シリーズでお伝えしております解剖学シリーズ。今回は足(脚、下肢)の血管について詳しく見ていきましょう。
解剖学というと理学療法士の立場からいうと、骨や筋肉を真っ先に思いつくところですが、酸素や栄養を運ぶという意味では血管も大事ですよね。
今回は足の主要な血管をイラストを用いてご紹介します。
血管の基礎知識
血管について先に簡単に申し上げておきますが、血管には動脈と静脈があります。
動脈は心臓から出て酸素や栄養を目的地に運搬している血管で、静脈は目的地となる各組織で酸素と栄養を受け渡し、二酸化炭素や老廃物を運ぶ血管です。(肺動脈、肺静脈を除く)
分かりにくい方はこう考えてみましょう。みなさんがどこかに旅行に行くとして目的地があるとします。
家から目的地までの行き道が動脈で、目的地で観光を済ませ帰路となるのが静脈です。行きは動脈、帰りは静脈というイメージです。
基本的には下肢の動脈・静脈は並んでいることが多いです。後から詳しく申し上げますが、大腿動脈という血管があれば大腿静脈があるということです。
ですから、今回は下肢の主要な動脈のみをお伝えしますが、動脈のそばを同じ名前の静脈が走っていると考えてください。
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足の血管?脚の血管?どっちが正しいの?
ところでこの記事の題名を「足の血管を解剖図で詳しく紹介!下肢にはどんな動脈や静脈がある?」としたのですが、本当は表現が正確ではありません。
「足」とは解剖学的には靴を履く部分で足部(そくぶ)と呼びます。一方、「脚」は鼠径部(コマネチのギャグでなぞるところ)からつま先を指します。「脚が長い」といえば、すらっと伸びた脚を想像しますよね?脚は解剖学的には下肢(下にある体の枝という意味)と呼びます。
ですから解剖学的には「下肢の血管」と表記するのが解剖学的には正しいのですが、下肢という表現が一般的ではありませんし、足と脚がごっちゃになって「足」と表現する人が多いので、この記事のタイトルでは「足」としました。
これを話せば理解できると思いますので、以下の本文内では下肢と表現しますので、下肢と書かれていれば脚をイメージしてください。
ではいきましょう!
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下肢の動脈
心臓の左心室から出た動脈は大動脈弓を通って胸大動脈となり、横隔膜の大動脈裂孔を通り腹大動脈となります。
※ここからの解剖のイラストはクリックすると拡大します。
このイラストでいう真ん中の太い赤い血管が腹大動脈です。(※分かりやすくするために今回使うイラストからは静脈は消しています)
腹大動脈は第4腰椎の高さで左右の総腸骨動脈に分かれます。
ここまでは宜しいでしょうか。
総腸骨動脈はさらに主に大腿部や下腿、足部に向かう外腸骨動脈と、主にに骨盤内に分岐していく内腸骨動脈に分かれます。
内腸骨動脈
内腸骨動脈は閉鎖動脈、上殿動脈、下殿動脈、腸腰動脈、外仙骨動脈に分かれます。
外腸骨動脈
外腸骨動脈は鼠径部を出たところで大腿動脈となります。
このイラストではオレンジの血管ですね。
そのまま下行して、膝の後ろで膝窩動脈となります。
このイラストは両膝を後ろから見た図です。
膝窩動脈は膝の後下方で下腿の前方に向かう前脛骨動脈と、下腿の後方に向かう後脛骨動脈に分かれます。
前脛骨動脈は下腿の前面を通って足背動脈になります。(※足背=足の背、爪のある側)
後脛骨動脈は基部付近で腓骨動脈にも分かれ、内果後方を通って足底動脈となります。(※足底=足の裏)
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まとめ
下肢の血管を解剖図を用いてご説明してきました。
今回ご紹介したのは下肢の主要動脈で、皮膚にいくものなどを含めれば他にも小さい血管はたくさんあります。
これだけ抑えていればおおよその下肢の血液の流れは理解できるというものは掲載していますので、もっと詳しく知りたい方は解剖書などをご覧ください。