高齢者の転倒予防は筋トレではダメ?原因をすぐに減らせる方法は?

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高齢者の転倒予防についてさまざまな視点から語られることが増えましたが、筋トレで転倒が予防できると思うのは危険です。

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最近、機能訓練特化型のデイサービスが増えましたね。

機能訓練特化型と書くとわかりにくいかもしれませんが、「高齢者版のトレーニングジム」のようなもので介護保険を使って利用します。

機能訓練特化型のデイサービスをすすめるケアマネージャーになぜそこがいいのか尋ねると、決まってこんな答えが返ってきます。

「脚の力をつければ転倒を予防できるから

なるほど。

たしかにそのケアマネージャーがおっしゃるように、筋力強化は転倒予防のひとつの要因ではあります。

ただしひとつの要因なだけで、それが全てではありません。

そもそも高齢者が転倒するのはなぜでしょうか。

それを考えていく必要がありそうです。


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高齢者の転倒の原因

皆さんはつまずくことはありますか?

私は段差でときどきつまずくのですが、日常生活で転倒することはほとんどありません。

一方、高齢者はつまずかなくても転倒することもあります。この違いはどこにあるのでしょうか。

高齢者が転倒する原因はたくさんあります。

最初に挙げた筋力以外にも、感覚の問題も大きいです。

関節や足の裏には感覚を受容するセンサーがあり、そのセンサーが身体の状態や、身体と接している床などの情報を脳に教えてくれます。

たとえば歩いているときに膝がどれだけ曲がっているか、普段は意識することはありませんが、適切な角度になっているか、脳には常に膝から情報が送られています。

また足の裏にはたくさんのセンサーがあり、

「この床は雨で滑りやすいから注意してね」

「ちょっとデコボコしているよ」

と脳に教えてくれます。

高齢者になるとこれらのセンサーが退化し、情報を受け取りにくくなります。

センサーからの情報が届かないと、膝が曲がったままで椅子から立ち上がろうとしたり、滑りやすい床でも注意せずに歩いたり、動作にリスクが生じてきます。

ですから感覚は転倒を予防できるかどうかの大きなファクターになるわけです。

また筋力や感覚以外にも、認知能力、視覚や聴力、環境(バリアフリー化)など、さまざま面から転倒予防は考えるべきでしょう。

転倒の原因についてはおおまかにお伝えしたのですが、転倒の原因や予防について、実はもうひとつ気になっていることがります。

それはケアマネージャーや家族の転倒への危機意識が低すぎることです。

危険はいつもあるもの

少し前になりますが、御嶽山で大規模な噴火があり不幸にも多くの方が亡くなりました。

御嶽山といえば活火山として有名ですが、最近は火山活動も落ち着いていたので、特別な注意は払われていなかったようです。

ただ噴火は起こりました。

そのとき火山噴火予知連絡会の会長が会見で、こんなことを話していました。

「火山の噴火を完全に予知するのは難しい。危険情報を出していると噴火を予知できるように思われるが、それは違う。」

私は地学の専門家ではありませんので、詳しいことはわかりませんが、地中深くから起こる水蒸気爆発は予知しにくいようですね。

活火山である以上は噴火するかもしれない可能性を秘めているわけで、安全なんてことはないということです。

これは川や海で遊ぶときにも共通しますが、楽しい川遊びや海遊びも、自然を相手にする限りはたくさんリスクを抱えています。

ただキャンプに来るとそんな危険意識は薄らいでいますし、どんなに同じような事故が起こっていても、「まさか流されないだろう」とたかをくくっています。

自然は尊いもので、危険はいつも隣り合わせであることを忘れてはいけません。

転倒は起こるもの

転倒は誰にでも起こります。

ですからそれを前提に行動するべきです。

筋トレだけすれば転倒が予防できるという、間違った知識があることは問題です。

でも、「うちのおじいちゃんに限って転倒なんてしない」と思っているご家族がいれば、それはもっと大きな問題です。

さきほど書いたように、高齢になると転倒する要因は増えます。

「もしかしたら家の祖父も転倒する可能性がある」

その認識を常に持つべきです。

そうすれば、その方にとって必要な予防策が見えてくるはずです。

安全なんてありえません。

「転倒する危険がある」という前提を忘れずに転倒を予防していきましょう。

高齢者の転倒を効果的予防するなら?

そうはいっても転倒する可能性を少しでも減らしたい、そう思うのは当たり前かもしれません。

ここまでお話してきたように、筋トレは転倒を予防する要素のひとつに過ぎず、感覚、認知能力、視覚などさまざまな要素が複雑に絡み合います。

ですから筋トレだけしていても、転倒を防ぐことはできないのです。

しかも筋トレの効果はすぐには現れません。筋肉の出力が向上し、筋肉が肥大するまでには数ヶ月かかります。もしその間に転倒したら身も蓋もないですよね。

ではすぐに効果のある転倒予防はないか、聞きたくなる方もいらっしゃるでしょう。

そんな即効性のある転倒予防方法も実はあります。

それは環境設定です。

環境設定とは、その方が生活されている住環境を整備することです。

今回はよくある家の事例で説明します。

住環境に潜む危険

まずはこちらを御覧ください。

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どこにでもある和室で、奥に布団が敷いてあります。

さてこの和室に潜む危険な箇所はどこでしょうか?

答えはこの先に書いていますが、一度考えてみましょう

どうでしょうか。いくつか見つかりましたか?では答え合わせです。

敷居

これは分かりやすいですね。段差があるからひっかります。

日本の家屋では部屋への入り口にあることが多いです。

最近の分譲マンションでは吊り下げ型の引き戸が増えて、敷居がなくフラットな家が増えましたが、そんな家はまだ一部ですね。

ふとん

床からの立ち座りは、自宅内の起居動作の中では難しい動作のひとつです。

ふとんの上で行おうとすると余計に難しいです。

可能であればベッドを使うことをおすすめします。ベッドが置けない(置きたくない)のであれば、立ち座りの際に手をつくテーブルがあればいいでしょう。

扇風機のコード

扇風機などのコードでひっかかる方も多いですよね。

コード類がない環境をつくるか、電化製品は端に置いて、歩くスペースを確保しましょう。

カーペット

これも敷居やコードと同じでひっかかります。

またカーペットはそれ自体が滑りやすいので、片脚だけが乗るとつるっと滑ります。

畳やフローリングの上に何か重ねるときは滑り止めのシートを使うのがベターです。

スリッパの着脱

フローリングと畳を行き来する方はスリッパの着脱が必要になってきますが、この着脱時に転倒される方も多いです。

フローリング、畳、カーペットのかたさの違い

これ理学療法士らしい答えでしょうか。

さきほどお伝えしましたが、足底にはたくさんセンサーがあって、床の状況を感じて脳に信号を送っています。

高齢者になるとこの感覚が鈍っており、床の材質の違いに対応できなくなってきます。

硬いフローリングで歩いていたと思ったら、少し柔らかい畳になり、もっと柔らかいカーペットに変わります。

若い方はその違いに自動的に対応しますが、高齢者ではその違いに対応できず、歩行に変化をつけることができなくなります。

できれば同じ材質の中で生活してもらえればいいのですが、これも家の状況によるので難しいかもしれませんね。

フローリング、畳、じゅうたんを移動される方は要注意です。

ざっとこれぐらいですが、皆様はいくつ答えることがでましたか。

住環境は今日この瞬間にでも変えられます。整備することですぐに効果が期待できます

つま先をあげる

ここまで住環境の整備をお伝えしたのですが、その中に「ひっかかる」という言葉が何回もでてきました。

ひっかかる原因は、股関節の振り出しが小さいか、つま先が上がっていないからですが、これらは口でいうほど容易ではありません。

つま先でいうと、まずつま先を上に挙げる筋力や関節可動域が低下していて、そもそも上げることができません。

さらに関節の状態を察知する感覚が低下しているため、つま先が上がっていないということが分かりません。

では、つま先を上げることはでいないのかというと、こんな商品もあります。

こちらは医療機器メーカーのテルモから発売されているアップウォークといって、靴下として履くだけでつま先が上がりやすくなるという優れものです。

足関節前面の繊維がちょっと強めに作ってあって、ひっぱり上げるような感じでしょうか。

早速試しに購入して、履いて歩いてみました。

アップウォーク歩行しやすいテルモ

普通の靴下よりつま先は上がりやすく、歩行もしやすいです。

過信はいけませんが、試してみる価値はありそうです。

転倒しないためにでタオルギャザーをやってみよう

住環境が重要なことはご理解していただけたと思うのですが、この話をすると、

「住環境が重要なことはわかりましたが、何か運動も教えてもらえませんか」

と言われます。

そりゃそうですよね、住環境以外にもできることがあればやっておきたいですもんね。

では今回はひとつ運動をお伝えします。ただし筋力は個々の症例によって変わるでしょうからここではお伝えしません。

おすすめするのは足の指の運動です

どうしてこの運動をおすすめするかというと、足の指が立位や歩行時にとても重要な役割を担っているからです。

皆さんは立位や歩行時に足の指がどうなっているかご存知ですか?

実は足の指は床をとらえるように、ぎゅっと握っています。床を握る動きがあるからこそ滑らずに済みます。

ちなみに大相撲の力士が立会いで構えたときには、この足の指の形になっています。

土俵は滑りやすいので、知らず知らずこの足の指の動きが身についているのです。

足の裏は立位や歩行時に床と接する唯一の部分です。

そこからの情報がたくさん入ってくるためにも、足の指の動きを活性化しておく必要があります。

また太ももを鍛えている人はいても、足の指の運動をしている人はいないでしょ?

ですから足の指の運動は有効なのです。

具体的には足の指でじゃんけん(グーチョキパー)をしたり、ビー玉を摘む運動が良いでしょう。

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あとタオルギャザーという効果的な運動がありますので、気になる方はやってみてください。

まとめ

高齢者の転倒の原因や身体的要因以外にクローズアップしてお伝えしてきました。

要介護状態になった高齢者の約1割は骨折が原因と言われています。

ということは、転倒を減らすことが要介護状態を減らすと言っても過言ではありません。

ただし高齢者の転倒はいつどこで起こるかわかりません。

ようはどんなとき、どこに、どんな危険が潜んでいるのか、着目できる『目』を持つことできるか、それだけでも転倒する可能性が減らせます。

ぜひ参考にしてください。

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