膝蓋骨の解剖、その役割と可動性。お皿はどれぐらい動くのか?

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膝にある「お皿」は実は大切な役割を担っています。

今回はお皿を解剖学的な視点で確認し、その役割や可動性について詳しくお伝えします。

膝蓋骨の解剖、その役割と可動性。お皿はどれぐらい動くのか?

お皿と聞いて知らない知らない人はいないでしょう。念の為言っておきますが、食卓で使うお皿じゃないですよ。

お皿は解剖学では膝蓋骨(しつがいこつ)と言います。

蓋は「ふた」の意味ですから、膝蓋骨は「膝関節に蓋をする骨」ということです。

蓋?何のこっちゃ?

早速ですが、このあたりを詳しく見ていきましょう。


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膝蓋骨の解剖

まず膝蓋骨をイラストで見てみましょう。

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膝関節の前面にある丸っこい骨です。正面から見て、下の方の尖っているところが膝蓋骨尖(しつがいこつせん)、なぜか上方が膝蓋骨底と呼ばれます。

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膝蓋骨は解剖学上、種子骨(しゅしこつ)に分類されます。

種子骨は文字通り「たね」のような骨で、ぽつんと浮いたように存在しています。

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他に種子骨がどこにあるかというと、手首や足の裏など腱が通るところで、摩擦が起こりやすいところに存在していることが多いです。

一番分かりやすいのはここ。

豆状骨の触診どこにある?

手首の小指側に豆状骨(とうじょうこつ)という骨があります。手首を少し後ろに倒すと簡単に触れます。豆みたいな小さな骨です。

解剖のイラストで見るとこんな感じ。

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膝蓋骨は人体で一番大きい種子骨として有名です。

大腿四頭筋は膝蓋骨のすぐ上ぐらいで4つの筋肉がまとめられて、膝蓋靭帯を介して脛骨粗面に付着します。

先ほど「膝関節に蓋をする」と書いたのは、前面から大腿骨と脛骨で構成する膝関節を覆っているので、その名前がついたのでしょう。

膝蓋骨は蓋をしている膝関節の前面と膝蓋大腿関節を形成します。

膝蓋大腿関節は正面からのレントゲンでは見えなくて、上から見るとわかります。

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膝蓋骨と大腿骨の間に、隙間が空いていますが、ここが膝蓋大腿関節になります。レントゲン上ではこのように隙間があるのですが、実際には分厚い軟骨があります。

膝蓋大腿関節は膝蓋大腿関節障害で痛みを起こすことがあります。


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膝蓋骨の役割

膝蓋骨の役割は大きく分けて2つあります。

ひとつは前方からの衝撃から膝関節を守ります。簡単にいうと盾のような役割ですね。

転倒やバイク事故では強い衝撃が加わることがありますが、あまりに強い衝撃を受けると膝蓋骨を骨折することもあります。

もうひとつは膝蓋骨があることによって、大腿四頭筋がしっかり力を発揮することができます。これがものすごく重要です。

図でみると分かりやすいのでこちらをご覧ください。

膝蓋骨の役割は大腿四頭筋の筋力アップ
文献1) 図解入門よくわかる膝関節の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book)

大腿四頭筋は膝関節の伸展に働きますので、大腿四頭筋の作用を表すのはこの図でいうと左側がQ4、右側がQ6です。

膝蓋骨がある方が膝関節伸展方向への矢印が大きい(膝関節伸展方向に力が働いている)ことが視覚で理解できると思います。

分かりにくい方は「膝蓋骨があった方が大腿四頭筋は機能しやすい」、これだけでも絶対覚えておいてください。

逆に、膝蓋骨の動きが悪かったりすると、大腿四頭筋の筋力が発揮しにくいことは容易に想像できますよね。

ですから、変形性膝関節症で「太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えましょう」という前にやるべきことがあるのです。

こういった運動学の知識があるだけで、筋力トレーニングの意味が大きく変わってきますのでしっかり覚えておいてください。


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膝蓋骨の可動性

では膝蓋骨はどれぐらい動くのでしょうか。

と、その前に膝蓋骨が動く方向を確認しておかないといけませんね。

膝蓋骨は上方、下方の他に、内側(医療では「うちがわ」ではなく「ないそく」と呼びます)、外側(同じく「そとがわ」ではなく「がいそく」)の4方向に動きます。

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どれくらい動くか、それだけのデータがなかったので、膝蓋骨の可動性を定量評価できるかを調べた調査の中で、何mm動いたか調べていたのでそちらを記載します。

伸展位:上方・下方・内側・外側の順に,A群では17±4,27±5,14±4,17±4、B群では17±4,27±4,15±4,17±4でった。

屈曲位:上記順にA群では16±5,26±6,11±3,14±4,B群では15±4,27±5,11±3,14±4であった。文献2)

補足を加えておくとこちらの調査では、健常者20名(男女10名ずつ)、左右合計40膝で調べていて、1回目の計測をA群とし、2週間以内に行った再計測をB群としています。また屈曲位は膝関節30°屈曲位を指します。(単位はmm)

こう見ると下方へは大きめに動くことが分かりますね。

膝蓋骨を動かしてみよう

変形性膝関節症など膝関節に関わる疾患の患者さんだけでなく、下肢の疾患の患者さんのリハビリをするときに膝蓋骨を動かすことがあります。

実際に動きを確認したい方はこんな方法で動かしてみましょう。

まず上下方向に動かすときには、両手をこんな感じにします。

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この状態で手先の真ん中に膝蓋骨を納めます。

その状態で上下にゆっくり動かしてみましょう。

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別法としては、手の平をこんな形にして、手の平に膝蓋骨を収めます。

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コツは手のひらの根本(解剖学にいうと近位の手根骨付近)で、膝蓋骨をがっちり固定することです。そうすると逆側を指先で引っ掛けたときに、しっかりとロックされます。

その状態で同じように上下にゆっくり動かしてみましょう。

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もう一方の手を上から添える動かしやすくなります。

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必ず動かしやすい方向があるので、「どの方向には動きやすいのかな?」と意識して動かしてみましょう。

次に内側と外側方向です。

内側と外側に動かすときには親指と人差し指で、膝蓋骨を挟むようにします。

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挟んだ状態で、膝蓋骨を内側・外側方向に動かしましょう。

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動かし方は上下方向と一緒で、ゆっくり動かしやすい方向を探ってください。

上下方向も内側外側方向も、膝の皮膚がすべっているのを膝蓋骨の動きと勘違いすることがありますので、しっかり骨が動いていることを確認してください。

痛みがある方は無理に動かさないでください。また力むと動かなくなるのでリラックスして行ってください。また膝蓋骨脱臼の経験がある人や、膝蓋骨が亜脱臼している人は簡単に抜ける可能性があるので行わないでください。

変形性膝関節症の患者さんにはこれら方法を指導して、実際に家で行っていただく場合もあります。

まとめ

膝蓋骨の解剖、その役割と可動性についてご紹介しました。

重要なので何回もいいますが、大腿四頭筋の筋力には深く関わっています

ぜひ今日はそれだけでも覚えください。

【文献】
1)

こちらは理学療法士の伊能先生の著書です。膝関節に関しての基礎的な知識や、疾患やそのリハビリについて分かりやすく記載されています。膝関節の痛みでお悩みの方はぜひ。

2)太田進,他:膝蓋骨可動性の定量的評価.理学療法17巻3号:335-337,2000


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