股関節の手術にはいくつか種類がありますね。
その中でも人工股関節置換術と人工骨頭置換術の違いがわかりにくい方がいらっしゃいます。
今日はその違いについてお伝えします。
人工股関節置換術と人工骨頭置換術の違いはものすごく簡単にいうと、人工の関節や骨に全て置き換えるか、一部置き換えるかの違いです。
文字で説明してもわかりづらいと思いますので、人工股関節置換術と人工骨頭置換術の違いをわかりやすい動画もご紹介します。
特に動画は元々映像の仕事に携わっていた中島先生が作られたものですので必見ですよ。
人工股関節置換術と人工骨頭置換術
まずいつもお世話になってる理学療法士の中島先生が、詳しい動画をお作りになっているのでまずそちらをご覧ください。
引用)中島卓也.理学療法士 PhysiTheraResearch
人工股関節置換術は「人工股関節全置換術」とも言われますので、置換するのは股関節の全てです。
股関節は骨盤の寛骨臼と大腿骨の骨頭で成り立つ関節です。その寛骨臼と大腿骨の骨頭を人工物に置き換えるのが、人工股関節置換術です。
手術の対象になるのは、末期の変形性股関節症などで強い痛みのため、通常の生活が著しく支障をきたしている方です。
一方人工骨頭置換術は、置換するのは文字通り大腿骨の骨頭部分です。ですから骨盤の寛骨臼には手術では手を加えません。
手術の対象になるのは、転倒して大腿骨の骨頭付近を骨折した方です。
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手術後には違いはあるの?
いずれの手術も術後早期より荷重(=体重をかけること)が可能で、翌日から歩行練習を開始し、早ければ1週間程度でT字杖歩行が可能となります。
またいずれの場合にも、手術後には脱臼のリスクがあります。脱臼は手術様式にもよりますが、多くの場合、股関節を屈曲・内転・内旋させた姿勢ににすると脱臼します。(脱臼肢位については主治医や理学療法士に必ず確ず確認してください)
例えば靴を履くときの
このような姿勢も脱臼肢位となりますので、注意してください。
あともう1つよく言われ再置換術の件ですが、人工骨頭置換術の場合、もともと股関節が傷んで行った手術ではありませんので、寛骨臼自体に問題がなければ再置換術をすることはありません。
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漢字の間違いにもご注意
違いといえば、人工股関節置換術や人工骨頭置換術についてひと言付け加えておきます。
股関節痛で診察や治療を受けたり自分で調べたりしていく中では、専門用語が理解できたり、自分の症状を詳しくお伝えできたりした方がいいです。
当ブログにお越しいただく方の多くが、YahooやGoogleなどの検索エンジンを経由して来られます。
どんな検索ワードで調べられているのか見ていると、こういう間違いが意外と多いのです。
- 股間接
- 股間節
- 人口股関節置換術
- 人口骨頭
特に「人口股関節置換術」はかなり多いです。
これについてある患者さんと先日お話していたのですが、その方が言うには「股関節という言葉自体知らない人も多いのではないか」ということでした。
膝とか、肩は分かるが、股関節は分からない。「脚のつけ根」とおっしゃる人も多いですからねぇ。
「ちゃんと股関節の位置を知ってもらうことが治療時の理解につながる」と考えていたのですが、股関節自体が分からなければ股関節がどこにあるか話してもダメですよねぇ。
こちらのブログでは、できるだけわかりやすく疾患や治療法を解説していたつもりだったのすが、やはり医療従事者目線で話していることが多いということに気づかされました。
できるだけ分かりやすくをさらに意識して、どなたにも分かりやすいブログを今後は心がけていきます。
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まとめ
人工股関節置換術と人工骨頭置換術の違いについてお伝えしました。
人工股関節置換術は股関節を全部置き換え、人工骨頭置換術は骨頭部のみを置換します。
ただ両方とも脱臼のリスクはありますので、その点には注意が必要です。
※追記
人工股関節置換術や人工骨頭置換術の脱臼肢位(姿勢)についてまとめましたので、合わせてこちらをご覧ください。
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