上前腸骨棘とは?場所と付着する筋肉・痛みの原因を解説

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上前腸骨棘。医療従事者以外には聞き慣れない名前です。今回は上前腸骨棘について詳しく解説してきます。

上前腸骨棘は「じょうぜんちょうこつきょく」と読みます。読み方すらわかりいくいので、どこにあるかも想像しにくいかもしれませんね。

 

ではこのように考えてみましょう。上前腸骨棘を分解していくと「上前」「腸骨」「棘」に分かれます


上前:前の上の方
骨:骨盤の一部となる左右にある大きな平べったい骨
:訓読みでは「とげ」、解剖では出っ張りを意味する

これでわかりやすくなりましたね。

上前腸骨棘とは「骨盤の一部である腸骨の前の上の方にあるでっぱり」ということになります。

 

目次

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上前腸骨棘に関するあれこれ

では骨模型を使って上前腸骨棘を一緒にみていきましょう。

解剖

骨盤を正面から見た図です。

骨盤模型正面写真

骨盤の左右にある腸骨の前の上の方にあるでっぱりが、どこかわかりますか。正解はこちらです。

骨盤模型正面横長上前腸骨棘1

斜めからみるとこんな感じ。

骨盤模型斜めから上前腸骨棘500

ついでに横からも見てみましょう。

骨盤模型横から上前腸骨棘500

 

実際の身体で見ると、上前腸骨棘はここです。

上前腸骨棘とは?場所と付着する筋肉、痛みの原因を解説5

手を腰に当てたときの人差し指あたりにあるでっぱり、それが上前腸骨棘です。

上前腸骨棘とは?場所と付着する筋肉、痛みの原因を解説6

これは医療従事者でなくても触れるのでわかりやすいと思います。

 

上前腸骨棘に付く筋肉

上前腸骨棘には2つの主要な筋肉が付きます。

まずひとつ目は大腿筋膜張筋。

股関節痛み原因治療 大腿筋膜張筋4.7

大腿筋膜張筋は股関節のの横にあり、股関節外転に関わる重要な筋肉です。

大腿筋膜張筋についてはこちらで詳しく解説していますので、分からない方はこちらをご覧ください。

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股関節痛み原因治療 縫工筋4.7

こちらはあまり有名ではありませんが、股関節を複合的に動かす筋肉です。

 

縫工筋についてはこちらで解説していますので、同じく分からない方は先にご覧ください。

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上前腸骨棘の役割

さきほど上前腸骨棘は誰でも触れる指標と書いたのですが、それゆえ評価や治療時にも使われます。

たとえば立位での骨盤の傾きを確認する場合。

上前腸骨棘とは?場所と付着する筋肉、痛みの原因を解説7

このように上前腸骨棘を押さえて、骨盤が傾いていないか確認します。

仰向けに寝てもらったときでも、上前腸骨棘を押さえて確認します。

上前腸骨棘とは?場所と付着する筋肉、痛みの原因を解説8

あとSMD(棘果長)という脚の長さを測るときでも上前腸骨棘を指標にします。

 

上前腸骨棘の痛み

上前腸骨棘に痛みが起こる主たるものとしては剥離(はくり)骨折があります。

剥離骨折は上前腸骨棘に付着する筋肉が過渡に働き、起始部である上前腸骨棘の一部を剥がしてしまう骨折です。

また反復して強い力が働くと、骨端に炎症が起こる場合もあります。

 

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まとめ

上前腸骨棘の解剖やそこに付着する筋肉、役割などをお伝えしてきました。

上前腸骨棘は誰でも触りやすいので、立位や歩行の指標にしやすい部位のひとつです。鏡の前で自分の立位をチェックするときに、ぜひ参考にしてください。

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