ひと言で関節が硬いといってもいろいろな硬さがあります。関節を柔らかくするとはそれを紐解いていくことに似ています。
股関節や腰が痛くてリハビリにかかったとき、「ここが硬いのでストレッチをしましょう」と言われることがあります。
ストレッチはその名の通り「伸ばすこと」なのですが、関節の硬さをとるための手段としては万能ではありません。
そのあたりは以前にお伝えしておりますので、まずそちらをご覧ください。
関連記事
関節可動域低下にはいろいろな原因があり、その原因をリハビリのスタッフに探してもらい、ご自身の自主トレでの共同作業で改善していくとういことでした。
このとき「拘縮(こうしゅく)」という言葉がでてきましたが、拘縮がどのようなものかわかりますか。
拘縮は蜘蛛の巣に似ている
拘縮とは関節の可動域が制限された状態で、ギプス固定などで一定期間動かさないことで起こります。拘縮では筋繊維や関節の軟部組織が短縮したり、弾性が低下したりして起こります。
拘縮を放っておくと、骨のように硬い状態に変化し、ケガや病気をする前の可動域に戻すことが難しくなります。
この状態を今回は蜘蛛の巣と考えてみてください。特殊なものではなく、一般的な蜘蛛の巣です。
蜘蛛の巣って張り始めた頃って数本の糸しかありませんよね。その頃なら取り除くことはたやすいです。でも月日が経ってどんどん張り巡らせていくとかなり強固になってしまいます。
拘縮も同じです。
たとえばギプス固定で起きるなら、固定が短ければ短いほどひどい硬さにはなりませんが、数週間も放っておくと戻せないような硬さになってしまいます。
また拘縮にはもうひとつ特徴があって、歳をとっていればいるほど早く硬くなりやすく、一般的には赤ちゃんや子どもはリハビリで戻るのも早いのです。
「こんな知識はリハビリの人に任せといたらいいのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。いいや、そうでもないですよ。ケガをしたときには選択を迫られることもあるのです。
たとえば骨折をしたときに保存療法か手術療法、どちらかの選択することがあります。部位でいうと、手関節(撓骨遠位端骨折)や上腕骨(上腕骨頚部骨折)、もちろん股関節でもあります。
手術をするか、ギプスで固定するかと聞かれれば誰でも手術は嫌ですから、ギプスを選択します。ただしギプス固定を選択すると、骨が癒合(ゆごう=「くっつくこと」)のに時間がかかりますから、本格的なリハビリを開始するのに時間がかかります。
ということは、今日のお話を読んでいればご理解できると思いますが、拘縮が強くなります。
一方、手術をしてボルトで留めればが固定力が強くなるため、リハビリは早期から開始することができ、ギプス固定したときよりも拘縮は起こさなくて済みます。
特に高齢者の骨折では保存療法を選択しがちですが、ご本人に「もう一度動きたい」という希望があり、循環器的な問題がなければ、手術の選択肢も考えてもいいのではないでしょうか。
もちろん担当医のご判断を尊重するべきので、まずはご相談して検討することをおすすめします。
スポンサーリンク
まとめ
拘縮とリハビリについて簡単にご説明してきました。
ケガをしたことがない方にはイメージしにくいお話だと思いますが、リハビリの現場では毎日出くわすお話です。
拘縮は起こさないに越したことはありませんので、できる限り起こさないようにしましょう。またできるだけ早くリハビリを開始することも重要ですよ。