認知症の高齢者とのコミュニケーションでたったひとつ心がけること

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認知症の高齢者とどう向き合うか、理学療法士として働いているときだけでなく、これからの高齢化社会で生きていくためには課題になるでしょう。

今回は認知症の高齢者をコミュニケーションをとるときに、私が心がけているたったひとつの大切なことについてお伝えします。

これを意識するだけで、認知症の高齢者とのコミュニケーション能力はぐっと上がりますので、ぜひ読み進めてください。

認知症の高齢者とのコミュニケーションでたったひとつ心がけること

「◯◯さん、起きて靴を履いて、外に歩きに行きましょうか」

リハビリの現場ではよく耳にする会話です。

一見シンプルな指示のように思えますが、この指示の中には「ベッドから起き上がる」「靴を履く」「歩く」という3つの行動が含まれています。

認知症の高齢者(認知症とまでいかなくても理解力が低下している高齢者でも)の場合、こういう指示をするとたいてい、

「えっ?起きるんですか?」

と聞き返してきます。

理学療法の学生や新人セラピストが悩む場面でもあります。

こんなとき、私が心がけていることはとにかくシンプルに指示することです。

「歩きに行きましょうか」

これでいいのです。

「そんなに簡単でいいの?」と思うかもしれませんが、いろいろ言うから逆に分からなくなるのです。

「指示はシンプルにした方がいいよなぁ」といつも感じる場面があるので、その場面を取り上げて詳しくご説明します。


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杖を正しく使うのは意外と難しい

以前こちらのブログで正しい杖の使い方についてご紹介しました。

参照) 杖の使い方 正しい一本杖での歩行を動画を用いて解説

このときは杖を持つ手がどちらなのか、正しい杖の高さや握り方とは、そして杖を使った歩き方をお伝えしました。

たとえば最後に動画で紹介した杖歩行で、杖を出す順番が覚えられない認知症の高齢者は本当に多いです。

ちなみに認知症の高齢者じゃなくても、若年者や中年の方など、認知機能が低下していなくても間違っている人も多いです。

3動作歩行であれば、

杖→悪い方の脚→良い方の脚

正しい一本杖歩行3動作

の順番で出しますが、認知症の高齢者と練習すると、

杖→良い方の脚→悪い方の脚

間違った一本杖歩行3動作

の順番で出すことがあります。

中には、

杖→悪い方の脚→杖→良い方の脚

間違った一本杖歩行2

と、ひとつの歩行周期の中で杖を②回出す方もいます。

こんなとき、「順番は杖→悪い方の脚→良い方の脚の順番です」と手とり脚取り伝えても、なかなか覚えられません。

話が少しそれるのですが、この場面に出くわしたときに必ず思い出すことがあります。

小学校の卒業式のときの話です。

小さい小学校だったので、ひとりひとり名前を呼ばれて壇上に卒業証書をもらいに行くのですが、緊張して必ず手と脚がそろってしまうT君という友だちがいました。

T君は何度やっても、いくら指導されても、ロボットみたい手と脚がそろって歩くので、その度にみんなの笑いが起きます。

それがさらなる悪循環を生んで、ロボット歩行が治りません。

熱い担任だったので、いろいろ細かく指導していましたが、いまから考えると逆効果だったんでしょうね。

話を戻します。

杖の順番がどうしても覚えられない認知症の高齢者には、このように伝えるようにしています。

「手を振って歩きましょう」

手を振って歩くと、杖は悪い方の脚と逆側に持っているので、結果的に悪い方の脚を出すときに杖をつくことができます。(ただしこの場合、3動作ではなく2動作歩行になります)

杖を持っているので、若干手は遅れ気味に出てきますが、そのリズムさえ覚えれば大丈夫です。

「まずは杖を持っている手を出して、次は杖とは逆側の脚を出して、最後に良い方の脚を出しましょう」

と伝えるよりかなりシンプルなのに、目的の行動が正しく行えます。

このシンプルな指示の方が認知症の高齢者には優しいと思いませんか?

まとめ

認知症の高齢者とコミュニケーションをとるときに、私がこころがけているたったひとつの方法をお伝えしました。

あれやこれや言っても、認知症のある方には絶対伝わりません。

だって私たち健常人でも、たくさん言われたら「一度にたくさん言わないで!」ってなりますよね。

認知症の高齢者でもそれは同じです。

「アマチュアは物事を複雑にし、プロはシンプルに明快にする」

日産自動車の社長兼最高経営責任者(2015年9月4日時点)のカルロス・ゴーン氏の言葉です。

認知症のある高齢者とのコミュニケーションはシンプルイズベストでいきましょう。

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