サルコペニアとは?ロコモティブシンドロームとの違いは?

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「サルコペニア」という言葉をご存じでしょうか。テレビや雑誌でもよく特集されているので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

高齢化社会の到来に伴い、最近日本で注目され始めている言葉です。

社会が高齢化するに伴い、健康な身体を維持できる期間である「健康年齢」に大きく影響を与えていると言われているのが、このサルコペニアという概念です。

 

今回はいつまでも健康で若々しく過ごすために、サルコペニアについてご紹介します。

サルコペニアと似た言葉で、ロコモティブシンドロームや廃用症候群というのがあるのですが、それらとの違いについても解説していきます。

 

目次

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サルコペニアとは?

人間の筋肉量は、個人差はありますが、40歳を境に徐々に減少し始めると言われています。

サルコペニアは広義では「加齢・疾病・運動不足・栄養不良などによって体内の筋肉量が著しく低下する現象のこと」をいいます。

 

ギリシア語で「サルコ」は筋肉、「ぺニア」は減少を意味しています。簡単にいうと筋肉が減少することですね。

年を重ねると筋肉量が低下していくことはみなさんご存じだと思いますが、なぜ減少していくのか、またはどうしたら効果的に筋肉の低下を防いでいくことができるのか、考えたことはあるでしょうか。

ほとんどの方はその理由を深く考えたことがないと思います。

 

その鍵はサルコペニアを理解することで、少し見えて来るかもしれません。

 

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サルコペニアが起こる原因と分類

では、なぜサルコペニアは起こるのでしょうか。

その原因は、高齢者の体内ではタンパク質による筋肉の合成と分解のバランスが崩れるためだといわれています。

 

健康な人間は1日の間に筋肉の合成と分解を繰り返しています。

成長期ではこの合成と分解のバランスが合成優位なためプラスになります。食事から十分な量のタンパク質を摂取することによって筋肉は維持できます。

しかし高齢者では逆に筋肉を分解しタンパク質に変換してしまうため、筋肉量が徐々に減少していってしまいます。

 

サルコペニアの下記のような種類があり、原因ごとに分類されています。

一次性サルコペニア

  • 加齢性サルコペニア: 加齢以外に明らかな原因がないもの。

二次性サルコペニア

  • 活動に関連するサルコペニア:廃用、寝たきり、生活習慣(運動不足・出不精)など
  • 疾患に関連するサルコペニア:重症臓器不全、炎症性疾患、悪性腫瘍、内分泌疾患など
  • 栄養に関連するサルコペニア:低栄養、吸収不良、消化管疾患などに伴う、カロリー不足、タンパク質不足に起因するものなど

 

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サルコペニアとロコモティブシンドロームの違いは?

ところ「ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)」という言葉を聞かれたことはありますか?

「うーん、何かテレビで前にやってたけど、足腰が弱る病気じゃないの・・?」という人が多いでしょう。

 

ロコモティブシンドロームは2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、

筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態 1)

を指します。

 

サルコペニアとは?ロコモティブシンドローム、廃用症候群と違うの?2

(画像引用:ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト

 

このロコモティブシンドロームがサルコペニアと似ているんですよねぇ。実は私も最近までこの違いが分かっていませんでした^^;

サルコペニアはロコモよりももう少し範囲が狭く、純粋に「筋肉量が減少すること」を指し、ロコモティブシンドロームは運動(骨・関節・筋肉・神経)の障害により日常生活に影響がでることを指します。

 

例えば、膝関節の変形で歩くと痛みがあり、買い物に行けなかったり、長距離を歩けなかったりして日常生活に支障がある場合、ロコモティブシンドロームであるといえます。

運動器である「膝関節」に支障があるため日常生活が困難になっているからです。

 

一方サルコペニアは、純粋に「筋肉量の減少」のことを指すので、少し意味合いが異なってきます。

 

しかし、厳密には膝関節の痛みのために外出を控えると、筋肉量が減少してサルコペニアになってしまう可能性もあるので、ロコモとサルコペニアは密接に関わり合っています。

逆にサルコペニアが起きている場合も、同時にロコモへの負のスパイラルが始まっているともいえます。

 

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サルコペニアと廃用症候群の違いは?

廃用症候群とは英語ではdisuse syndrome(ディスユース シンドローム)と表されます。

 

接頭語の「dis」は「不~」や「非~」など、否定を表します。

「use」は「使う」の意味ですから、disuseは「使わない」という意味で、disuse syndromeを日本語にするなら「使わないことによって起こる症候群」ということです。

 

八幡は

身体の低・不活動状態の結果,精神を含めた全身諸臓器に続発する二次的障害の総称 2)

としています。

 

サルコペニアでは筋肉量に、ロコモティブシンドロームは運動器に問題があるのと対し、廃用症候群は動かないことで起こる全身の臓器(精神を含めた)に起こる障害の総称です。

簡単にいうと対象がもうひとつ広がる感じですね。

 

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サルコペニアを予防するには?

サルコペニアの予防には、食事と運動の両方からのアプローチが必要です。

なぜなら食事量と運動量(活動量)は相関関係にあるからです。どちらが低下しても、両者に悪影響を及ぼします。

 

サルコペニアを予防するための食事

食事面では、筋肉を作るのに欠かせないのがBCAAです。

 

BCAAとは、バリン・ロイシン・イソロイシンという3つの必須アミノ酸をまとめた呼び名のことで、身体の中に入ると、筋肉を作ったり修復したりする働きがあります。

BCAAを豊富に含む食材は、まぐろやかつおなど赤身の魚、レバーなど赤身の肉、卵、大豆製品、牛乳などがあります。

 

またBCAAを効率良く体内で利用するためには、ビタミンB群が必要です。

たんぱく質を身体で使えるアミノ酸に分解するために、ビタミンB群が必要だからです。

 

ビタミンB群を豊富に含む食材は、ごま、きなこ、豚ヒレ肉、玄米などがあります。

 

また、近年はビタミンDによる筋力増加効果も報告されています。

カルシウムとビタミンDの相乗効果で骨が強くなることは有名ですが、近年では筋力を増強させるためにも、ビタミンDが有効だといわれています。

 

ビタミンDはいわし、スモークサーモンなどの魚に多く含まれています。

 

肝臓や腎臓の機能が低下している方は肝臓、腎臓でつくられる活性型ビタミンDの合成能力が低下してしまうので、食事から摂取することを特に注意しましょう。

また、ビタミンDは日光浴により活性化されるので、一日15分程度の日光浴を習慣にすると良いでしょう。

 

ただし食事内容だけに気をつけても、サルペコニア対策は十分とは言えません。食事の量も大切です。

 

高齢になると食事量も減少します。

 

食事の量が極端に少ないと、活動のためのエネルギーを確保するために筋肉を分解し、エネルギーを作り出す可能性があり、サルコペニアを進行させてしいます。

食事量には主食と主菜を組み合わせ、不足のないように食べることもサルコペニアを予防するうえでは重要なこととされています。

 

サルコペニアを予防するための運動

運動面ではスクワットが手軽でおすすめです。

 

脚の筋肉量は、全身の約4割を占めると言われています。また下肢の筋力が低下すると、立位や歩行に直結して障害がでてきます。

サルコペニアおよびロコモを予防するには大腿四頭筋、腓腹筋など、下肢の大きい筋肉を鍛えることが効果的です。

 

スクットの正しいフォームや方法については、以前こちらのブログで紹介した「スクワットで効果のある部位は?正しいフォームと筋肉痛の関係」の記事をご参照下さい。

 

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まとめ

近年話題のサルコペニアについてお伝えしてきました。

 

平均寿命は年々長くなっています。それに伴い、筋力低下や運動器に障害を持つ方が増大していくと想定されています。

サルコペニアやロコモなどについて正しい知識を持ち、適切な予防を行って、いつまでも元気に活動できる体作りを始めていきましょう。

 

【文献】

1) ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「「ロコモ」とは?」
2) 八幡徹太郎,他:臨床医にとっての廃用症候群とは何か?-近年のリハビリテーション診療から思うこと-.リハビリテーション医学 vol.42 No.10,2005

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