関節には参考可動域という、関節がどれぐらい動くのかを示す指標となる角度が決まっています。今回は股関節の参考可動域についてみていきましょう。
突然ですが、みなさん、股関節は柔らかいですか?
そう聞いて「私は柔らかいです」と答える方はあまりいません。
でも逆にそんな方にお聞きしたいのですが、股関節がどれぐらい動けば柔らかくて、どれぐらい動かなければ硬いことになるのでしょうか。
それを示す1つの指標として、日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が出している、関節の参考可動域があります。
関節の参考可動域は股関節だけでなく、膝関節や肩関節、体幹など、主要な関節には設定されています。
関節可動域測定の実際
通常関節の可動域を計測するときには、ゴニオメーターという角度計を使用します。
股関節や膝関節には大きいタイプのゴニオメーターが計測に使用されます。
指など小さい関節には小さいタイプのゴニオメーターが計測に使用されます。
関節の角度は5°刻みで表記されています。
理学療法士は普段ポケットに、プラスチック製のゴニオメーターを入れていることがあります。
関節可動域検査の対象となる主要な関節の周囲には、計測に使用される軸(基本軸と移動軸)が予め決まっています。
たとえば股関節の屈曲角度を計測するときには、基本軸は体幹と平行な線、移動軸は大腿骨の大転子と大腿骨外顆を結ぶ線です。
この2つの線が交わる関節の中心にゴニオメーターをあて、このときゴニオメーターに表示される角度が股関節の屈曲角度となります。ちなみに股関節屈曲の参考可動域は125°です。
関節角度を計測するときには、代償運動がでないように注意します。
股関節の屈曲以外の参考可動域、基本軸、移動軸は次のようになっています。
スポンサーリンクまとめ
関節可動域についてここまでみてきました。
1つ覚えておいて欲しいのは、ここに示した参考可動域はあくまで参考にしかなりません。
股関節にしろ、膝関節にしろ、肩関節にしろ、関節の可動域は年齢、性別、生活習慣、スポーツ歴、職業などにより大きく変わってきます。
参考可動域に満たないからといって病的と判断することはできませんし、関節に障害があるわけではない可能性もあります。
参考可動域を正常可動域と呼ばない理由もそこにあります。
関節可動域を考える祭には、参考可動域との比較よりも、関節可動域の左右差やリハビリを経てどう変わったか、術前術後の変化などが治療上では重要になります。