股関節唇損傷で股関節唇を切除した後の痛み

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股関節唇損傷に対する内視鏡手術が増えてきていますが、手術後の痛みに悩まされている方も多いです。

股関節唇損傷切除後の痛みとリハビリについて

股関節唇損傷に対する内視鏡手術では、切除術もしくは縫合術が行われます。

切除は言葉通り切って取り除いてしまいますが、縫合術では股関節唇を縫い合わせます。

予後については縫合術の方が成績は良いようです。そのあたりはいつも御世話になっている産業医科大学若松病院の内田宗志先生がブログに書かれていますので、そちらをご覧ください。

参照股関節インピンジメントに対する治療エビデンス 股関節唇縫合は 切除より優れた成績

今日は昨年股関節唇損傷で切除術をされた方からご質問をいただきましのでご紹介します。


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股関節唇切除後にも続く痛み

いただいたご質問は以下です。

題名:股関節唇損傷手術後の対応

性別:男性

年齢:60代

診断名:股関節唇損傷

メッセージ本文:
昨年4月から右股関節に痛み発生。整体通っていましたが治らず7月に整形外科受診しFAIにつき、骨盤側は突出部切除、大腿骨側はくびれがない平坦部をえぐる、関節唇は縫合を目的とし関節鏡手術を11月に受けました。

痛みを我慢できなくなるまで待って人工関節とするか上記かの選択を求められましたが、関節の軟骨厚み(間隙)が3mm前後で、関節鏡手術するならいましかないとのことでした。ただ開いてみると関節唇がボロボロだったので縫合はできず殆ど切除されました。

リハビリは入院中は毎日40分/回、退院後は2,3回/週、来週以降は1回/週となります。いまはマッサージ、ストレッチ中心ですが自分でエアロバイクを軽微な負荷で、5分間追加して行っています。

主に足先方向に引っ張りながらの可動範囲の確保が基本です。

いまの自分の希望は継続歩行です。症状は手術前には15分程度継続歩行ができていたのに、いまは平均で4,5分、悪い日は歩き出しから違和感、若干の痛みを股関節右の外側もしくはお尻の奥、右前の奥に感じて 杖と左足に頼ってびっこを引いてしまいます。歩く速さも普通の1/3位です。

無意識に膝を開いたり、曲げたりすると奥がピクっとしますが、歩行とは違った痛みで瞬間的なので我慢できます。あぐらをかいてこたつに座るのも10分くらいで鼠径部やお尻奥が痛み、継続してするのは無理です。できればあぐらは継続したいですし、買い物や通勤に向け15分継続歩行、できれば1時間に延したいのです。

あとは幼稚園の孫と遊べるようになるのも夢です。今は朝ベッドから起きて歩き出し時やトイレに移動時にも違和感、痛みが出ないか気になって躊躇してしまいます。

主治医は「骨はできることはやった、軟骨は減少する一方、あとは筋肉だが数か月かけて自分で訓練するしかないが、股関節の安定に効くかは分からない。元々我慢できなくなるまで待って人工股関節置換というのが大方の意見であり、今回はチャレンジングな難しい手術だった。現状を改善するには人工関節しかない。」との話です。

自分は人工股関節でなく自分の骨で改善できる道を探りたく、今後の改善に向けて、どんなことに取り組めば良いのか國津様のご意見をお聞かせ頂きたいと思います。

関節鏡手術の内容についてはお読み頂けたと理解していますが補足が必要であればお手数をお掛けしますがお問い合わせ下さい。せっかくの機会ですので正しく状況をご理解頂いた上でのご意見を頂戴致したいと思いますので。

追加となりますが、昨日と違い本日は違和感なく一歩を踏み出せていますので、午後から自主トレの散歩に出てみます。歩行時の痛む箇所と膝を不用意に曲げたりした時のピクっとする鼠蹊部の痛む箇所は異なっています。

職場勤務の復帰が来週と迫っており杖での電車通勤を余儀なくされますので焦りと不安を抱えている現在です。

尚、左側も2年前に一度股関節の横の外側周辺に痛みを覚え夜間の就寝もできず整形外科にて検診受けました。股関節には異常なくヘルニアから来ているとの判断で、検査しましたが異常なく痛み止め薬で1か月で治った経緯があります。

今回も検査して貰いましたが間隙が4,5mmあり、「いますぐの問題はないがいずれ右のようになる骨形状なので、同じ手術を今しておけば人工股関節はしなくて済むと思うがどうしますか」と打診され断っているのが現状です。

今後の対応につきご意見を宜しくお願い致します。

痛みとご自身の骨で歩かれたいという願いが伝わってきます。


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人工股関節置換術になる可能性は?

人工股関節置換術をするべきか

ここに至るまでにたくさんマイナス要素はご説明を受ているかもしれませんが、お聞きした状況を踏まえ私なりに考えてみました。

最後に「私なら」という意見も申し上げています。

前回のブログでもお伝えしましたが、股関節唇損傷の手術を50代以上で行った場合、変形性股関節症の進行や人工股関節置換術の手術を先延ばしにできるかにどれぐらい寄与できるかはわかりません。

参照) スポーツを続けるためには股関節唇損傷の手術をするべき?

医師のいうチャレンジングという部分がそれにあたるのかもしれませんが・・・。

また縫合術ではなく切除されているので、股関節のことを考えると負担が増えてしまうことが予想されます。

そもそも股関節唇は関節の深さを補ったり、内圧を高めたり(関節の安定化)、シーリング効果で関節液の働き(軟骨の栄養)をよくするために存在するします。

今回その股関節唇をどれぐらい切除したかはわかりませんが、切除してしまっているので、それらの機能が低下していることが予想されます。

医師のいうように、人工股関節置換術を将来的に行わないといけない可能性は高いかもしれません。

その上で、できるかぎり自分の骨で生活するためにでやるべきことを考えてみましょう。

可動域をできるだけ拡げる

まずは可動域を生活に支障のない範囲に戻します。

現在どれぐらい可動域があるかわかりませんが、手術創の癒着や術前術後の廃用で落ちている可動域をできる限り戻しましょう。

可動域の低下は股関節の負担となる動作を強いる可能性がありますので、まずは動作に支障のない程度に可動域を回復させましょう。

筋力トレーニング

普段はあまり筋力トレーニングが必要だと言わないのですが、今回は筋力トレーニングが必要でしょう。

その際で一番深部にある小さい筋肉を鍛えます。運動方向でいえば、内旋と外旋。負荷は小さくて構いません。

鍛え方は以前ブログでご紹介しましたので、そちらを参考にしてください。

参考)
外旋六筋を中心に股関節外旋筋の筋力トレーニングをわかりやすく解説

小殿筋を中心に股関節内旋筋の筋力トレーニングをわかりやすく解説

歩行を見直す

可動域、筋力が改善してくれば、それをしっかり活かせるような歩き方、具体的には脚を着く瞬間から荷重、蹴り出しの瞬間、瞬間でさきほの深部の筋肉が効果的に発揮できるような歩き方を目指しましょう。


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QOLを考える

QOLを大切にする

文末に左脚のことも書かれていますが、私なら股関節唇鏡の手術はせずに、できるだけ先延ばしにして人工股関節置換術を行うと思います。

以前同じように内視鏡で股関節唇切除術を行って痛みがひかず、再手術を2回しても結局動作レベルが落ちて人工股関節置換術を受けた方がいました。

この方の場合は、50代と若かったので、なんとか人工股関節置換術を受けるは避けようと考えておられましたが、最終的には人工股関節置換術を受けました。

手術後には「こんなに楽になるならもっと早くしておけばよかった」とおっしゃっていたのが印象的でした。動作レベルも痛みを気にして動かれているときの何倍もよくなりました。

私自身も怖がりで、手術はしたくありませんので、みなさんと同じように自分の骨でいける道を探ると思います。

ただ最終的にはQOL(人生、生活、生命の質)がどうかということを考えて、判断していくと思います。

まずはやるべきことはまだあると思いますので、リハビリを続けてみてください。

実際にリハビリができたとしてもどれぐらい改善するかは正直わかりません。それを踏まえて主治医と経過をみながらご相談していかれたらいいでしょう。

1日でも長く自分の骨でいるために

上記のようなアドバイスを行ったところ、後で次のようなご返事をいただきました。

國津様

日曜日にも関わらず早速ご回答頂き有難うございました。

やはり改善の可能性は不明とのご意見と思いますが、いただいたご意見を参考に内旋、外旋の深層部筋肉の強化というか活性化に努力して様子を見たいと思います。いつかは人工関節置換としても、術後間もないいまはせめて半年から1年は頑張ります。

あと少しだけ教えて下さい。

1.内旋、外旋というのは動かしかたを言われているのではなく、筋肉の種類というか名前ということで良いでしょうか。つまり内旋筋、外旋筋というのがいくつか有って、それぞれを活性化するリハビリを行うということですね?

2.その強化した筋肉を「効果的に発揮できるような歩き方」についてもう少し具体的に、どのようにすればよいか教えていただけないでしょうか?

3.最後にもうひとつ。歩く時に違和感が来たら立ち止まって休む方が左足と杖に頼って脚を引きながら歩きを続けるより良い、と考えていいでしょうか?

以上についてご意見を宜しくお願い致します。

1については、内旋筋、外旋筋ともに全ての筋を分離してイメージすることは難しいです。

ですから、内旋方向の運動、外旋方向の運動を行って、筋肉を活性化していくということです。

2は少し難しいのですが、まず股関節内旋、外旋ともに、自分で動かしているイメージをつくることです。内旋をしたときに内旋筋が、外旋をしたときに外旋筋が、それぞれ動かしているイメージです。

でもこれはかなり難しいです。

ですから、なんとなくでもいいので、これらを同時収縮させて股関節が安定する位置、わかりにくければお尻の奥の方の筋肉がしっかり使えている位置で荷重を行うということです。

3についてはうまく荷重ができていれば痛みはすくないはずなので、痛みがつよくてあるけない状態は避けた方がいいと思います。

人工股関節置換術をすれば痛みは治る?

最後にもう一度ご返信がありました。

國津様

早速ご丁寧な回答を頂き本当に有難うございました。いただいたコメントを意識して頑張ってみます。

しつこくて真に申し訳ありませんが、最後に一点お願い致します。

人工関節に置換すると現在の歩行時の痛みは解消するのでしょうか?

関節のみ交換しても周囲の内、外旋筋とか同じであれば、その緊張は同じように発生して、またリハビリを重ねる日々ということにはならないのでしょうか?

何度も申し訳ありません。よろしくお願い致します。

人工関節置換術後に痛みが全くゼロになるかは、手術やリハビリ、それから術前の状況によるところが大きいです。

ですから手術以前に全く痛みがなくなるかはわかりません。

ひとつ言えることは、どのようなレベルや回数になるかはわかりませんが、リハビリは術後も必要になるということです。

それは人工関節の耐用年数(耐久性)を上げるためにも必要ですので、もし人工股関節置換術を行ってもしっかりケアしてあげてください。

まとめ

股関節唇損傷と、内視鏡による切除術後の状況やリハビリについてお伝えしてきました。

中年以降の股関節唇損傷に対する内視鏡手術の状況がしっかり伝わり、股関節鏡や人工股関節置換術、保存療法で迷われている方の参考になれば幸いです。

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