大腿骨の頚部には頚体角(けいたいかく)という屈折と、前捻角(ぜんねんかく)という捻じれがあるのをご存知ですか?
今回は大腿骨が頚部で曲がったり捻じれていて、成長と共に変化する仕組みを一緒にみていきましょう。
股関節を構成するのは骨盤と大腿骨ですが、大腿骨は骨盤にまっすぐくっついているのではありません。
大腿骨の頚部と言われる部分で曲がったり、捻れたりしているのです。
屈折や捻じれはなぜ起きるのか
一般的な大腿骨のイラストを確認しておきましょう。
骨盤の下に2本伸びている長い骨が大腿骨です。ここまではいいですね。
頚体角
大腿骨を見ると骨盤に近いところでぐねっと曲がっていますが、ここが大腿骨の頚部という部分で、この屈折を頚体角(けいたいかく)と呼びます。
頚体角は字のごとく、「大腿骨体(大腿骨骨幹部と呼ばれる幹の部分)と大腿骨頚がなす角度」のことです。
この頚体角は年齢とともに角度が変わってきます。幼児期には約135°とやや大きめですが、成人では約125°、高齢者では約120°となります。(※これらの数字は文献によって少し異なりますが、おおよそこのぐらいの角度です)
引用) 図解入門よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book)
これは一見歳をとると角度増えていく経年変化と思われますが、経年変化というよりも幼児期から成長するにつれ立位や歩行を始めることで、重力の影響を受けるようになるから起こるのです。
立位や歩行を始めると、大腿骨頭には地面に対して垂直方向(地面方向)に重力がかかります。また安定した立位や歩行を保つためには、大腿骨の転子部にある大転子に関与する筋肉がしっかり働く必要があり、大転子を上方へ引っ張る力が働きます。
この2つの力が加わることにより、頚体角は変化していきます。頚体角が通常より増大した状態を外反股(がいはんこ)、減少した状態を内反股(ないはんこ)と呼びます。
前捻角
次に前捻角(ぜんねんかく)ですが、こちらも字のごとく「前に捻れる角度」です。
ではどこに対して前に捻れるかというと、これは大腿骨を上から見るとわかりやすいです。大腿骨の頚部の軸と、遠位端(膝関節部分)にある大腿骨顆部(だいたいこつかぶ)の横軸が捻れる角度のことです。
前捻角も生後から成長するにつれ減少します。生後は40°前後ありますが、成人になると10~15°になります。
前捻角の減少にも立位や歩行が関係していて、大腿骨頭を寛骨臼にしっかり引きつけていくことにより起こります。
大腿骨の頚体角と前捻角を動画で確認
頚体角と前捻角について、いつもお世話になっている理学療法士の中島先生が動画でまとめておられますのでそちらもご紹介します。
いつも非常に分かりやすいですね。中島先生、ありがとうございます。
スポンサーリンクまとめ
大腿骨の頚体角と前捻角について詳しくご紹介してきました。
頚体角や前捻角は成長するにつれ角度が変化するのですが、頚体角や前捻角が増大したり減少していると、筋力が発揮できなくなったり、痛みを誘発したりするので、股関節の状態を診ていく上で1つ目安になります。
頚体角や前捻角はレントゲンを撮らないと分かりませんので、気になる方は病院でレントゲンを撮ったときには医師に聞いてみてください。