股関節唇損傷?鼠径部痛症候群?原因は別のところにあるかも

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最近何かと話題の股関節唇損傷ですが、診断するのは難しいことがあります。

股関節唇損傷鼠径部痛症候群

股関節を深く曲げるスポーツや職業の方に診られることが多い股関節唇損傷。ただ一見すると鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)にも似ているため、選別が難しい場合があります。


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股関節唇損傷?

今回はそのような症状で困っている方からご質問が届きましたので、ご紹介させていただきます。

—- 題名 —–
股関節・背中の痛み

—– 性別 —–
男性

—– 年齢 —–
30代

—– 疾患名 —–
股関節唇損傷

—– 治療経過を詳しくお書きください —–
國津様

はじめまして。

この度は、國津様のブログや書籍を拝見いたしましてご相談したくご連絡いたしました。大変恐縮ですがよろしくお願い致します。

早速ではございますが現状について申し上げます。

診断名

  • 医師A グロインペイン症候群
  • 医師B 股関節唇損傷の疑い

病歴(経緯について)
5年ほど前からロードバイクを趣味とし、毎日通勤で往復30キロ、多いときで月に800キロ程度のっておりました。

2010年9月 停止時の自転車から転倒し、右ひざ内側を打ち骨挫傷。しばらく安静にした後、ある程度回復したため12月ごろから再度自転車を再開。右ひざからももの内側にかけて突っ張りがあり、いまだに違和感は継続。

2011年1月 右背中(みぞおちの裏側あたり)の張りと違和感、また右股関節周辺(内側、腰骨の下、臀部)に軽く痛みが発生。

2011年4月 股関節ストレッチ後に立ち上がる際、パキっという異音がした後痛みが強くなり、自転車に乗るだけでなく歩行や階段の上りの際に違和感が大きくなってくる。

2011年7月 整形外科にてグロインペイン症候群と診断。理学療法士の指導のもと2ヵ月リハビリ。おもに鼠径部のマッサージとストレッチ、筋力トレーニング。

2011年9月 改善の兆しがないため、別の整形外科にて診察。MRIにより股関節唇損傷の疑いとの診断。こちらでも理学療法士の指導のもと3ヵ月リハビリ。低周波治療器や筋肉トレーニングなど。

その後、よくなる気配がなく、スポーツをせずに痛みが極力出ないような生活をしておりました。

股関節のみならず、右下腹部、背中からわき腹にかけての痛みがひどく、椅子に座るのも苦痛になってきております。

2013年3月 筋力の低下が著しく血液検査をしたところ若年性更年期障害(フリーテストステロンが60歳代の平均値まで低下)と診断。原因不明のため、様子を見るのみ。

背中の痛みに関しては、常時ございます。

特に深く沈みこむような椅子(車のシートなど)に座る際は、右の背中(みぞおちの裏側からわき腹にかけて)は力を入れないようにかばっている感じがします。

股関節に関しては、以前は歩行時の違和感などが大きかったですが、今では常に引っかかるような感じがしております。

気分転換として行っていたスポーツができなくなり、生活にまで支障が出てきた今、原因を解明し、とにかく改善したいと心から願っております。

恐れ入りますが、何かアドバイスいただけますでしょうか。よろしくお願い致します。


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股関節唇損傷か、それとも?

どんな症状診断

ご質問を拝見した第一印象は、股関節唇損傷と鼠径部痛症候群がミックスされたような感じですね。

診断名を拝見すると、「医師A グロインペイン症候群」「医師B 股関節唇損傷の疑い」とふたつの診断名が現在疑われいるようです。

股関節唇損傷であれば、MRIで確定診断がつくと思うのですが、それが難しかったようですね。

難しい股関節唇損傷の診断
実は2年ほど前ですが、私の患者さんでも同じようなこがありまして、股関節唇損傷疑いと言われて、はっきりとした診断がつかなかったことがあります。

その患者さんは股関節唇損傷疑いでMRIをとったところ、

  1. MRIの性能がよくなかった
  2. MRIを撮影する担当技師への伝達がうまくできておらず、技師が股関節唇をしっかり写せなかった
  3. 医師が判断しかねた

といろいろあって、最終的には股関節唇損傷ではにと判断されました。患者さんの希望もあり、股関節唇損傷の専門医に診てもらったところ、股関節唇損傷がみつかり手術することになりました。

こちらの方も複数の医師に診てもらっているようですが、できれば股関節の専門医、しかももうひとつ突っ込んだ話をすると、股関節唇損傷の専門医に診てもらうべきでしょう。

話を元に戻しましょう。

私が気になった点がいくつかあります。

ロードバイク

この方の趣味であるロードバイクですが、ロードバイクのこぐ動作は股関節唇損傷に至る原因にはなりやすいと思われます。

右膝内側の骨挫傷

単なる骨挫傷であれば、日にち薬で安静にすれば症状は改善すると思われます。
この内側のつっぱりは何が原因なのかちょっと気になりますね。

右背部痛と股関節周辺の痛み

右の背中や股関節の周囲の痛みがだんだんひどくなってきています。

このあたりをみると、グロインペイン症候群を疑いたくなりますが、グロインペイン症候群の場合、腹圧が大きくかかったときに痛みが強くなることが多いです。

この方もグロインペイン症候群と診断されて、理学療法士の治療を受けられたようですが、改善しなかったようです。

股関節唇損傷の治療

その後、股関節唇損傷の診断を受けています。

股関節唇損傷では低周波治療器や筋力トレーニングはあまり効果がないかもいしれません・・・。

ただ股関節唇損傷の保存療法のメニューはまだ決まっていませんので、それぞれの理学療法士が手探りで行っている状態です。

腰部痛や背部痛にもつながる腸腰筋

どれも疑わしいけれども、どれも違う気がしまして、私ならどうするか考えてみたのですが、私なら腸腰筋問題はないか、疑いたくなりました。

腸腰筋は以前ご紹介しましたが、腰から大腿骨にまたがる筋肉です。

 いま話題の腸腰筋とは?

腸腰筋は腹部の深部というよりも、背骨の横(脇腹の奥)から起こっていて、実はみぞおちの奥の方で、背中に近い部分にあります。

腸腰筋に問題があると、背部痛や腰部痛、殿部痛を発生させることがあります。

股関節痛は腸腰筋を治療すれば治るとうたっている治療家もいるぐらいです。(それはいいすぎだと思うのですが)

たとえばこの方の場合、

「膝のケガで安静にしていたことにより膝周囲(特に大腿内側にある筋肉)が短縮して膝や股関節の動きを悪くした。

それに伴い小転子(腸腰筋の停止部)のアライメント(位置)が微妙にずれて本来のフォームで自転車がこげなくなり、腸腰筋に無理が生じて痛みが生じている。」

とひとつ仮説を立てることができます。

ですからまずは大腿内側のつっぱりを改善して、アライメントを整えながら腸腰筋のストレッチもしていくというのが、可能性のある治療のひとつだと思います。

腸腰筋が短縮して張っていると、股関節唇損傷と同じような痛みを出すことがあります。それに気づかず股関節唇損傷だと診断されて、手術しても痛みが改善しない方がたくさんいらっしゃいます。

実際に診ていないので、なんとも言えない部分もありますが、
メールの文面で治療を行うなら、まずそのあたりから手をつけていくとと思います。

まとめ

股関節唇損傷は鼠径部痛症候群や腸腰筋の症状と区別がつきにくいことがあります。

股関節唇損傷と診断されて治療を続けても痛みが変わらない場合には、他の症状を疑ってみるといいかもしれません。

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