スポーツを続けるためには股関節唇損傷の手術をするべき?

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股関節唇損傷で股関節に痛みがあるとき内視鏡手術を行うべきかどうか、運動を続けたいなら悩むところだと思います。

股関節唇損傷スポーツ手術するべき

近年話題になっている股関節唇損傷をご存知ですか。

股関節の臼蓋の縁にある股関節唇がなんらかの原因で損傷されるというものです。

この股関節唇損の治療ですが、保存療法はまだまだ確立されているとは言えず、手術をすすめられることが多いです。

ただし股関節唇損傷に対する内視鏡手術に関してインターネットで調べる、「手術しても治らない」「もっと痛くなった」など、否定的な意見も散見されます。

スポーツや運動をされてきた方にとっては、手術をするべきなのか、保存療法で様子をみるべきなのか、悩みどころになります。

今回は股関節唇損傷についてご質問をいただきましたのでご紹介します。


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手術をするべきか、保存療法でいくべきか

いただいたご質問はこちらです。

質問

題名:股関節唇損傷について

性別:男性

年齢:20代

診断名:FAI

メッセージ本文:
國津先生

はじめまして、◯◯と申します。

股関節唇損傷の情報を集める中で当サイトを見つけました。以下長くなりますので、冒頭に質問事項を掲載いたします。

私個人の状態を見ていただいておりませんので、一般論としてでも回答いただければ幸いです。

  1. 痛みがなくても、股関節に負担をかける動作は控えたほうがいいのでしょうか?(変形性股関節症への進行につながるか?)
  2. 保存療法でスポーツを続けていくことは可能か?
  3. 手術後、スポーツへの復帰は可能か?

私は総合格闘技のプロ選手として活動しております。関西在住で2◯歳、競技歴10年(プロ4年)です。

昨年6月の試合の際、右股関節を痛め、特に足を上げる動作が痛く、最初の2週間は歩くのにも少し足を引きずるほどでした。

ただその痛みも徐々に消え、1ヶ月ほど経過したときには日常生活には支障はないほどになっており、スパーリング等も可能でした。

また11月に左肩の鎖骨遠位端切除手術を受けたため、以降はさほど運動もしていませんでいた。しかし、今年1月になり、日常生活では全く痛みを感じないのですが、ジョギング時の痛みが取れませんでした。

そのため整形外科に受診したところMRIで「股関節に水が溜まっている。痛みの長引き方からみると股関節唇損傷の疑い」と言われ、某大病院を紹介されました。

その病院で先週3DCTとレントゲンを撮り、「FAIです。股関節唇損傷でしょう」と診断されました。来週に造影MRIを撮る予定です。

大病院というともっと機械的な対応かと思っていましたが、説明もとても丁寧でした。そして「手術をしたとしても、サッカー選手ならそれなりの確立で復帰しているが、格闘技の選手は経験がないから復帰可能かわからない」と正直におっしゃっていただきました。

私自身自分でインターネットで調べており、手術したとしても予後の個人差がとても大きいことは認識していましたので、非常に迷っております。

というよりもネットではネガティブな情報の方が多いですね。

また先生は特に脅すつもりもなかったと思うのですが「股関節唇損傷は放っておいて無理を重ねると軟骨が痛み変形股関節症になり、最悪人工関節になる」と仰ってました。

そのときはなんとなく聞いていたのですが、今更ですが非常に不安に思っております。

現状、歩く・小走り・階段・あぐらをかく・脚を組む・しゃがみこむ等の動作では痛みは全くでず、意識すると違和感があるかな?というくらいです。

Faber Patrick Testなども少し引っかかると感じる部分はありますが、痛みはほぼありません。20分以上のランニングで少し強い違和感がでて、それを数日続けると痛みになるという程度です。

この場合、日常で階段上ったり(痛みのないが股関節の負担になるであろう動作)しても軟骨が傷んだりはしないのでしょうか?

少しでも負担をかけると傷んでしまう気がして怖いのです。あぐら等も避けてしまいます。しかし、ある程度使わないと筋力が落ちたり硬直したりと、余計に悪循環になりそうな気がしております。

またプロとして競技の継続は難しくても(もちろんプロとしてできれば一番ですが)、趣味として週に1~3回ほどの練習は続けていきたいのですが、それは変形股関節症の進行を早めるだけなのでしょうか?

10月頃はスパーリングもしていましたが、練習中に股関節が痛いという記憶がないのです。

あくまで長時間走ると痛い(痛くなると歩いてても違和感あり)、という症状です。

現時点での手術は不安です。日常生活に全く支障がない分、リスクが大きいと感じています。可能であれば保存療法であと5年でも術式やリハビリのノウハウが少しでも蓄積されてから、全快を目指して手術したいなと思っております。

しかしその5年の間に軟骨がボロボロになっていては手遅れなのかな?手術は若い方がいいのかな?と悩んでおります。

國津先生は股関節唇手術されたアスリートのリハビリをされたことがあるとのことですが、復帰はできたのでしょうか?格闘技はなくともほかの競技等、可能な範囲でも情報を頂けたらなと思っております。

病院での次回の診察時に主治医にも伺いますが、それまで日にちがあることと、別の立場の方の意見も伺いたくメールいたしました。

よろしくお願いいたします。

「図解入門よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ」やスポーツメディスンの股関節特集3刊も購入し、現在自分なりに情報を集めているところです。

現在、新たな診察を受け入れられていないとのことですが、もし体制が整いましたらこのブログにも情報を掲載していただけると助かります。

以上、長文ですがよろしくお願いいたします。

かなりお困りになっていて、調べられている感じが伝わってきますね。私が患者さんの立場でもそうすると思います。


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どの選択肢がベストなのか?

どの選択肢がベストなのか

紹介された大病院には、関西では股関節唇損傷の患者さんが多く紹介受診しています。

股関節唇損傷の内視鏡手術では、サッカー選手だから復帰できる、格闘家だから復帰できないということなさそうです。

プロの格闘家の手術症例を担当したがないので信憑性には欠けますが、野球選手でも新体操の選手でも復帰はされています。

ただインターネットにはネガティブな情報が多いのは確かです。

その原因として考えられることとしては、

  • ネガティブな情報はポジティブな情報の10倍ぐらい伝わりやすいこと
  • 適切なリハビリを行っていなかったこと

この2つの要因はあると思います。

もうご存知かもしれませんが、遠方に股関節唇の内視鏡のスペシャリストのいたとします。この医師のオペを受けるために全国から人が集まるのですが、退院後のリハビリは地元に帰ってすることになります。

ここで適切なリハビリを受けられな(地元に適切なリハビリができる病院や医院がない)と、オペのできうんぬんは関係なくなります。

股関節唇損傷の内視鏡手術後は、2ヶ月ほどすれば普通に歩けるようになるため、自分が治ったと勘違いしてリハビリに来なくなる症例も多いのです。

facebookやtwitterでは悪いことを書いている人もいますが、適切なリハビリを続けていたのでしょうか。


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将来的に手術に可能性はある?

将来の手術の可能性は?

最近わかってきたことなのですが、変形股関節症で手術された方のほとんどが股関節唇損傷を併発しています。

こちらの先生はおそらくそういうことをおっしゃっているのか、一般論として考えても股関節唇損傷であれば一部の軟骨が痛みやすい傾向にあると思います。

日常生活のことをすごく気にされています。たしかに動くことを恐れて活動量が落ちれば、廃用を招くかもしれません。

日常生活での歩行や階段はある程度の負担にはなりますが、全てを避けることはできないですよね。考えすぎてしあうかもしれませんが、現状であれば普通に生活すればいいと思います。

また将来的に手術の可能性があると言われると、誰でも怖くなりますよね。

たとえば60歳のときに人工股関節置換術の手術をすることになったとしましょう。

手術に至る過程に100原因があるとして、格闘技を続けていたことがそのうちのどれぐらいの原因になっていたかは正直わからないです。

もしかしたら格闘技をしていなかったら手術をしなくても済んでいたかもしれませんし、61歳で手術になっていたかもしれません。

61歳で手術が格闘技によって1年早まったと考えれば「格闘技続けといたらよかった」となるでしょう。

私は患者さんのQOL(人生・生活・生命の質)を大切にしたいです。

基本的には患者さんのやりたいことありきで、それに合わせたリハビリを考えていけばいいのですから。

特に現状では長時間走ると痛みがでるということですから、どうしようもないときは止めますが、やれるところまで自分が納得できる形で続けてもいいのではないでしょうか。

自分なら手術をするか

自分なら手術をするかどうか?

ここからは完全に私見になりますが、自分がこちらの方の立場ならどうするか考えてみました。

私なら、手術はしません。

現時点での手術には不安があるようですし、日常生活に全く支障がない分、手術には踏み切れないと思います。

保存療法での治療はまだ行っていないようですし、まずは保存療法で様子をみてみる価値はありそうです。

手術の技術や方法や日々進化していますが、股関節唇損傷の手術はまだまだ確立される段階にあるといえます。

よく耳にする膝関節の前十字靱帯断裂の手術であれば「手術後にこうなるので、どういうリハビリをする」というのがある程度予測できますが、股関節鏡の手術はまだまだ発展段階です。

ただどんな手術でも最初はこんな段階を踏みます。もちろん前十字靱帯断裂の内視鏡手術も30年、40年前はこんな状態でした。そのときの医師が研究や症例を重ねて、現在の治療が確立されたのです。

股関節の内視鏡手術、その方法自体の問題ではなく、その手術の適応の限界もあるはずなので、そのあたりを医療従事者がさぐっているような印象です。

何年後というはっきりした年月はわかりませんが、おっしゃように5年後にはもっともっと良い手術やリハビリがあると予想されます。

言い方は悪いのですが、股関節唇損傷も手術後の成績にばらつきがあるのは、手術もリハビリもまだまだ発展段階だからでしょう。

手術をしてその後再手術になっている症例もありますし、股関節唇損傷の内視鏡手術が人工関節の時期をのばすことに貢献できていないという話もあります。

こうなってくると、なんのために手術をするのか、再考する必要もあります。

私が担当した方は、ロッククライミング選手(国体代表クラス)は、競技レベルでありませんが復帰しています。(※この方は手術後に妊娠・出産されたため競技レベルにはならなかった)

もう一人は大学野球(レベル的には甲子園出場クラス)の内野手。この方は大学野球に戻られました。

スポーツ復帰は可能か?

これで最初の質問に戻ります。

痛みがなくても、股関節に負担をかける動作は控えたほうがいいのでしょうか?(変形性股関節症への進行につながるか?)
ここまでくるとなんとなく見えてくるかもしれませんが、普通の生活はそのままでいいと思います。

あともう少し詳しくいうと、動き方の方法やコツもあるので、そういう動き方ができれば、なおいいと思います。

変形股関節症の進行につながるかどうかは、つながる可能性は大いにあるが、どれぐらいつながるかは不明だというのが正直なところです。

保存療法でスポーツを続けていくことは可能か?
格闘技にもたくさん種類があるので何ともいえない部分もあるのですが、寝技も立ち技もある総合格闘技でしょうか。

保存療法でも続けていくことは可能と思いますし、これも先ひどの質問と同じく動作の方法も大いに影響すると思います。

ただしプロレベルで何年というところはわかりませんし、将来人工関節になるリスクはないのかと言われればあると思います。

これもさきほど申し上げたように、どれぐらい早めるかはわからないところです。

手術後、スポーツへの復帰は可能か?
これも可能です。手術後にリハビリを適切に続ければ。

ただし大学病院や大病院でのリハビリは長くでも1ヶ月。その後は回数がかなり減って(週に1回のリハビリなど)手術した病院に通うか、地元の医院などで受けることになります。

回数が減るのは避けたいところです。

地元の医院で毎日理学療法士に診てもらえるところがあればそれが一番いいのですが、股関節唇損傷の手術後の症例をみたことがある人がまだまだ少ないので、どのレベルでリハビリを受けられるのはかなり微妙な状況です。

それが高いレベルで毎日のようにリハビリできるのであれば、手術後の復帰の可能性は高いと思います。

まとめ

股関節唇損傷のリハビリはまだまだこれから

股関節唇損傷の手術を受けるかどうかのご質問とその対応についてご紹介しました。

股関節唇損傷の治療は内視鏡手術が中心で、手術後のリハビリや保存療法についてはまだまだ未確立です。

保存療法でも改善する症例もあるでので、まずはファーストチョイスが保存療法が一般的となるようにしなけばなりませんね。

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