パーキンソン病患者の大腿骨頚部骨折を予防するためにできること

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よく耳にするパーキンソン病は転倒とも非常に結びつきが強いです。

今回はパーキンソン病と、こちらのブログのメインテーマである股関節疾患との関係について考えてみましょう。

パーキンソン病患者の大腿骨頚部骨折を予防するためにできること

以前こちらのブログで大腿骨頚部骨折についてお伝えしました。

参照) 骨粗鬆症の骨折の好発部位は?その予防方法もご紹介します!

大腿骨頚部骨折は高齢者の四大骨折のひとつで主な原因は転倒です。

高齢者だけでなく、実はパーキンソン病の患者さんでも転倒する方が多く、大腿骨頚部骨折になる可能性があります。

まずパーキンソン病について簡単にご説明し、自宅での注意点などをお伝えしていきます。


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パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは、めちゃくちゃ簡単に説明すると、中脳の黒質で生成されるドーパミンという神経伝達物質の量が減ったり、無くなったりする病気です。(原因は不明)

神経の伝達物質が減ったり無くなったりするわけですから、何か異常が出ることは容易に想像できますよね。

パーキンソン病には四大徴候と呼ばれる症状があります。

  • 振戦(しんせん:手足の震え)
  • 固縮(こしゅく:筋肉がこわばる) 
  • 無動(動きにくい、緩慢な動き) 
  • 姿勢反射障害(バランスをとるのが難しい)

手足が震える、筋肉がこわばる、動きにくくなる、そしてバランスをとるのが難しくなる、これを見るだけでも転倒とつながりそうなことは理解できますよね。

パーキンソン病ではHoehn&Yahrという重症度の分類が使われ、StageⅠ~Ⅴに分けられます。

StageⅠ:一側性障害のみで、機能障害はないか、軽度。
StageⅡ:両側性障害があるが、体のバランスは保たれている。
StageⅢ:歩行時の方向転換は不安定となり、立位で押せば突進し、姿勢反射障害はあるが、身体機能の障害は軽ないし中等度。
StageⅣ:機能障害高度であるが、介助なしで起立、歩行がかろうじて可能。
StageⅤ:介助がない限り寝たきり、または車いすの生活。

パーキンソン病の転倒に関して次のように書かれてある書籍がありました。

在宅パーキンソン病患者を対象にした転倒に関するアンケート調査では,回答が得られた62名の患者はHoehn&Yahr分類 StageⅡ,Ⅲが中心で,転倒率は67.7%であり,歩行,起立,更衣時に転倒が多かったと報告されている

引用) 評価から治療手技の選択 中枢神経疾患編 (考える理学療法)

なぜⅡとⅢの転倒率が高いかというと、Ⅱは体のバランスは保たれていますがまだ活動性が高いから、そしてⅢは活動度はやや下がりますがバランス障害起こってくるからです。

逆にⅣやⅤになると活動度かなり下がるので、動く機会が減って転倒のリスクが下がります。

StageのポイントはⅡとⅢですね。Ⅲを超えるとバランス障害出現し始めます。

パーキンソン病Hoehn&Yahr重症度分類のポイント

またパーキンソン病では転びそうになったとき、手をついたり、脚を踏み直してふんばったりできません。その分、健常者と比べると転倒のリスクは高いのです。

パーキンソン病は進行性の病気です。

軽度のパーキンソン病ではリハビリが転倒に有効ですし、薬を飲んで症状を抑えている場合もあります。

ただし進行性であるということは徐々に運動機能が低下し、転倒する可能性が上がりますので、長期的に見ると転倒の危険性を無視できません

パーキンソン病の患者さんが骨折すると、パーキンソン病の治療やリハビリに加えて、骨折の治療やリハビリを行います。

特に大腿骨頚部骨折では手術をすると、普通の高齢者でも手術前のADLを獲得しにくいことがあります。パーキンソン病の患者さんでのリハビリは難渋することもしばしばです。

そう考えるとやはり骨折しないように予防する、つまり転倒を防ぐのが一番ですね。

ではどうすれば転倒する可能性を少しでも減らせるでしょうか。

パーキンソン病の転倒対策

パーキンソン病患者さんの転倒対策の方法としては、リハビリと環境設定があります。(※リハビリの視点からお伝えするため、薬物治療は除いています)

どのようなリハビリをするのか?

リハビリでは関節の可動域が低下したり、バランス能力が低下したりするので、リハビリの目的としては、一次障害より派生する二次障害の予防と治療になります。

治療では運動療法だけでなく生活指導も取り入れ、家族を含めたホームプログラムなどを検討します。

しかしパーキンソン病は進行性の病気のため、維持や改善にもある程度限界があります。

どのような環境設定が必要?

身体機能の改善が不十分な部分は、ふたつ目の環境設定で補う必要があります。

具体的な環境設定としては、手すりを設置したり、ドアを変えたり、段差を解消することなどがあり、可能になる動作も生まれます。

環境設定については細かく書くとたくさんあるのですが、ここでは私がおすすめするふたつの環境設定をお伝えします。

段差なくす

まず家の中や、家の周りで活動される範囲の段差をなくしましょう。

パーキンソン病でStageが進むと、歩行時に足部を高く上げにくくなるため段差につまずきやすくなります。

玄関の上がり框(かまち)のような大きな段差よりも、実は部屋の敷居やトイレ入り口、浴室の入り口などにある小さな段差の方がつまずきやすいです。

これには理由があって、大きな段差は意識して上がり下りしないといけないですし、そこを通過する回数はそれほど多くないですが、部屋の敷居やトイレ入り口などにある小さな段差は意識しないで通過することが多く、通過する回数も玄関の上がり框よりも多いはずです。

段差をなくすことができればいいのですが、もしできない場合には、小さいスロープをつけたり、傾向テープで視認性を上げたりしましょう。

扉を変える

意外と盲点なのが扉です。

どういうことか、一番使うトイレの扉で考えてみましょう。

自宅のトイレの扉は、このような開き戸が多いのではないでしょうか。

トイレ開き戸2

この場合、ドアを開けるときに手前に引かなければなりません。

しかしパーキンソン病の患者さんは、姿勢反射障害でバランス能力が低下しているため、後方へバランスを崩し転倒する可能性があります。

ですからこの場合の環境設定としては、開き戸を引き戸に変えることをおすすめします。

引き戸とはこのように横に引くタイプの扉です。

トイレ引き戸2

開き戸とは違い引き戸は横にドアを動かすだけで開けることができるため、バランスを崩す可能性が減ります。(なくなるとは言い切れませんが・・)

小さいことですが、転倒する可能性を少しでも減らすには、環境設定をすることが大切です。

あと最後にこれは雑学になりますが、開き戸の場合はトイレの内側(便器が設置されている側)に開くようになっていませんか。

これだと中で転倒して動けなくなった場合、救護者が開けようとしても扉を開くことができませんので、自宅やよく使われるトイレが外側に開くようになっているか確認しておきましょう。

意外なことですが、まだまだ内側に開く(押しながら開く)トイレの扉は多いですよ。

まとめ

パーキンソン病患者さんの大腿骨頚部骨折の予防についてお伝えしてきました。

今回ご紹介した内容は、大腿骨頚部骨折だけでなくすべての骨折に当てはまることですので、骨折を予防したい人はぜひ参考にしてください。

特にステージが進んでしまうとリハビリで運動機能を改善することが難しくなりますので、環境設定も非常に重要です。

担当の理学療法士やケアマネージャーと相談して、可能な限り予防に努めましょう。

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