとされる

引用)リハビリテーション基礎医学
 

つまり関節の構造体である滑膜や関節包などが収縮してしまった状態が拘縮なのですが、滑膜とか関節包がどこか分からなかったら、症状をイメージすることができません。

そのためここまで詳しく関節の構造を紹介したのです。

 

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まとめ

関節の構造についてお伝えしてきました。

 

ややこしい単語がたくさん登場しましたが、要は関節には種類があるけど、私たちが関節と呼ぶのは滑膜性関節のこと、それだけ覚えてください。

それさえイメージできてよね。れば、レントゲンで見る寛骨臼と大腿骨頭の隙間にも、いろいろな組織があることが理解できます。

 

ぜひそんな目で次回のレントゲンは見てくださいね。

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