股関節と膝関節の痛みと治療の関係

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股関節と膝関節には密接に関係していて、股関節痛の原因が膝関節から生じることもあります。

股関節と膝関節の痛みと治療の関係

以前病院で治療をしているときに、こんな患者さんを担当したことがあります。

股関節と膝の密接な関係がよくわかる症例だと思います。

どんな症例だったのか、早速ご紹介します。


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股関節痛?膝関節痛?

その方はAさん、50代の主婦です。左膝が最近痛くなり、市販の湿布で様子をみたいたのですが、いつまでたっても痛みがましにならないので、整形外科を受診しました。

股関節痛と膝関節痛2

レントゲン撮影をしたところ、年齢相応の膝の状態で、強いて言うならわずかに左膝関節の内側の軟骨がすり減っている、という状態でした。

医師からは「初期の変形性膝関節症です」と告げられ、リハビリをしていくかどうか提案を受けましたが、家事が忙しいこともありリハビリは断り、まずは痛み止めと湿布で様子をみることになりました。

5日間の薬をもらい、痛み止めの薬と湿布を併用していましたが、やはり効果がないようで、1週間後に再受診してそのことを告げました。

そのとき改めてリハビリの提案があり、痛いをどうにかしたいと変形性膝関節症のリハビリが開始となりました。そのとき担当したのが私です。

リハビリ室で膝の痛みについて、いままでの経過をお聴きしました。主な訴えとしては、

  • 左膝の痛みが出現したのは数ヶ月前からで、最初は寝て起きればなくなっていた
  • 1ヶ月ぐらい前から、起きてベッドから起き上がろうとすると痛みが出現するようになった
  • いまは椅子からの立ち上がりと、歩き始めに左膝が痛い

この3点でした。

問診後にベッドに寝てもらって膝の痛いを確認すると、可動域は屈曲、伸展とも正常で、転がりや滑りの運動も悪くはありませんした。

痛みが強いということなので、一時的に強い炎症が起きているのかと思いながら、ふたつ気になったことがありました。

そのひとつはリハビリ室に入ってきたときの歩き方です。

膝関節が痛い方の歩き方というよりも、臼蓋形成不全や変形性膝関節症の方に見られるような歩き方をされていたのです。

気になったのでその点について話を伺ってみました。

國津「股関節は痛くないですか?」

Aさん「違和感はありますが、痛いということもありません。」

國津「股関節で何か診察や診断を受けたことがありますか?」

Aさん「股関節で整形外科にかかったことはないです」

というやりとりがあり、股関節が気になるので股関節の治療をさせて欲しいと御願いして、左股関節の治療させてもらいました。

さきほどふたつ気になることがあったと書きましたが、もうひとつが左股関節の関節可動域です。膝関節の動きをみるときに股関節の動きもわかりますが、全体的に右股関節よりも低下しており、何か動きにく感じがしていました。

その場で股関節の治療を行い、姿勢や歩き方をチェックすると歩容は改善したので、初めてのリハビリでは筋トレは行わず、立位や立ち上がり、歩行の指導をして、意識して日常生活をおくるようにしてもらいました。

1週間後、リハビリ室に入っていたAさんの歩行は先週に比べて明らかに改善していました。左膝の痛みもだいぶましになったそうです。

Aさんの場合、左膝が急に悪くなったというよりも、左股関節の動きの悪さから左膝関節の痛み出したと思われます。

後日心配になったAさんが診察時に股関節のレントゲンを撮ったところ、臼蓋形成不全と診断されました。原因はやはり股関節だったようです。

このような症例はAさんに限らず、臨床では珍しくありません。


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股関節と膝関節は運命共同体

ここまでお伝えしてきたように、股関節と膝関節は密接な関係があります。ご近所さんなので、良い意味でも悪い意味でもお互い影響を与え合います。

たとえば先日ブログで解説した股関節と膝関節の2つの関節をまたぐ二関節筋。股関節にトラブルがあって二関節筋が機能しないと、股関節のみならず膝関節の動きも悪化させ、膝痛の原因となります。逆に膝関節にトラブルがあり二関節筋が機能しないと股関節痛を生み出す原因になることもあります。

股関節痛と膝関節痛
引用)図解入門よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ (How‐nual Visual Guide Book)

また先天性股関節脱臼や変形性股関節症の方では脚長差が生じることがあります。脚長差が生じると見かけ上の骨盤がゆがみが起こったり、下肢の形状が崩れたりします。

そうするとO脚やX脚(片側だけの場合もある)が起こり、膝関節を痛めてしまう可能性があります。

股関節痛から膝関節痛、膝関節痛から股関節痛

股関節に痛みを抱えていると、痛い方の脚をどうしてもかばってしまうので、反対側の脚への負担が増えます。それにより姿勢や歩容が変化して、逆側の股関節の痛みや膝痛を生みだすことがあります。

脚長差や下肢の変形が重要ですが、普段からお伝えしているように、その下肢の状態により姿勢や歩行にどのような影響があるのか、またそれによりどこに負担がかかりそうか、普段から考えていればわかるでしょう。

股関節疾患や膝関節疾患で来院される方の場合、基本的にはまず痛みのある部位を治療していきますが、股関節が膝関節痛を生み出している場合や、膝関節が股関節痛を生み出している場合には、原因を生み出している部位を先に治療していくこともあります。

股関節が痛いからといって股関節ばかり治療するのではなく、腰部や膝関節にどのような影響を与えているのか、またどのような影響を与えられているのか、そこを考えるべきでしょう。


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