股関節の軟骨再生へ 低出力超音波の可能性を探る

スポンサーリンク

軟骨の栄養状態を左右するもの、また股関節の軟骨再生への1つの可能性についてのお話です。

変形性股関節症、変形性膝関節症でお悩みの方は必見です。

突然ですが、最近ニュースで『滑膜』という言葉を耳にしませんでしたか?

「滑膜?聞いたことない。それ、何なん???」

って普通は知らないと思います。

スポーツニュースをよくご覧になる方なら、覚えているかもしれませんね。

ロンドンオリンピックで卓球女子団体で銀メダルを獲得した福原愛さんが、右肘関節の滑膜ひだを除去する手術を受けたと発表されていました。

と、滑膜ひだから滑膜の話にもっていこうとしたのですが、今回話をする滑膜と滑膜ひだはちょっと違うんです(;^ω^)

今日の話は滑膜です。滑膜と軟骨再生、一体どんな関係があるのでしょうか。

このあたりを理解するためには、股関節の解剖を知っておく必要がありますので、まずは解剖を復習していきましょう。


スポンサーリンク



股関節の解剖の復習

股関節は、骨盤の外側にある寛骨臼という大きなくぼみと、大腿骨の大腿骨頭で構成される関節です。

寛骨臼の『臼』は餅つきをする『うす』のことで、ここに大腿骨の『頭』である丸い大腿骨頭がはまりこんでいます。

あっ、はまりこんでいると書くと誤解されるかもしれませんが、臼をひっくり返したような形のところ、大腿骨頭がはまっているんですよ。

大腿骨は大きく近位端、大腿骨体、遠位端の3つに分けられます。

このうち股関節には近位端にある大腿骨頭、大腿骨頚、転子部が関与します。

大腿骨頭と寛骨臼にある月状面は関節軟骨で被われていて、骨どうしがぶつからないようにクッションの役目をしてくれます。

大腿骨頭が寛骨臼のくぼみにしっかりはまり込むように、寛骨臼の縁を股関節唇という繊維軟骨が取り巻いています。

股関節唇は最近ダウンタウンの松本人志さんや、読売巨人軍の久保投手が手術して有名になりましたね。

話を戻しましょう。股関節唇により、大腿骨頭はより深く寛骨臼におさまることができますので、安定感が増します。

また股関節に覆いかぶさるように関節包という強固な袋のようなものがあって、その内側を滑膜が被っています。

おお、やっと滑膜がでてきまたしたね^^;


スポンサーリンク



滑膜の重要性

滑膜は軟骨に栄養を与えたり、関節面の摩擦を軽減させる潤滑油となる滑液の分泌と吸収を行う重要な役割を担います。

そうなんです。軟骨は滑膜からでる滑液から栄養をもらっているのです。

骨や筋肉はどうしているのご存知ですか?骨や筋肉は血管で栄養分をもらっています。

「じゃあ軟骨も血管からもらったらいいのに」

と考えたくなります。残念ながら軟骨には血管が通っていませんので、栄養分を血管からもらうことができません。

あとちょっと厄介ななことなんですけど、関節軟骨には痛み信号を受け取る受容器がありません。

さらに軟骨は自己修復能力はかなり低いそうです。

自分で修復できないので、なんとか傷つかないようにしてあげないとえらいことになっちゃいます。

そんな中、1つの報告がなされていました。京都大学大学院医学研究科の伊藤明良先生の報告です。

低出力超音波パルス療法の可能性

低出力超音波パルス療法という治療で、軟骨破壊が防げないかという実験です。

またまたややこしい名前がでてきました。「低出力超音波パルス療法」。早口言葉にでもなりそうですね。

これまでこの治療は、なかなか治らない骨折(難治性骨折)に対してだけ使用されていました。

日本代表のサッカー選手がワールドカップ前に骨折したりすると、よく使われています。こんなやつです。

us1

この低出力超音波パスル療法は、ジェルのようなものをつけて、写真の左側の端子を骨折部位にあてて20分放置する、それだけです。

使用しているときはこんな感じです。

us2

誰でもセットできますし、痛くも痒くもありません。とにかく手軽なんですよね( ̄ー ̄)ニヤリ

それが軟骨の再生に使えるようだったら、めちゃ便利になりそうですよね。

ヒトを使うわけにはいきませんから、実験ではラットの膝関節の軟骨が使用されました。

そしたらですねぇ、軟骨を破壊する因子の発現が、低出力超音波パルス療法をすると抑制されたそうです

「おぉ~、それやったらじゃんじゃん

低出力超音波パルス療法をしていったらいいやん」

と大阪のおっさんが簡単に言うようにはいきません。

今回のラットの実験ではうまくいったのですが、人体ではまだうまくいったという報告はありませんし、そもそも低出力超音波パルスを使ったら、なぜ軟骨破壊因子が抑制されたのが、その機序が明らかになっていません。まだちょっと先の話になりそうですね。

軟骨再生への道

軟骨の再生については、現在いろいろな可能性が探られています。

自分の軟骨を採取して、培養して戻す方法がいまのところ一歩リードというところでしょうか。

でもこの超音波療法で軟骨破壊が抑制されれば、メスを入れる必要がないですし、かなり画期的だと思うんです。

軟骨の代謝については、適度な機械的刺激によって促進されることも報告されていますので、超音波+適切な運動によってさらに効果を上げていける可能性もあるかもしれませんね。

変形性膝関節症、変形性股関節症に悩む、何百万人の患者さんたちは、この研究の行く末に期待していきましょう。

コチラの記事もおすすめです

lpバナー股関節