医療と介護業界を操作している診療・介護報酬について考えてみた

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診療報酬・介護報酬とは医療や介護サービスを受けた際に発生する「点数」や「単位」のことです。

今回はこの診療報酬や介護報酬について考えてみました。

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皆さんご存じの通り、医療保険(健康保険)と介護保険制度があることによって、私たちは比較的手軽に病院に行って医療を受けたり、介護サービスを受けたりできます。

各制度ではそれぞれ診療報酬(点)、介護報酬(単位)と呼ばれ、

「手術をしたら○○点」

「ヘルパーさんが来てくれたら△△単位」

というように費用が掛かり、これに10円程度(地域によってわずかに違います)を掛けた値段が、実際に病院や介護施設に入る金額となります。

例えば介護保険で10単位のサービスを受ければ、100円程度が提供した施設や事業所に入ります。

そのうちサービスを利用した人は医療保険では3割(年齢などにもよる)、介護保険では1割~2割(年金額や収入による)の金額を支払います。残りの費用は社会保障費として病院や介護施設に国から支払われます。


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診療報酬・介護報酬は改訂される

診療報酬や介護報酬は実は数年毎に改定が行われています。全く同じサービスを受けても実は負担する費用は微妙に数年毎に変わっているのです。

数%の変化なので現場で働いている人以外の人はなかなか気づきにくいかもしれませんが、そのわずかな変化でいままで受けていた介護サービスが、使える介護保険点数の上限を超えるため受けられなくなる方もいらっしゃいます。

医療は2年毎、介護報酬は3年毎に厚生労働省が「時の経済情勢、治療方法の進化や新薬の登場、ケア技術の向上などを適切に反映させるため」に見直しが行われます。

病院や介護施設の経営では数%の変化でも大きな影響が出るため、この診療報酬改定の度に経営方針を変えたり、何か策を講じたりすることを余儀なくされます。


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医療は2年、介護は3年。このズレが意味するもの

報酬の改定が医療保険は2年、介護保険は3年というところが実によく考えられています。この絶妙なズレに注目してください。

このサイクルで行くと、6年に1回は医療と介護両方の報酬が改定されることになります。

前回の改定は診療報酬が昨年(2014年)、介護報酬が今年(2015年)で、次に一斉に改定されるのは2018年になります。

医療従事者や介護サービスに従事する者にとっては、「医療と介護の同時改訂」時は本当に大変です。

どんな制度が始まるのか、どのように変わるのかなど、情報を仕入れては自分の病院や施設の状況と照らしあわせて、改訂以降どのように点数や単位を取ればいいのか考えるのです。

実はこの医療保険と介護保険は、相互に連携して改定が行われているといわれています。

医療保険制度に導入したい仕組みを、介護報酬改定でまず「試し打ち」として様子を見ます。

うまくいかなかったら次の医療保険の診療報酬改定ではその手は打ちません。もし一斉に大きく変えたい場合は6年ごとにそのチャンスが訪れます。

例えば、入院患者や入所者の状態区分による報酬の設定や、長期入院・入所の居住費・食費の自己負担化は介護で試した後で医療に適応されています。

国が診療報酬をころころ変える意味は?

ではなぜ国は診療報酬や介護報酬をこんなにころころ変えるのでしょうか?

その度に皆に周知させなければなりませんし、費用もそれなりに掛かるでしょう。実は結構面倒なはずです。

表向きは先ほど述べた、「時の経済情勢、治療方法の進化や新薬の登場、ケア技術の向上などを適切に反映させるため」となっています。

しかし、実際は、国は診療報酬を改定することで、医療と介護業界を実質的に裏で操作しているようにもとれます。

以前「変形性股関節症で介護保険の認定は受けられるのか?」でご紹介したように、特に介護保険では国が運営すると費用と手間が掛かり過ぎるため、民間に介護保険のサービスを提供することを任せています。

しかし、それでは国の思惑通りに介護保険制度が運営されない可能性があります。

そこで診療報酬を操作することで業界を望む方向に向かわせることができます。

例えば、2015年現在、国としては地域医療および地域での介護に力を入れていこうということになっています。病院や施設ではコストが掛かり過ぎるためです。

この方針を、民間事業者に忠実に守らせたいときに、この診療・介護報酬を操作することは大変有効な手段です。

病院や介護施設の経営の鍵を握っているのは、実は国のこの診療報酬や介護報酬です。

たとえば訪問リハビリの報酬を上げて、病院で行われるリハビリの点数を極端に下げれば、病院は入院期間を短くしたり、できるだけリハビリを受けさせないような方向に舵をきります。

退院後に併設する訪問看護ステーションから訪問リハビリにいけば、グループとしての売り上げは確保できるわけです。

もしこれに従わない病院や施設、事業所があったとしても、自然と経営が苦しくなるため、競争に生き残ることなく消えていくことになります。

一昔前は理学療法士や作業療法士が不足していたため、国は診療報酬や介護報酬をかなり高めに設定していました。

そうすると民間の業者は訪問リハビリに力を入れて取り組むようになります。儲かるからです。

しかし、その後訪問リハビリが充足してくると、訪問リハビリの診療報酬を下げれば、その状態で維持されるか、もしくはわずかに後退していきます。

つまり、国が成長させたいサービスの診療報酬を上げ、もうこれ以上必要ないと判断したら、徐々に診療報酬を下げていくという方法を取っているのです。

サービスが安く受けられることは利用者にとってはいいことですが、安くなったことで病院や事業所の経営が成り立たずにつぶれてしまうと、結局は良いサービスを受けられなくなる可能性があります。

診療報酬や介護報酬の改訂を業界人が「改悪」と呼ぶゆえんはここにあるのです。

まとめ

今回は診療報酬や介護報酬についてお伝えしました。

少子高齢化に向けて日本での医療保険・介護保険制度は練りに練って国が行っている事業だけあって、実によく考えられていると感心することが多々あります。

一方で、病院や介護施設にとってはこの改訂は死活問題となる可能性を秘めているので、国に振り回されていることは否めません。

本当に必要な人により良いサービスが受けられる、そんな日が来るのはなかなか難しいかもしれませんね。

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