高齢者が転倒する要因は心の余裕がないから

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高齢者にとって怖いもの、そのひとつが転倒です。

転倒しないためには様々な策が講じられていますが、私が一番大事だと思うのは「心の余裕があるかないか」だと思っています。

高齢者が転倒する要因はこれがないから2

転倒は高齢者を寝たきりや要介護に導く恐ろしいものです。

転倒しないためには、筋力をつけたり、バランス能力を鍛えたり、住環境を整備したり、いろいろな取り組みがなされています。

ただ転倒を完全に防ぐことは難しく、ご家族や治療者は頭を悩ませています。


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患者さんのご家族の素朴な疑問

以前担当していた患者さんのご家族から、こんな質問がありました。

「私の母は、デイケアに行って脚も鍛えてたし、家の中の段差も工事でなくしました。それでもコケました。

認知症があったわけでもないのに、なんで急いでトイレに行こうとしたんでしょう・・・。」

こちらの患者さんは、大腿骨頚部骨折という股関節の大腿骨側の骨を手術され、私が手術後からリハビリを担当していました。

大腿骨頚部骨折は高齢者の四大骨折の中でも、特に要介護状態につながりやすい骨折です。分からない方はこちらを参照してください。

参照) 骨粗鬆症の骨折の好発部位は?その予防方法もご紹介します!

この方のお母さんが転倒した経緯を簡単に説明するとこうです。

普段は家の中を歩く分には問題はなかったが、ある日の夜中にトイレに立とうとしてふらつき、側方に転倒。大腿骨を強打して頚部を骨折しました。

娘さんにしたら認知症もないですし、床の段差もなくしたので、自宅内で過ごされる分には問題はないと考えていたようです。

実際、転倒前の状態は分からないので詳しいことは分かりませんが、リハビリの進捗状況を診る限りでは、受傷前はかなり歩けていたことが伺えました。


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屋外歩行で本当に必要なもの

よく患者さんからこんなことを言われます。

「いまは寝起きだから調子が悪い。時間が経つと元に戻るから大丈夫だけど」

人間の身体ですから、調子が良いとき悪いときがあるのは理解できます。私も朝起き抜けに、マラソンをしろと言われたら同じことを言うと思います。

理学療法で患者さんの日常生活動作を評価するときに、安定性と安定性という項目があります。安定性は安全性とごっちゃにされやすいですが、

安定性:100回動作をしたら100回同じレベルで遂行できる

安全性:転倒せずに動作を遂行できる

という違いです。

たとえば今回話題に挙げたトイレ動作。

私たち健常者は朝起き抜けでも、日中活動しているといでも、夜中でも、トイレに転倒せずに行けます。

「トイレ行こうとしたら100回中20回はふらついて、辿り着けないことがある」というレベルの方は、リハビリをする必要があるでしょう。

どんなときでも安定してトイレに転倒せずに行くことができます。

この安定性と安全性が備わっていることが大前提ですが、リハビリでは他にもトイレに行って問題なく用をたせる動作の速性(スピード)があるかどうか、トイレまで歩いて用をたして帰ってこれるだけの持久性があるかどうかなどの実用性も評価します。

では、安定性も、安全性も、速性も、持久性もあれば絶対転倒しないのか、と言われれば答えはNOです。なぜでしょうか?

これはいつも患者さんにお伝えする話ですが、屋外を歩くときを想像してください。

屋外歩行が安全に行えると理学療法士に言われた患者さんがお一人で歩いているときに、横から子どもが飛び出してきてぶつかりました。

本来安全性には踏み直りという転倒を回避する動作も含まれるのですが、今回は踏み直すこともできずにコケてしまいました。

この方はさきほど挙げた安定性などは全て満たしているにも関わらず転倒しました。

この方の場合、足りなかったのは実用性の項目以外の心の余裕です。

周りを見渡して、子どもが飛び出してきそうな場所を察知できなかったことが原因でした。

転倒を防ぐには周りを見渡す心の余裕も大事なのです。

自分は転倒するかもしれないといつも考えておく

トイレに行こうとして転倒した方の話に戻しましょう。

この方が夜中にトイレに行こうとして動き出す際の心境を想像すると、おそらく焦っていたのでしょう。

「あっ、トイレ行かないと漏れちゃう」と思って、とっさに起きて動き出したと思われます。

もしこのとき、「急に動き出したら危ないかも」と思う余裕があればどうでしょう。

ベッドから起きて立ち上がり、足踏みをして脚の状態を確認してからトイレに行く。こんな余裕があったら転倒していないと思うのです。

実際にここまでできる人はほとんどいません。だってやっぱり起きてすぐにトイレに行きたいですから。

でも自分に転倒の危険性があるのなら、時間のかかることでもないですし、やってみる価値は十分にあると思いますよ。

まとめ

転倒を防ぐ方法について説明してきました。

ひとつ断っておきますが、心の余裕は数値化することはできません。ですから転倒を研究をしている人からすると、「そんなもの比べられないから無意味」と言われるかもしれません。

でも実際にこれがあるかないかってすごく大きいです。それは研究うんぬんに関係なく、当たり前の事実として受け止めるべきです。

心の余裕が転倒を防ぐ。周りを見渡したり、急に動くと危ないかもと思い出す、その小さな心がけがあなたを転倒から救ってくれます。

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