上前腸骨棘。医療従事者以外には聞き慣れない名前です。今回は上前腸骨棘について詳しく解説してきます。
上前腸骨棘は「じょうぜんちょうこつきょく」と読みます。読み方すらわかりいくいので、どこにあるかも想像しにくいかもしれませんね。
ではこのように考えてみましょう。上前腸骨棘を分解していくと「上前」「腸骨」「棘」に分かれます
上前:前の上の方
腸骨:骨盤の一部となる左右にある大きな平べったい骨
棘:訓読みでは「とげ」、解剖では出っ張りを意味する
これでわかりやすくなりましたね。
上前腸骨棘とは「骨盤の一部である腸骨の前の上の方にあるでっぱり」ということになります。
上前腸骨棘に関するあれこれ
では骨模型を使って上前腸骨棘を一緒にみていきましょう。
解剖
骨盤を正面から見た図です。
骨盤の左右にある腸骨の前の上の方にあるでっぱりが、どこかわかりますか。正解はこちらです。
斜めからみるとこんな感じ。
ついでに横からも見てみましょう。
実際の身体で見ると、上前腸骨棘はここです。
手を腰に当てたときの人差し指あたりにあるでっぱり、それが上前腸骨棘です。
これは医療従事者でなくても触れるのでわかりやすいと思います。
上前腸骨棘に付く筋肉
上前腸骨棘には2つの主要な筋肉が付きます。
まずひとつ目は大腿筋膜張筋。
大腿筋膜張筋は股関節のの横にあり、股関節外転に関わる重要な筋肉です。
大腿筋膜張筋についてはこちらで詳しく解説していますので、分からない方はこちらをご覧ください。
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次に縫工筋。
こちらはあまり有名ではありませんが、股関節を複合的に動かす筋肉です。
縫工筋についてはこちらで解説していますので、同じく分からない方は先にご覧ください。
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上前腸骨棘の役割
さきほど上前腸骨棘は誰でも触れる指標と書いたのですが、それゆえ評価や治療時にも使われます。
たとえば立位での骨盤の傾きを確認する場合。
このように上前腸骨棘を押さえて、骨盤が傾いていないか確認します。
仰向けに寝てもらったときでも、上前腸骨棘を押さえて確認します。
あとSMD(棘果長)という脚の長さを測るときでも上前腸骨棘を指標にします。
上前腸骨棘の痛み
上前腸骨棘に痛みが起こる主たるものとしては剥離(はくり)骨折があります。
剥離骨折は上前腸骨棘に付着する筋肉が過渡に働き、起始部である上前腸骨棘の一部を剥がしてしまう骨折です。
また反復して強い力が働くと、骨端に炎症が起こる場合もあります。
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まとめ
上前腸骨棘の解剖やそこに付着する筋肉、役割などをお伝えしてきました。
上前腸骨棘は誰でも触りやすいので、立位や歩行の指標にしやすい部位のひとつです。鏡の前で自分の立位をチェックするときに、ぜひ参考にしてください。