私たち人間の身体機能の核心である骨盤。その骨盤は男性と女性で形が違うのをご存知でしょうか。
医療従事者でなければあまり意識することはないかもしれませんが、よくよく考えてみると骨盤に収まっている生殖器も違いますし、泌尿器の形も違います。
また女性は妊娠や出産が可能ですので、そのあたりも違ってきそうですね。
今回は男性と女性の骨盤の形や機能の違いについてみていきましょう。
骨盤の解剖
先に簡単に骨盤の解剖を画像で確認しておきます。ここでは後ほど出てくるキーワードを中心に解説します。
岬角(こうかく)
第1仙骨の前縁が少し前方に張り出しています。この出っ張りのことを岬角(こうかく)と呼びます。
こちらは仙骨だけを取り出して横から見た画像です。ちょっと分かりにくいですが、上にある2つの椎体が第4と第5腰椎です。
骨盤の模型で言うと、黄色い丸がついているあたりですね。
恥骨下枝(ちこつかし)
骨盤の寛骨臼を形成する恥骨の一部。前下方に位置します。(左右あります)
恥骨結合(ちこつけつごう)
骨盤の正面(真ん中)下方にある左右の恥骨下枝が合わさっている部分。
恥骨弓(ちこつきゅう)
左右の恥骨下枝が恥骨結合で合わさってできる角度。
男性では50~60°、女性では80~85°で、男性に比べその角度が鈍であるため恥骨弓と呼ばれています。
大骨盤と小骨盤
骨盤は岬角や恥骨結合を取り囲む分界線で、上方の大骨盤と下方の小骨盤の2つに分けられます。
骨盤上口と骨盤下口
小骨盤の上方への開口部を骨盤上口(こつばんじょうこう)、小骨盤の底面で下方への開口部を骨盤下口(こつばんかこう)と呼びます。
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男性と女性の骨盤の違い
骨盤は大きなすり鉢のように深みのある形をしています。その大きなすり鉢の空間に腸や泌尿器、生殖器などが収められています。
さきほども簡単にお伝えしましたが、生殖器が入りますので骨盤の形は男性と女性で違います。男性の骨盤は細くて深い形、女性の骨盤は妊娠や出産に適応するため広くて浅い形をしています。
男性の骨盤上口は横幅が狭くハートの形に近いのですが、女性は横幅が広く卵のような形をしていています。
また骨盤下口も女性の方が広くなっています。小骨盤の底の部分の骨盤底は、男性では狭く下方に向かって漏斗状(ろうとじょう)になっていますが、女性では広く円筒状になっています。
イラストでまとめるとこんな感じです。
引用)図解入門よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book)
男性では仙骨が横幅は狭く長いのに対し、女性の仙骨は横幅が広く短い形をしています。また仙骨の角度は男性に比べ、女性の方が前弯が小さくなっています。
尾骨は男性では動きませんが、女性は出産時に後方へ押されて骨盤下口をさらに広げようとします。
股関節疾患が女性に多いのは、骨盤の形状の違いも要因になっていると考えられています。
骨盤の形態と変形性股関節症の関係については、以前こちらのブログでも取り上げておりますので、ご存知ない方はこちらをご覧ください。
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まとめ
骨盤の男女差や違いについてお伝えしてきました。
骨盤は男性は細く深く、女性は浅く広い形をしていて、女性の骨盤は妊娠や出産に適応する形となっています。
股関節や骨盤に疾患がある方は、これらの違い応じて対応する必要がありますよ。