変形性股関節症診療ガイドライン2016(第2版)の変更点や特徴

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変形性股関節症に関する診療ガイドラインが2008年以来、8年ぶりに改訂されました。

今回は変形性股関節症診療ガイドライン改訂第2版についてご紹介します。

変形性股関節症診療ガイドライン2016(第2版)の変更点や特徴

医療や化学は日進月歩。

数年前まで推奨されていた治療が否定されたり、新しい治療が開発されたり、日々進化を遂げています。

それは変形性股関節症に関する治療も同じで、治療に関する概念はどんどん書き換えられています。

そんな背景もあり、8年前に作られた変形性股関節症に関する診療ガイドラインが2016年5月に改訂されました。

南江堂から出版された 変形性股関節症診療ガイドライン2016(改訂第2版) を早速購入して拝読させていただきましたので、第1版との違いや感じたことについてお伝えします。


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そもそも診療ガイドラインって何?

今回ご紹介するのはこちらです。

変形性股関節症の診療ガイドラインについてお伝えする前に、診療ガイドラインのことを知らない方もいらっしゃると思いますので、先にそちらについてお話しします。

診療ガイドラインとは我が国の医療における治療の指針のようなものです。

変形性股関節症だけでなく、がんや難病、脳卒中などの脳の病気、心臓疾患から子どもの病気まで、様々な診療ガイドラインが作成されています。

診療ガイドラインの作成にあたっては、それぞれの分野の一線でご活躍されている医師が、国内外の莫大な論文や文献を調べて、現在行われている治療にエビデンス(医学的根拠)があるかどうか検証していきます。

こうしてさらっと書くと「へぇ~」で終わってしまいそうですが、専門医の先生方が何年にも渡って完成させるものなので、ここに至るに当たっては大変な作業があったと想像できます。


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診療ガイドラインは治療時にどのように使用されているのか

先ほど診療ガイドラインは治療時の指針と書きましたが、医師が行う検査や治療時にはこちらのガイドラインを準拠することが推奨されています。

そりゃそうですよね。最先端で活躍されている先生方が、何年にも渡って調べてまとめた、いま現在のベースとなる治療なのですから。

ただし、杓子定規的にガイドラインに全てを当てはめることは推奨しておらず、診療ガイドラインをベースに個々の症例に合わせた対応を求めています。

また診療ガイドラインで推奨されていない検査や治療を行う際には、しっかり患者さんに説明して同意を得るようにも書かれています。

推奨・根拠のグレードは5段階で表記されている

それぞれの治療をどんな根拠で、その程度推奨するのかは、以下の5段階で表記されています。

Grage内容内容補足
A行うよう強く推奨する.
◎強い根拠に基いている
質の高いエビデンスが複数ある
B行うよう推奨する.
◎中等度の根拠に基いている
質の高いエビデンスが1つ,または中等度の質のエビデンスが複数ある
C行うことを考慮してもよい.
◎弱い根拠に基いている
中等度の質のエビデンスが少なくとも1つある
D推奨しない
◎否定する根拠がある
肯定できる論文がないか,否定できる中等度までの質のエビデンスが少なくとも1つある
I委員会の審査基準を満たすエビデンスがない.あるいは複数のエビデンスがあるが結論が一様でない

たとえば我が国であれば、変形性股関節症の発生因子として重い物をよく運ぶ仕事がありますが、こちらの根拠はGrade Bとなっています。

変形性股関節症診療ガイドライン2016での変更点や特徴は?

では8年ぶりに改訂された変形性股関節症の診療ガイドラインでは、どこが大きく変わったのか、あと私個人が気になったところをご紹介します。

FAIについての記載が登場

この8年間で、変形性股関節症の治療における一番大きな変化は、間違いなくこれでしょう。

股関節におけるインピンジメント症候群(FAI=Femoroacetabular impingement)です。

FAIについて以下の記事で詳しく書いていますので、「FAIって何?」という方は合わせてそちらもご覧ください。

参照) 股関節のFAI(インピンジメント)はなぜ起こるのか?

FAIの概念が登場して注目を浴び始めたのはここ7~8年です。

ですから8年前に作成された第1版には、FAIに関しての記載はありませんでした。

第2版では、FAIの診断基準、FAIにおける特徴的な骨形態の頻度、変形性股関節症との関係、FAIに対する治療法などについて書かれています。

メタルオンメタルTHA(MoM THA)は有効性や副作用

一時期注目を集めていたメタルオンメタルTHAですが、他のTHA手術と比べて優位性がないことや、合併症の発生率が高いことが分かってきました。

我が国における変形性股関節症の発生因子に肥満がない

リハビリに関わる立場としては、小さいことですがこれが気になっています。

先ほど変形性股関節症の発症の危険因子として、重量物作業の職業のGradeはBとお伝えしましたが、肥満に関する記載はありません。

ちなみに欧米では肥満はGrade Bとなっています。

また変形性股関節症の進行の予測因子としても、欧米では肥満がGrade Bとなっていますが、我が国では肥満の記載がありません。

変形性股関節症や変形性膝関節症では、「体重を落とした方がいいですよ」「痩せた方が関節には負担をかけませんよ」とお伝えすることが多いのですが・・・。

このあたりは先ほど書いたように、記載されていない・推奨されていないから「太っていても良い」わけではなく、個々の患者さんに合わせて指導していくべきなのかもしれませんね。

まとめ

8年ぶりに改訂された変形性股関節症診療ガイドライン第2版についてお伝えしてきました。

専門的な話が多いので患者さんが絶対読まないといけないものではありませんが、推奨や根拠のグレードは分かりやすく書かれていますので、興味がある人は一読する価値はあると思います。

理学療法士や作業療法士など、変形性股関節症のリハビリに携わる人は必読ですよ。

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