脳血管疾患の患者さんではよく見かける内反尖足(ないはんせんそく)ですが、なぜ起こるのか、そしてどんな装具が使われるのか、理解している人は少ないでしょう。
今回は内反尖足について原因や使われる装具をご紹介します。
内反尖足は足関節が底屈したような状態になることです。
足関節が底屈位になるというと、以前こちらのブログでご紹介した下垂足と似ていますが、原因はまったく違います。
最初に内反尖足についてご説明して、その後使われる装具やリハビリについて解説していきます。
内反尖足とは?
内反尖足とはどんな足が分かりますか。
漢字で書くと、
内:内側に
反:反(そ)って
尖:尖(とが)った
足:足
という意味ですが、分かりにくいですね。
実際に診てもらった方が早いので、写真をお見せします。
内反尖足とは足部内反を伴って足関節が底屈する状態です。
足部の内反はそんはこんな感じでしたね。
主に脳血管疾患の症状である痙性麻痺(けいせいまひ)で起こりやすいです。
ちなみに「脳血管疾患」は脳卒中のことで、脳梗塞や脳出血が含まれます。
脳梗塞:脳血管の閉塞もしくは狭窄により脳組織への血流が減少した状態。
脳出血:脳血管が何かしらの原因で破れ、脳に出血が起こった状態です。
脳梗塞や脳出血により脳の内包という部分にダメージが加わると、痙性麻痺が起こることがあります。
痙性麻痺とは筋肉に力が入って、つっぱってしまう状態です。
下腿でいうと後面にある下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)などが痙性麻痺でつっぱると、足関節がかたくなってしまい、かたくなってしまった状態が常態化すると内反尖足になるわけです。
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内反尖足と下垂足の違いとは?
内反尖足と下垂足の見分けがつかない人がいるので、違いを簡単にご説明しておきます。
内反尖足は下腿後面の筋肉がつっぱってしまい、足部の内反を伴って足関節が底屈位になっている状態です。
一方下垂足は、足関節背屈の筋力が何らかの理由で低下し、足関節を背屈できなくなって足関節が底屈位なった状態です。
下垂足の原因や治療はこちらで詳しくご紹介しています。
内反尖足と下垂足の原因や症状は違いますが、足関節が底屈位になって、かたさも加わるのは一緒なので、装具が適応になることは同じです。
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内反尖足で使われる装具は?
内反尖足が続くと足関節がかたくなり、背屈できなくなります。
また内反尖足の状態で歩行すると、足底をしっかり床につけることができず、つま先で歩くような状態になります。
この状態で歩き続けると痙性が強くなったり、下肢うまく支えられず転倒する危険性が高くなったりします。
痙性麻痺は自分でコントロールするのが難しいため、装具をつけ対応するケースが多いです。
装具にはいくつか種類があります。
プラスチック性の物や金属がついた物、短い物や長い物などさまざまで、内反尖足に対しての装具は重症度によって選択されます。
内反尖足が軽度の場合はプラスチック性の装具(シューホーンブレース)が選択されます。
一方重度の場合は、固定力が強い金属支柱付きの装具が選択されます。
※上記2枚の写真はある施設からご提供いただきましたが、施設が分からないようにして欲しいとの付け加えがあり、プライバシー保護のため加工しています。
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内反尖足のリハビリは?
先ほども申し上げましたが、下肢の痙性麻痺で問題が起こりやすい筋肉は足関節を底屈させる下腿三頭筋です。
この下腿三頭筋がかたくなると立位や歩行にも影響が出るため、ストレッチして伸張性を保持する必要があります。
下腿三頭筋のストレッチとはいわゆるアキレス腱のストレッチですね。
詳しくアキレス腱のストレッチの方法については、別記事をご参照ください。
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まとめ
内反尖足の原因と治療やリハビリで使われる装具についてご紹介してきました。
内反尖足は立位や歩行を強制的に変化させ、股関節や膝関節の痛みや変形につながることがあります。
装具とストレッチで予防して動作レベルを維持させましょう。
分からないことは担当の医師や理学療法士、作業療法士に聞いてくださいね。