高齢者がリハビリを拒否する理由は?やる気を引き出す工夫とは?

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高齢者がリハビリを拒否するのには理由があります。今回は高齢者のやる気を引き出すリハビリの工夫について考えていきましょう。

最初勤めていた病院で大腿骨頚部骨折の手術後のある高齢者を担当したとき、とにかくリハビリを拒否されました。

病棟からリハビリに行くのを嫌がっていると聞いていたので、毎日お部屋まで行って説得を試みたのですが、暴言・暴力は当たり前で、挙句の果てに唾まで吐きかけられてどうにもこうにもうまくいきませんでした。

上司に相談していろいろ手は尽くしたのですが、結局良い接し方が見つからないまま、患者さんは転院していきました。

その苦い経験があり、私は高齢者をリハビリで担当するとき、工夫することの重要性を考え始めました。


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ガソリンスタンドでのセールスって嫌じゃないですか?

以前ガソリンスタンドに行ったら、こんなことをいわれました。

「夏は暑いのでバッテリーあがりには注意が必要ですよ! ボンネットの中を点検しておきましょうか?」

このようにガソリンスタンドに行くと、何かと声をかけられることが多くないですか。

「オイルが悪くなると車が故障しますよ。点検しておきましょうか」

「タイヤの空気圧が減っていると燃費に影響します。チェックしておきましょうか」

「雨の日に前が見づらかったら大変ですよね。ワイパーチェックしておきましょうか」

などなど、けっこういろんなパターンがあります。

でもこれはセールスではありません。いま例示した文面を見ると、あくまで事故が起こらないようにお客様のことを思って声かけをしているようになっています。

ガソリンスタンドスタンドの店員の提案を受け入れてお願いしようものなら、なんとなく想像できるとは思いますが、あれやこれやと売りつけようとします。

車の点検やメンテナンスは病院でいえば健康診断や人間ドッグのようなものでしょうか。見た目は元気でも、どこか悪いところがないかあえて探すために受けます。

私たちは健やかな生活をするためにそれが必要だと分かっているから受けますよね。車のメンテナンスも必要なことはわかっていても、なんか二の足を踏むことが多くです。良いとか悪いとかは別にして、なんとなく抵抗があるのです。店員にすすめられてすることが嫌なんですよね・・・。


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なぜそれが必要なのか?

なぜ抵抗があるのかを考えたとき、私が出した答えは、

「なぜ必要なのか理解できていないから」

ということです。

良いとか悪いとか、損とか得とか、そんなことじゃないんです。必要だったらしないといけないでしょうし、自分や家族の安全に関わるなら、いくらかかるとか考えること自体に意味がないでしょう。

なぜそれをする必要があるのか、その説明が少ないのでお願いする気になれないのです。

先ほどの例でいうと、オイルが悪くなれば車にとって良くないこと自体は素人でもなんとなく想像がつきます。医療に当てはめたら、「血液がドロドロになったら危ないよ」ってな感じでしょうか。

でもオイルってどんな役割をしているのか、車が好きな人以外で理解できている人はほとんどいませんから、なぜ点検するのか、ダメだったらどう車に悪いのか、そのつながりがわからないのです。

私は大学生の頃、ガソリンスタンドで4年ほどアルバイトしていたので、ガソリンスタンドでのセールスの裏側を知っています。

ガソリンスタンドでは、ボンネットを開けさせることがさまざまなメンテナンスにつながっていきますし、車検証のコピーを手に入れることが車検につながります。

ですから、あの手この手を使ってボンネットの中を点検したり、車検証を提示したら某大手カー用品店では、メンバーズカードの年会費が無料になったりします。

そんなセールス心が見え見えなので、胡散臭さが増すのです。

もちろん、素人にとっては点検してもらえることはありがたいかもしれませんが、やっぱり理解した上でお願いしたいというのが本音でしょう。

高齢者にリハビリを拒否される理由

今回は車のメンテナンスを取り上げましたが、実はこの話は私たちのリハビリにもものすごく共通しています。

たとえば、治療の一環として何か検査やトレーニングをお願いするときに、患者さんが感じていることとよく似ています。

理学療法士や作業療法士は、問診や情報収集を経て、必要な検査や治療をピックアップするわけですが、患者さんにとってはなぜそれが必要なのかわかりません。

リハビリをしていく上では、痛いことやしんどいこともあるでしょう。でもそれが必要だと思えば、患者さんにはやってもらわなければなりません。

そのときに患者さんが、「なんか痛いこと、しんどいことばっかりさせられるけど、このトレーニングは本当に効果があってやる必要があるの?」と感じているかもしれません。

時には拒否されることもあります。特に高齢者の方には多いですよね。

そりゃ動くのも辛い年齢ですし、あれしろこれしろといわれても動きたくない方もいらっしゃるでしょう。そこに認知症も加わって、さらに治療がうまくすすまない要因になっていきます。

ちょうどガソリンスタンドでみなさんが店員に何か提案されたときと同じような抵抗があれば、お年寄りの患者さんも同じ気持ちでしょうから、治療がうまく進むはずがありません。

こんなときはやはりなぜその治療が必要なのかしっかり説明して理解していただくことが重要です。

認知症があって理解しにくければ、家族を巻き込んでもいいと思いますし、とにかくなぜそのリハビリが必要なのか説明しましょう。絶対押し付けにやっちゃダメですよ。知らず知らず患者さんには強要しているのかもしれません。

リハビリでやる気を出させるには?

くら寿司という回転寿司をご存知ですか?関西の人にはなじみがあると思います。うちの子どもがくら寿司に行くのが大好きなんです。同じ回転寿司のスシローやかっぱ寿司ではない理由がこれです。

これは『ビッくらポン』といってガチャガチャのようなものです。こういうやつですね。

カウンターの下にお皿を入れる隙間があり、ここに5皿入れるとガチャガチャが1回できるようになり、上にある画面に動画が流れます。

動画はいろいろなパターンがあるのですが、要はパチンコのように当たりかハズレが勝手に決まるようになっています。そして当たりがでるとガチャガチャが1つでてきます。これが意外と当たらなくて、いらいらします(-_-;)

さらにその景品というのが正直しょぼい。この前行ったときに当たったのはこれ。

くら寿司の天ぷらの携帯ストラップです。

私はこれが欲しいとは思わないのですが、子どもにとっては、

  • 皿を流すのが面白い
  • 動画が楽しい
  • 景品がもらえる

と楽しいこと尽くめなので、お寿司よりもこちらを楽しみにしています。

企業から学ぶやる気を引き出すコツ

この景品企画ではお皿をお客さんが自ら流すことにより、店員さんが片付ける手間が省け、人員を削減できることもあります。以前はたくさんの皿を運んでいましたが、いまはどんぶりや瓶など、流せないものだけを運ぶだけで済みます。

さらに「もう1皿、どうしようかな」と迷っている人に、5の倍数まで食べようかなと思わせる効果もありますよね。

実際この日も14皿だったのですが、「あと1つ、あと1つ」とまるで店側の人間のように子どもにねだられ、もう1皿食べてしまいました^^;

そして何より秀逸だと思うのは子連れのリピート率がぐっと上がります。翌日車で前を通りかかったときも、「あれしたい」とビッくらポンのことを話題にしていました。子連れにとってはビッくらポン恐るべしです。

やる気を引き出す工夫をリハビリではどう生かす?

こういう企業の工夫からは我々理学療法士も学ぶことが多いです。先ほどご紹介した高齢者にリハビリを拒否される場合にももちろん有効です。

それってリハビリ室にお越しいただいて、リハビリをすることのメリットや楽しさを理解してもらってないことが1つの原因です。

今回のくら寿司の話でいえば、『ビッくらポン』というゲームが起因になり、子どもは「くら寿司に行きたい!」となりました。これと同じように、「リハビリ室に今日も行きたい」と思わせる努力を私たちはもっとすべきでしょう。

また私がもう1皿最後に食べたように、患者さんから「もうちょっとリハビリしたい」と思われるような工夫も必要です。たとえば、以前私がしたリハビリの例でいうと、退院するために必要な要素を双六風に作ってクリアできたら一緒に消していきました。

こうすれば具体的に目標がわかりますので、患者さんのやる気はアップします。
いくら医療従事者が、

「この筋トレは必要ですよ」

「この運動はした方がいいですよ」

といっても、相手の気持ちを引き出せないと意味がありません。注射や点滴のように打っていただければ、受け身であろうが積極的であろうが効果はありますが、リハビリはやはりご自身の意志でしてもらう方がいいですよね。

「なんとなくもう少しリハビリをしたい」、そう思われるような工夫を考えていきましょう。

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