ためしてガッテンで紹介されたスロートレーニングを理学療法士目線で解説

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スロートレーニングという言葉をご存知ですか?

最近ひそかなブームで、実践者も増えているスロートレーニングについて、今回はご紹介していきます。

ためしてガッテンで紹介されたスロートレーニングを理学療法士目線で解説

スロートレーニングは普通の筋力トレーニングに比べると低負荷で、血圧や脈拍の上昇が少なく、比較的安全に行える筋力トレーニングといわれています。

「スロー」と名前がついているので何となくイメージできると思いますが、身体をゆっくり動かすトレーニングです。

ゆっくり動かすと筋肉や関節を痛めるリスクも少ないので、高齢者や手術後の患者さんなど、体力が落ちている方の筋力トレーニングとして最適です。

スロートレーニングについては、以前NHK「ためしてガッテン」でも特集されて話題になりましたね。

参考) 「シリーズ運動で若返り[2] 脳をだます!ラクラク最新筋トレ術」(NHK ためしてがってん)

今回は高齢者の筋力トレーニングとしてスロートレーニングが最適な理由と、実際のやり方について、理学療法士目線でお伝えしていきます。


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高齢者でもトレーニングをすれば筋力はつくの?

人は20歳前後で筋力のピークを迎え、年齢を重ねると共に筋力は落ちていきます。

患者さんと話しているときに、「私らはもう年やから、運動なんかしても意味がない」とおっしゃる方がいます。

しかし、高齢者であっても定期的にトレーニングを積むことで筋力は改善します。

それはいくつになっても可能で、ある研究では、

90歳以上の超高齢者であっても筋力トレーニングにより筋力増強が認められたとしており,8週間トレーニング後に大腿四頭筋の筋力が約2倍に増加し、筋横断断面積も約11%増加することが確認されている。 文献1)

と報告されています。

筋力をつけておくことで日常の活動も行いやすくなりますし、高齢者の骨折の原因として多い転倒も防ぎやすくなります。これは皆さん、何となく理解できますよね。

だったら研究でも示されていますし、高齢者でも筋力トレーニングは行うべきです。


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なぜ筋力トレーニングで筋力がつくのか?

その前にひとつ、筋力についてお伝えしておかなければなりません。

そもそも「筋力がつく」とはどのような状態なのでしょうか?

その答えは神経と筋肉の太さにあります。

筋力トレーニングで筋力がつくのはいくつかの要因があります。

まずトレーニングの初期の段階では、その運動に関わる筋肉がしっかり働くようになります。

これを専門用語で「運動単位の動員」と呼びます。

普段は使っていない筋肉も筋トレをしていると活動させることができるようになるということです。

学校がある日の朝に、お母さんが子どもたちを叩き起こしているイメージですね。

寝ている筋肉を叩き起こして、運動する単位(ここでは筋肉の意味)を動員(増やす)するのです。

また神経から筋肉に運動の指令も出やすくなります。

これは専門用語で「インパルス発火頻度の増加」と呼びます。

脳が神経を通して筋肉に「しっかり運動しなさい」という指令が強く送れるようになるということです。

そして筋力トレーニングの効果といえば「筋肥大」することです。

筋力トレーニングを2ヶ月ほど続けていると、筋肉が太くなっていきます。この筋肉が太くなることを筋肥大といいます。

筋力は筋肉の横断面積に比例して強くなりますので、筋肥大が起こるということは筋力が強くなるというということです。

この筋肥大は、若年者に比べると高齢者では起こりにくいのですが、トレーニングを行うことで十分に筋肥大は起こります。

以上の3つ「運動単位の動員」「インパルス発火頻度の増加」「筋肥大」が起こることを、私たちは筋力がつくといっています。

スロートレーニングの原理

先ほども申し上げましたが、スロートレーニングはその名の通りゆっくりと行うトレーニングです。

このトレーニングの優れている点は、軽い負荷であっても高い負荷のトレーニングに近い効果が得られることです。

スロートレーニングでは筋肉に持続的に力を入れて行います。

持続的に力を入れていると筋肉の中の毛細血管を流れる血液量が制限され、血液内の酸素量が少なくなります。

血液内の酸素量が少なくなると乳酸が作り出され、それにより成長ホルモンが分泌されます。この成長ホルモンが筋肥大を起こすのです。

名前を聞いたことがあるかもしれませんが、「加圧トレーニング」というトレーニングと同じ原理になります。

では次に実際のやり方をお伝えしていきます。

スロートレーニングの実際

当ブログは股関節がメインテーマですので、股関節周りの筋肉のスロートレーニングの方法をふたつご紹介します。

スロートレーニングによるスクワット

まずはスクワットです。

この運動ではお尻にある大殿筋や太ももの大腿四頭筋が鍛えられます。

スクワットの詳しい方法については、以前こちらのブログでもお伝えしていますので、詳しい方法を知りたい方は先にそちらをご覧ください。

参照) スクワットで効果のある部位は?正しいフォームと筋肉痛の関係

イスの前に立ちます。

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3~4秒かけてゆっくり腰を下ろします。

転倒予防のためにイスを使いますが、イスには座りません。

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続けて立ち上がっていきます。このときは5~6秒かけます。

この立ち座りを繰り返します。

ポイントは運動をしている間に力を抜かないことです。

また、しゃがんでいくときに膝を前に出すと、膝関節を痛めやすいので膝を前に出さないようにしゃがみます。

スロートレーニングによる中殿筋トレーニング

続いて中殿筋を鍛える運動です。

中殿筋の筋力トレーニングについても、以前ご紹介していますので、詳細はこちらをご覧ください。

参照) 中殿筋を中心に股関節外転筋の筋トレをわかりやすく解説

まずはベッドに横向きに寝ます。

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上側の脚を3~4秒ほどかけて持ち上げます。

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続けて5~6秒かけて下ろしていきます。脚を完全に下ろしきらず、再び足を持ち上げます。

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この上げ下ろしを繰り返します。

片側が終わったら、向きを変えて反対側も行います。

運動時の注意点

高齢になると体力の個人差が大きくなるため、個人の体力レベルに応じた運動が非常に重要です。

また高齢者は環境の変化に適応しにくいため、運動に慣れるまでは運動量や強度は低く設定しましょう。

疲労や痛みなどの症状については、運動時だけでなく、運動2~3日後までの様子も確認してください。

運動後に関節の痛みや腫れ、熱感、3日以上続く強い筋肉痛がある場合は運動の内容や、強度、回数を変更します。

まとめ

スロートレーニングはリスクが少なく実施でき、高い効果も期待できます。

先ほどもお伝えしましたが、筋力をつけることは転倒や骨折の予防に有効ですし、筋力があれば関節への負担も軽減しやすくなるので、痛みなく動くことができます。

一般的なトレーニングはしんどくて苦手という方は、ぜひ今回の内容を参考にしてスロートレーニングをお試しください。

そして元気な身体を維持しましょうね。。

文献1) 池添冬芽:高齢者の体力づくり (第17回健康科学公開講座4).京都大学医学部保健学科紀要: 健康科学 (2005), 1: 39-45

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